【通信制高校生の進路選択】悩む時間も宝物! 進路は十人十色

#不登校#行き渋り#ギャップイヤー#通信制高校#進路

通信制高校3年生のお子さんがいる保護者は、卒業後の進路についてお悩みではないでしょうか?

  • 卒業後の進路が見えないまま、過ぎていく日々に不安が募る……。
  • 本人に行動させたいが、過度にプレッシャーを与えるのを避けたい。
  • このまま待っていたら高卒ニートになるのではないか?

「進路を決めなければいけない」と思うと、焦りや不安が出てくることもあるでしょう。

今回は、通信制高校生の進路決定をする際の、さまざまな選択肢について紹介します。

編集

不登校オンライン編集部

通信制高校生の3人に1人は、進路を決めずに卒業

進路を決めない状態で高校を卒業する生徒の割合、いわゆる進路未決定率についてご存じでしょうか?

文部科学省が発表した2022年度の学校基本調査によると、通信制高校生の卒業時の進路未決定率は約32%でした。
(参考:文部科学省第13回高等学校教育の在り方ワーキンググループ参考資料4「検討を進めるための参考資料」 )

つまり、通信制高校生の3人に1人は、進路を決めないまま卒業しています。

全日制高校では4%程度、25人に1人の割合なので、それに比べると高い数字です。
全日制高校は多くの生徒が大学や専門学校等へ進学するため、ほかの選択肢を選ぶ生徒が少ない傾向にあるのが1つの理由です。

通信制高校は、生徒の通学や学習の自由度が高く、バックグラウンドもさまざまです。そのため進路についても、より多様な選択肢から、主体的に決定しなければならない難しさがあります。

通信制高校を卒業しても、その後の進路へ進む元気が出ないお子さんもいます。
また、卒業後すぐに大学などへ進学できなかったことで、周りに遅れをとったのではないかと不安になることもあるでしょう。

しかし、卒業後すぐに進学することが、人生のすべてを決定づけるものではありません。

ギャップイヤーがあってもいい

日本ではあまり馴染みがないですが、海外、特にヨーロッパやオーストラリアでは「ギャップイヤー」が多く利用されています。

ギャップイヤーとは、大学入学または卒業の前に、留学やインターンシップ、ボランティアを通してさまざまな経験を積むことです。

例えば、以下のような過ごし方があります。

  • 環境問題に興味がある人、動物が好きな人はWWOOFなどで農業体験をする。
    (参考:WWOOF「WWOOFについて」)
  • 北欧の文化に触れてみたい人、デザインやアートの学びを通じていろいろなバックグラウンドの人と繋がりたい人は、デンマークのフォルケホイスコーレに行ってみる。
    (参考:一般社団法人IFAS「フォルケホイスコーレとは」)
  • 専門学校に行きたいが自分が本当にそれに興味があるのか確信が持てず、お試しで実地の勉強をしてみたい人は、ハローワークの職業体験をしてみる。
    (参考:厚生労働省「ハロートレーニング(学卒者訓練)」)

ほかにもたくさんあります。

筆者はアイルランドの小さな島でWWOOFを体験したことがあります。

農業体験だけでなく、同じようにボランティアで訪れていたフランス人やスペイン人と、お互いの国や趣味について語り合ったり、その島に移住してきたウクライナの難民たちと交流したりする機会もありました。

また、筆者が日本から持参した抹茶を点てるととても喜ばれ、島の俳句サークルがつくった俳句集をもらいました。こんな遠く離れた小さな島で、日本文化が親しまれていることに驚きました。
そして、国や文化の違いは争いを生むものではなく、その違いを楽しむためにあるのだと実感しました。

このような猶予期間が、自分のやりたいことを見つけるきっかけになったり、自分自身を見つめ直す機会になったりすることもあります。

高校生までは、学校以外の社会に触れる機会がなかなかありません。

ですから、社会に出て自分がどんな仕事をしたいか、そのために何を学びたいかが分からないのは当然です。

ギャップイヤー中にさまざまな世界を知って、視野を広げることが、お子さんの積極的な進路選択につながっていきます。

大学で学びたいことが決まっていなくても大丈夫

「とりあえず大学に行きたいけど、学びたいことが分からない」というお子さんもいることでしょう。
それでも、大丈夫です。

大学入学前に自分の学びたいことが明確な人のほうが、むしろ少ないかもしれません。
1年生で総合的なことを学び、2年生以降でより自分の興味のある学問を選択できる大学・学部もあります。

在籍している高校によっては、こうした進学関連の情報にアクセスしづらいことがあります。
その場合は、予備校や不登校をサポートしている学習塾などに相談するのもよいでしょう。

以下に紹介する動画、記事も、「不登校だけど、大学に行けるのかな……」と不安な方のヒントになります。

■参考動画

不登校・中退の方のゼロからの学び直しTV「不登校・通信制高校から中央大学進学!経験者が語る逆転合格体験談

元不登校で通信制高校を卒業し、大学に進学された方のインタビューです。
大学進学についてだけではなく、元不登校の当事者として進学に至るまで悩まれたことや、その解決方法についてもお話しされています。

■参考記事

不登校オンライン「不登校から大学進学を目指す際、知っておきたい5つのポイント【全文公開】

元不登校当事者であり、数多くの不登校の生徒へ進学サポートをしてきた半村進さん。
その半村さんによる、大学進学に関するコラムです。半村さんは上の動画にもインタビュアーとして出演しています。

進路先は十人十色。何度でも迷っていい!

高校卒業後の1年や2年の間、浪人生活やインターンシップ、または趣味に没頭して過ごしたとしても、長い目で見れば、人生のごく短い期間です。

高校卒業後すぐに進学できなくても、焦る必要はありません。

むしろ、その1〜2年間で自分の本当に好きな何かを見つけることができれば、その後の人生の選択がよりスムーズになります。

それが進学であれ、就職であれ、お子さんが納得しているのであれば、それはきっと間違いない選択でしょう。

お子さんたちはこれから、社会の変化の速い時代を生きていきます。
決められた1つの正解を追うことよりも、自分が選んだ道を正解にしていくことのほうが大切かもしれません。

 

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