【ゲーム・スマホ特集】児童精神科医が、ルール作りの秘訣を伝授!〜使用時間、課金、ネッ友〜
児童精神科医・関正樹先生インタビュー。第2弾のテーマは、「ゲームのルール」です。
「どんなルールがいいかは家庭によって違います」。
そんなことを言われても……と心配になるかもしれません。
でも、「家庭」によって違うということこそが、実は重要なメッセージ。
今回も「不登校オンライン」のゲーム好き記者が、家庭でのゲームのルール作りに欠かせない「対話のポイント」を聞きました!
目次
守らせる力のないルールは「絵に描いた餅」
——保護者へのアンケートでは、「ゲーム・スマホのルールが守られない」という悩みが寄せられました。悩める保護者のみなさんに、ルール作りのアドバイスをいただけますか?
基本的には、どんなルールを作るといいかということは、家庭によって違います。
まず、ルールは子どもだけが一方的に守るもの、一方的に子どもに義務が課せられるものなのか。
いえいえ、そうじゃないんです。ルールは、子どもだけの義務ではなくて、保護者も守らせなくてはいけないものです。
ですから、厳しすぎるルール、守らせにくいルールを作ると、保護者も大変です。
子どもは守りやすくて、大人も比較的守らせやすい、できるだけシンプルなルールがいいと思います。
そのほうが、ルールを守ることを好きになってくれやすいと思います。
——ルールの内容は、「時間制限」がダントツで多かったです。でも、「決められた時間に終わりにできない」など、なかなか苦労されているようです。
時間のルールが決して悪いわけではないですが、守りにくいルールの1つと言えます。
たとえば、「ゲームは夕方5時まで。そこからは宿題」というルールを作るとします。そのときに気をつけなければならないのは、ちゃんと5時に大人が子どもに対して労力をかけられるか、ということです。
大人が誰もいない環境だったら、子どもはルールを守りません。
保護者が6時には帰って来るなら、「ゲームは6時まで」というルールにしたほうが、たぶん守らせやすい。対立も起きないし、子どももルールを守れたことで褒められて、さらに守りやすくなります。
——子どもがルールを守れなかったときには、どうしたらいいのでしょうか。
これは、「守りやすいルールに作り変える」の一択です。
守れなかったときにルールをより厳しくするのは、悪循環の始まりです。
ありがちなのが、ペナルティを与えて守らせようとすること。「1日1時間」が守れなくなったから「1日30分」にするというようにです。
「守れなかったから、ルールを厳しくしなければ」。
そう思ったときは、保護者が怒りのコントロールを失っている状態です。
一旦落ち着いて、わが家ではどんなルールなら「なんとか守れて、守らせられるのか」というラインを考える。守りやすいルールを設定して、それに対してちゃんとご褒美があることが望ましいと思います。
守れていない・守らせられていないルールがそのままになっているのが、いちばんよくありません。「大人との約束なんてそんなもんだ」「守っても守らなくても同じ」と、無法地帯になっているわけですから。
守りやすくて守らせやすい、ちゃんと機能するルールを作るのが大事だと思います。
ゲームへの課金、問題は「どうしてそこに課金したいのか」
——課金をせがまれて困っている保護者の方も少なくないですね。
課金が全部ダメかというと、そんなことはありません。
たとえば「フォートナイト」というゲームの「バトルパス」。あれは買っておくと便利です。
バトルパスとは、ゲーム内で自分が費やした時間や努力に応じて、特別なアイテムなどをもらうための仕組みです。スタンプカードのようなものをイメージしてもらうといいと思います。
自分の頑張りに対する報酬がはっきりしているし、持っていることでより快適に遊ぶことができます。さらに、バトルパスの金額には上限がありますので、課金のリスクはそれほど高くありません。
「冬の寒い日に、コートを着て出かける」のに似ています。
確かに着なくても出かけられるけど、着たほうが快適。バトルパスなし(無課金)でも遊べるけど、あったほうが快適。そんな感じです。
一方で気をつけたいのは、「ガチャ」(くじ)です。