
「教育は学校ありきではありません」 フリースクール代表が語る学校のよさと学校外の学びの場の必要性
「学校ありきで教育を考えることは子どもの視点に立っていない」。フリースクール代表の土橋優平さんはそう警鐘を鳴らします。子どもが学び場を選ぶ権利やその選択肢を用意することが大人の責務と指摘する土橋さんに、学校ありきで教育を考えることの問題点を語っていただきました。(連載「出張版お母さんのほけんしつ」第40回・写真は土橋優平さん)
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「親が優しくすると不登校は長引く」
「不登校の子どもは短期間で登校させることができる」
そんな文言がSNS上を飛び交っているのを最近よく見かけます。それを読んだ親御さんのなかには複雑な心境でいらっしゃる方も多いのではないかと思います。
これまでがんばって子どもの気持ちに寄り添い「そんなにつらいなら学校には無理に行かなくても大丈夫だよ。まずは休もうね」。そんな声がけもされた方もいらっしゃるでしょう。学校以外の学びの形を探り、徐々にそれを確立してきている方もいらっしゃるのではないかと思います。
はっきりとお伝えします。みなさんがたくさんの葛藤を乗り越えて得たその価値観や教育の在り方はまちがっていません。
学校は教育を受ける手段の1つ
最初にお伝えしますが、私は学校へ行きたい子は行けばいいし、行きたくない子・合わない子は行かなくていいと思っています。学校はあくまで選択肢の1つであり、教育を受ける手段の1つです。
冒頭に載せたような発信の大きな問題は、学校ありきでしか教育を考えられないことです。私はフリースクールを運営しているので、学校のすごさは痛いほどわかります。教室があり、授業があり、先生がいる。校庭や体育館で運動もできるし、お昼は給食も出るから準備する必要がない。クラスの担任、学年主任、養護教諭など様々な役割を持った専門家がいる。そして学校のなかのほとんどのことが無償である。これは本当にすごいことです。国から補助の出ないフリースクールでは、ここまで用意することは絶対にできません。
でも「こんなによい環境を整えたんだから来なさいよ」と言われても、それは大人側の論理です。子どもの視点に立っていません。
選べる大人、選べない子ども
例えば、みなさんが働く職場で起きたこととして想像してみてください。
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