【連載】「昼夜逆転はいつか治ります!」わかっちゃいるけど……「いったいいつまでそのままでいいの?」のジレンマに効く6つの視点
【完全保存版!全3回連載】「いつまで待てばいいの……?」親のジレンマ、子のジレンマに効く最強!?ルール 不登校支援の最前線から相談員がおこたえします!
不登校の子どもの保護者を悩ませる、子どもの「ゲーム・スマホ」「昼夜逆転」「勉強」。近年、専門家がさまざまなメディアで「強制はNG! まずは見守りを」と発信しています。
とはいえ、変化の見えない現状に、「いったいいつまでこのままでいいの?」という不安も。
そんなジレンマへの対処法を、不登校支援の最前線で相談員として約12年間、子どもと保護者双方の悩みに寄り添ってきた半村進さんに聞きました。
ジリジリと焦らされるような日々に効く実践メソッドを、全3回にわたってお届けします!
- 第1回「ゲームやスマホの禁止はNG!」わかっちゃいるけど……「いったいいつまでやらせてていいの?」
- 第2回「昼夜逆転はいつか治ります!」わかっちゃいるけど……「いったいいつまでそのままでいいの?」 ←今回はこちら
- 第3回「勉強の話をするのはダメ絶対!?」わかっちゃいるけど……「いったいいつまで勉強しなくていいの?」
昼夜逆転が始まった!!
「うちの子の昼夜逆転は本当にひどいんです。夕方6時ごろに起きてきて……」。
親御さんからのこんなご相談も珍しいものではありません。「昼夜逆転」は不登校を語るうえで欠かせない「キーワード」とも言えます。
学校に行かなくなった当初は、心身ともに疲れていて、とにかく長い時間寝てばかり。その段階を抜けて、家の中では少し元気そうかな……と思ったら、今度はハデな昼夜逆転が始まってしまった!!
- 「若いとはいえ、こんな生活が続いたら体を壊してしまうのでは?」
- 「もとの生活リズムに戻れなくなったらどうしよう」
- 「子どもの昼夜逆転に振り回されて、自分も眠れなくなってしまった……」
こんな悩みを抱えている方々に、ぜひ今回の記事を読んでいただきたいと思います。
うちの子の昼夜逆転、ほっといてもいいの?
文部科学省による「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」(※1)でも、昼夜逆転は、不登校の子どもの多くが通る道だということが示されています。
小学生の40.2%、中学生の56.3%が「昼夜逆転など生活リズムが大きく乱れていた」(保護者から見た子どもの様子)と回答しています。
「それはそうなんだろうけど、いつまでそのままでいいの?」というのが、親御さんたちの本音でしょう。
結論から申しますと、子どもたちはやがて自分の生活リズムを取り戻していきます。実際、多くの不登校経験者の方々が、普通に社会人として暮らしています。
しかし、注意が必要なケースもあります。
前回の記事(第1回「ゲームやスマホの禁止はNG!」わかっちゃいるけど……「いったいいつまでやらせてていいの?」)では、ゲーム・スマホ使用の「このラインを越えてしまうとマズい」という境界線がわかる「めやす」をご紹介しました。昼夜逆転についても、この境界線に注目してみます。
今回はさらに、昼夜逆転を治したくなったとき、あるいは少しでも軽くしたくなったときに、すぐに試せる実用的な対処法もご紹介します。
そもそも、昼夜逆転は「悪」なのか 不登校の子どもの6割以上が思っていること
本題に入る前に、子どもが昼夜逆転になるのには理由があること、昼夜逆転がいつも「悪いこと」とは限らないということもお話ししておきます。
「早寝早起き」が良しとされる私たちの文化の中では、昼夜逆転には全然メリットがないようにも見えます。しかし、学校に行きづらくなっている子どもにはメリットがあるかもしれないのです。
朝は、家の外からさまざまな音が聞こえてきます。登校中の子どもたちの声が聞こえることもあるかもしれません。家の中からも、家族の1日の始まりの生活音が聞こえてきます。
そうした音が、不登校のお子さんにとっては「みんなは朝からちゃんと活動しているのに、自分は何もできていない……」と自分を責めるきっかけになることがあるのです。
深夜であれば、そのような「心をかき乱す音」を聞いて落ち込むことはありません。子どもにとって「ほかの人の目から逃れられる」貴重な時間帯が、深夜であるということもよくあります。
先ほどの文部科学省の調査から、子どもたちの気持ちを見てみましょう。
「学校を休んでいる間の気持ち」について、小学生の64.4%、中学生の71.6%が「学校の同級生がどう思っているか不安だった」。また、小学生の40.2%、中学生の47.2%が「家族がどう思っているか不安だった」と回答しています(数字はいずれも「あてはまる」「少しあてはまる」の合計)。
「(同級生や家族が)どう思っているか不安」という気持ちには、学校へ行かないことに対する「うしろめたさ」「罪悪感」もあることでしょう。
そう考えると、不登校の子どもが昼夜逆転になるのは決して不思議なことではありません。それどころか、時期によっては、昼夜逆転が本人の心の安定を保つうえで役立っていることもあり得ます。
昼夜逆転の時期を経て、本人が「昼夜逆転をなんとかしたい」と思うようになったのであれば、この記事の後半でご紹介する対処法を参考に無理せず対応してみてください。
ただ、子どもの昼夜逆転が以下でご紹介する「マズい昼夜逆転」に該当せず、今のところ「昼夜逆転をなんとかしたい」と本人が思っていない場合は、いったんそのままにしておくという対応も、決して的外れなものではありません。
うちの子の昼夜逆転は大丈夫? 「マズい昼夜逆転」チェック
では、具体的に「本当にマズい昼夜逆転かどうか」の見分け方についてお話ししていきましょう。①〜⑤に該当する場合には、医療機関に相談してください。
①睡眠時間が短すぎ、または長すぎないか
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