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【連載】「勉強の話をするのはダメ絶対!?」わかっちゃいるけど……「いったいいつまで勉強しなくていいの?」のジレンマに効く見極めタイミング3つ

【完全保存版!全3回連載】「いつまで待てばいいの……?」親のジレンマ、子のジレンマに効く最強!?ルール 不登校支援の最前線から相談員がおこたえします!

不登校の子どもの保護者を悩ませる、子どもの「ゲーム・スマホ」「昼夜逆転」「勉強」。近年、専門家がさまざまなメディアで「強制はNG! まずは見守りを」と発信しています。

とはいえ、変化の見えない現状に、「いったいいつまでこのままでいいの?」という不安も。

そんなジレンマへの対処法を、不登校支援の最前線で相談員として約12年間、子どもと保護者双方の悩みに寄り添ってきた半村進さんに聞きました。

ジリジリと焦らされるような日々に効く実践メソッド全3回。最終回はいよいよ「勉強の話」です!

前回まではこちら
第1回「ゲームやスマホの禁止はNG!」わかっちゃいるけど……「いったいいつまでやらせてていいの?」
第2回「昼夜逆転はいつか治ります!」わかっちゃいるけど……「いったいいつまでそのままでいいの?」

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「そろそろ勉強をしてほしい。でも本人にそんなことを言っていいのか……」

こんなお悩みも、親御さんから必ずと言っていいほど聞くものです。

不登校の間に勉強がどんどん遅れていく!

学校に行けなくなるということは、本人のエネルギーが落ちているということ。まずはエネルギーの回復が最優先。心身の調子がよくならないと、なにごとも始まらない。そんなときに勉強の話をしても何もいいことはないよね……。

こうしたことは、きっと親御さんもよくわかっています。我が子の心身のコンディションこそがいちばん大切。それが親御さんの自然な気持ちでしょう。

でも、でも……いつまで勉強の話をするのを待てばいいのでしょうか?

  • 最近は、お笑い動画を見てゲラゲラ笑っているし、オンラインゲームもにぎやかにやっている様子。もう十分エネルギーは貯まったのでは?
  • いや、でも……ここで勉強の話を切り出したら、一気に子どもの調子が落ち込むかもしれないし。いったいどうすればいいんだろう……。

こんなモヤモヤを解消するためには「子どもに勉強の話をしてみてもよいタイミング」を知っておくことが重要です。「なるほど、こんなタイミングならちょっと勉強の話をしてもOKなのか」と親御さんの気持ちもスッキリするはず。

この記事ではタイミングだけでなく、親が勉強の話をする際に気をつけておいたほうがよいこと、そして、もし子どもが「勉強してみる」と言ったときに心掛けておくとよいことについてもご紹介します。

子どもに「ちょっと勉強してほしい」と思っているすべての親御さんに、ぜひ読んでいただきたいと思います。

不登校の子どもにとっても学びは重要

少し硬い話から入りますが、「教育機会確保法」と呼ばれる法律があります。「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」というのが正式名称ですが、その中に以下のような一節があります。

(基本理念)
第三条
四 義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢又は国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにするとともに、その者が、その教育を通じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること。

文部科学省「別添3 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年法律第105号) 」

文字をオレンジの太字にしている「社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう」という点。これこそが、勉強の真の目的と言っていいと思います。

もちろん、成績や進路の選択肢も気になるところではありますが、最終的には「うちの子が自立して豊かな人生を送ってほしい」というのが、親御さんのいちばんの願いではないでしょうか。

この願いに「不登校かどうか」は関係ありません。どのような子どもにとっても、そして親御さんにとっても、やはり勉強は重要だと言えるでしょう。

そして実は、子どもたち自身も勉強のことが気になっていることを示すデータがあります。

実は子ども自身も勉強のことを気にしている

文部科学省による、不登校になっていた子どもの実態調査の結果を見てみましょう。

〇学校を休んでいる間の気持ち(数字は「あてはまる」と「少しあてはまる」の合計)

「勉強の遅れに対する不安があった」
 小学生 63.8%
 中学生 74.2%

「進路・進学に対する不安があった」
 小学生 47.0%
 中学生 69.2%

文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要 」

小学生でも中学生でも、多くの子どもが不登校になっている間、勉強のことを気にしていたことがわかります。

「勉強なんてどうでもいい」と口にする子どもも、内心では勉強のことが気になっているということは、よくあります。そして「勉強のことが気になっている」「勉強をやらないのはマズいとわかっている」からこそ、できない自分を責め、追い詰められる子どももたくさんいるのです。

勉強をしていても要注意!?

「勉強のことで追い詰められている子ども」にも、いろいろなケースがあります。

「勉強をしていない自分を責める」ケースはわかりやすいですが、「勉強をタップリしていても追い詰められる」という事態もあり得るのです。

こうした「勉強していてもマズいケース」もちゃんとお話ししておかないといけません。

その筆頭が、「強迫的に勉強している場合」です。「強迫的」というとわかりにくいかもしれませんが、つまりは「勉強し過ぎることで悪影響が出ているのに、勉強を減らすことができない」状態です。

睡眠もろくに取らずに、顔色の悪い中で勉強を続けている子どもを、周囲の人たちは心配している。しかし当の本人は、「勉強時間を減らしたら人生終わる」「ここでペースを緩めたら追い抜かれてしまう」という考えに支配され、文字通り「身を削って」勉強を続けてしまう。そんな事態も起こり得るのです。

とくに日本の若者の場合、「準備をすればするほど自信がなくなり不安感が高まる」傾向を持つ人が多いことを示す研究もあります(金沢大学・金間大介教授による。Global Entrepreneurship Monitor : GEM 2017/18 Global Report, 2018)。

「必要な睡眠や食事の時間を削って勉強し続けている」「勉強に関連して、知り合いや友人に対する攻撃的な物言いが増えてきた」「『受験に落ちたら自分は終わり』など、『終わり』という言葉をよく使うようになった」。このようなサインがあったら要注意です。

勉強をしていなくても要注意!?

では、「勉強してなくてマズいケース」とはどういうものでしょうか
こちらは大きく分けると2つあります。

1つめが、「単に勉強をしていないだけでなく、なにごとにも興味を失くしている場合」です。とくに「これまで好きだったはずのことにも興味が持てない」という状態が、2週間以上続いた場合には注意が必要です。メンタルの不調が強まっているかもしれないからです。この場合は医療機関に相談しましょう。

そして2つめは「勉強をしていないことで、かえって子どもの不安が強くなっている場合」です。不登校になってしばらくは、「勉強のことなんて考えたくない、あるいは考える余裕がない」という状態だった子どもが、次第に勉強のことを気にするようになることはよくあります。とくに「自分が何もできていない間に、他の人たちは勉強を進めているはず」という思いが強くなると、そのために心身のコンディションをくずしがちです。

そんなときは、少し勉強に手を付けてみることで本人の不安が軽くなることもあります。週に複数回、本人から「勉強の話題」や「学校に行っている人たちと自分を比較する言葉」が出るなら、このパターンに当てはまっている可能性が高いと思います。

勉強の話、このタイミングならOK

いよいよ、勉強の話を切り出してもよさそうな3つのタイミングについてお話しします。

【連載】親のジレンマ、子のジレンマ
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