「不登校を挽回しなきゃ」 そう思っていた私の現在地

「不登校した分、人生を取り返さなきゃ」。人生を挽回しようと、就職活動に臨んだ山本優美(ゆうみ)さん(仮名)。しかし、人からどう見られるかを意識して選んだ仕事に違和感を抱きます。離職後、自分軸で生きる道を歩む山本さんに、気づきを与えてくれたひとこととは? 半生をふり返り、今、自身の不登校について思うことを綴っていただきました。(文=山本優美)

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「不登校はいい経験だった」と思っていたけれど

私が不登校になったのは高校1年生のときだ。小学生のころから感じていた学校への窮屈感、きびしい受験塾に通っていた疲れ、希望する学校へ入れなかったショックなど、ストレスが積み重なって爆発し、入学してすぐに「もう行きたくない」となった。その後は悩んだ結果、もとの学校へ復帰することは断念し、その年の秋に通信制高校へ転入する。

不登校中はつらかった。「なんでこうなったのか」と自分を責め、「これからどうやって生きていけばいいのか」と絶望していた。しかし、通信制高校へ入ってすこしずつ元気になっていった。私が入った学校は学年もクラスもなく、自分で履修計画を立てて単位を取得していくシステムで、生徒の自主性が重んじられていた。私は何でも自分で決めて行動に移していけるのがうれしかった。

「不登校にならなかったら、こんな学校に来ていなかっただろうな」と私は思っていた。かつては一度入った高校をドロップアウトした自分をふがいなく思っていたけれど、それがあったから今の充実した生活があるのだと、私は不登校経験を「いい経験」のように思い始めた。

しかし高校卒業後、大学へ進学して、社会へ出ることを意識すると、「私は不登校というマイナスの経験をしているから、これから人生を挽回しなければならない」と思うようになってしまった。なぜだろうか。

「一発逆転」を意識したワケ

不登校をマイナスの経験と思うようになったのは、

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