不登校の中学生には何をさせる?3段階別にオススメの過ごし方を紹介!
中学生のお子さんが不登校だと、保護者の方は、「学校に行く代わりに、何をさせるべきなのか(何をさせたら子どものためになるのか)」とお悩みのことが多いです。
このコラムでは、不登校オンライン編集部が、不登校の段階別にオススメの過ごし方を紹介します(監修:半村進)。
学校に行かない(行けない)お子さんにヤキモキ・心配・イライラ…そんなお気持ち、お察しします。
でも大丈夫。
お子さんは(そして保護者の方も)、必ず「次の一歩」に進めます。
キズキ相談担当 半村進
はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。
【執筆記事・インタビューなど(一部)】
目次
- 大前提〜不登校のサポート団体を積極的に利用しましょう〜
- 不登校中学生の過ごし方〜①初期:不登校・行き渋りが始まった時期〜
- 不登校中学生の過ごし方〜②中期:少し元気になってきたとき〜
- 不登校中学生の過ごし方〜③後期:元気を取り戻したとき〜
- 文部科学省の調査に見る、不登校の中学生が実際にやっていること
- 不登校の中学生の、再登校・転校(社会復帰)へのアドバイス
- 保護者や家族にできる、不登校の中学生のサポート方法
- 保護者が自分自身の人生を楽しむことが、子どものためにもなる
- 中学生の不登校について相談できるサポート団体・専門家の例
- 不登校の中学生の、高校受験・進路はどうなる?
- 文部科学省の調査に見る、中学生が不登校になった理由
- まとめ〜不登校の中学生は、次第に元気を取り戻します〜
大前提〜不登校のサポート団体を積極的に利用しましょう〜
不登校中の中学生に何をさせるか(=不登校の中学生が「次の一歩」に進むためには、何をしたらいいのか)。この問いには、様々な答えがあります。
あなたのお子さんに向いた「すること」も、必ずあります。
そして、「何をするか(させるか)」も「不登校そのもの」も、もっと言うと子育て全体についても、お子さんのことを保護者だけで抱え込む必要はありません。
不登校の中学生と保護者をサポートする団体はたくさんあります。
サポート団体を積極的に利用することで、お子さんも、保護者も、「次の一歩」に進みやすくなります。
ぜひ、お子さん(と保護者の方)に合いそうなサポート団体を探してみてください。サポート団体・相談先の例は、こちらで紹介しています。
次章以下で紹介する内容についても、サポート団体に相談することで、実際のお子さんの状況・段階や、実際のお子さんやご家庭のための具体的な方法などがわかっていきます。
不登校中学生の過ごし方〜①初期:不登校・行き渋りが始まった時期〜
不登校・行き渋りが始まった時期のお子さんは、その理由がなんであれ、がんばりきって、疲れきっていることが多いです。
お子さんは、休養を必要としているということです。
この時期のお子さんは、ずっと寝ていたり、ゲームやスマホばかりしていたり、何か聞いても答えなかったり、ということがよくあります。
保護者の目には「ただダラダラしている」と映るかもしれません。
しかし、特に具体的な「何か」をする・させる必要はありません(※1)。
基本的にはお子さんには好きなことをさせて、過ごしたいように過ごさせましょう(※2)。
もしこの段階でもお子さん本人が「何かしたい」と望むようであれば、次章以下を参考にしてみてください。
※1:不登校や行き渋りの背景には、子ども本人に自覚がなくても病気や障害が関係することもあります。その可能性については、病院に相談しましょう。
※2:家庭内暴力、自傷行為、犯罪につながるような行動などをするときには、警察や病院などに相談しましょう。
不登校中学生の過ごし方〜②中期:少し元気になってきたとき〜
休養の時期を過ぎると、お子さんはだんだん元気になっていきます。
学校に行っていないぶん時間があるので、「何かしたい」と思うようになります。
そんなときに、お子さんの好きなことや興味のあることをさせると、お子さんはますます元気になっていきます。
好きなことを通じて自己肯定感を育んだり、人とのコミュニケーションを学んだり、将来につながる道を見つけたり。
ぜひ、お子さんの興味・希望に寄り添ってください。
①家の中でできること
家の中では、次のようなことができます。保護者の方も一緒にできるものがあれば、一緒にしてみましょう。
(1)家事の手伝い
家事の手伝いは、「学校に行けなくても、家族の役に立っている」という実感を持てます(お子さんの負担にならない範囲の「手伝い」としましょう)。
- 料理
- 洗濯
- 掃除
- ペットの世話
子どもが何かの家事をした後には、お礼やねぎらいを伝えましょう。
料理については、お子さんが「手伝い」ではなく積極的に料理作りやお菓子づくりを行うこともあります。
(2)軽い運動
不登校で家からも出ないと、運動不足になりがち。
軽い運動は健康につながります。
- 体操
- 筋トレ
- ヨガ
(3)以前の趣味の再開、新しい趣味の開始
不登校であっても、趣味を楽しんでいいのです。「好きなこと」に取り組むことは、気持ちを明るくし、エネルギーをチャージしていきます。
- 読書(電子書籍なら家の中で購入できます)
- ネットの動画配信サービス
- イラストや絵画の作成
- 手芸、工芸、園芸
- 詩や小説やブログの執筆
- 楽器の演奏(近所迷惑にならない範囲で)
- パズル
- ゲーム
特にゲームについては、保護者の方はイヤがることも多いです。しかし、「エンターテインメントを楽しむ」という意味では、読書や映画と同じと考えることができます。
また、オンラインゲームでは、その中で「友だち」ができることもあります。適切に利用できれば、学校に行かず、家庭からも出ないお子さんにとって、社会や他者とのつながりになることもあるのです。
(4)友達と遊ぶ
遊びたい友だちがいるなら、不登校であることを気にせずに遊んでOKです。
仲のいい友だちとの無理のない交流は、お子さんの気持ちを明るくします。
(5)勉強
勉強も、お子さんがイヤがらないようでしたら、この段階で始めてOKです。
- オンライン教材などを利用して自分で進める
- 家庭教師に依頼する
- オンラインで利用できるフリースクール・学習塾を利用するなど
お子さんがイヤがるようでしたら、保護者としては心配でしょうが、もう少し時期を待ちましょう。
無理やり勉強させようとしてもうまくいきません。また、お子さんが「勉強(や学校)」についてイヤな思い出があるなら、それを思い出して落ち込むかもしれません(ただし、学校と似ていない環境、他人と比べられない環境、厳しすぎない環境であれば勉強できることもあります)。
②外出してできること
外出は気分のリフレッシュにつながります。また、「スケジュールのある用事」は、生活リズムを整えるためにも役立ちます。
外出できる(できるようになった)場合の候補を紹介します。こちらも、保護者の方が一緒にできるものがあれば試してみてください。
(1)買い物の手伝い
家事同様に、「家族の役に立っている」という実感を持てます。
(2)家の外での軽い運動
外での軽い運動は、家の中よりも「できること」が増えます。
- 散歩(犬がいるなら犬の散歩も)
- ジョギング
- 設備が必要な筋トレなど
(3)図書館での読書
外出と読書を同時に楽しむことができます。
(4)何かの団体に参加
共通の目的を持つ、新しい仲間と過ごせます。
- 習いごと
- ボランティア
- 地域のスポーツ団体
- 趣味の集まり(地域の手芸サークルなど)
こうした団体では、目的のための行動(習いごとの技術向上など)も充実していますし、不登校で不足しがちなコミュニケーションも補えます。
共通の目的がある人たちなら、会話もしやすいでしょう。
不登校であることは、お子さんが言いたければ言ってOKですし、言いたくなければ言わなくてOKです。
(5)勉強
外出できるなら、通学タイプのフリースクール・学習塾なども利用できます。
不登校に理解のある学習塾では、朝から、昼からなど、学校のある時間帯にも授業を行っていることがあります。
勉強についての注意点は、「家の中でできること」で述べたことと同じです。
(6)その他
他に、不登校オンラインが知っている具体的な例としては、次のようなものがあります。
- 釣り
- 美術館巡り
- 水族館巡り
■ご注意1:
お子さんは、同級生と出くわすことをイヤがることがあります。
そんな場合は、同級生と会わなそうな時間や場所に保護者が連れて行くようにしましょう。
■ご注意2:
平日の昼間にお子さんが一人で外出していると、補導される可能性もあります。
「お子さんが、一人で、いつ、どこに行くか」については留意しましょう。
補足1:保護者から「すること(させること)」を提案してもいい…?
保護者の方からの「これをしてみたらどう?」という提案は、選択肢が増えるという意味では、子どもに歓迎されることもあります。
特に「外出して参加する、何かの団体」については、お子さんが知っている候補は少ないのではないでしょうか。
その上で、実際に何をやるかについては、お子さんの意思を尊重しましょう。
もちろん、「現実的に、予算の関係で難しい」「その習いごとは、遠すぎて送迎できない」などの場合は、正直にそう伝えてOKです。
補足2:始めたことを、すぐにやめたら…?
お子さんが、取り組み始めたことに対して「やっぱり向いてなくて(飽きて、思っていたのと違って)すぐにやめる」可能性はあります。
保護者としては、「自分がやりたいって言ったのに…」「元気になると思ったのに…」「お金も時間もかけたのに…」などと思うかもしれません。
しかし、お子さん自身も、「やっぱり自分はダメだ…」「せっかく親に協力してもらったのに…」と落ち込んだり、「なんで続けられないんだ!」と自分自身に腹を立てていたりします。
保護者の方は、そんなお子さんを、どうか叱らないでいただきたいと思います。
この状況での「叱らないこと」は、甘やかしではなく、寄り添いと言っていいでしょう(「子どもへの態度が合っているかどうか」は、サポート団体などに相談しましょう)。
補足3:「元気になってきたなら、学校に行ってほしいんだけど…」と思っちゃダメなの?
保護者としては、「元気になってきたのなら、学校に行ってほしい…」と思うかもしれません。
そのお気持ちは、お察しします。
しかし、お子さん本人からそのような言葉が出ないうちは、まだその段階ではありません。
また、「今在籍している中学校・クラスへの登校再開」は、必ず目指すべきことでもありません。
学校に行かないことに伴う苦労や心配があることは否定しませんし、高校受験の選択肢が狭まる可能性はあります。
そうした将来の心配についても、サポート団体に積極的に相談することで、具体的な対策などが見えてきます。
不登校中学生の過ごし方〜③後期:元気を取り戻したとき〜
お子さんが元気を取り戻したら、いよいよ「次の一歩」に向けた行動を起こせます。
ここで言う次の一歩とは、「今在籍している中学校・クラスへの登校再開」とは限りません。次のような選択肢もあります。
- 保健室登校や別室登校。
- 転校。
- 登校再開はせず、塾などで勉強して高校進学。
その上で、お子さん自身が登校を再開したいと思っている場合には、そのことをサポート団体や学校と話して、具体的なステップに進んでいきましょう(あとで紹介します)。
登校再開を望んでいない場合には、「では、具体的にどうするか」について、やはりサポート団体や、必要に応じて学校とも話しながら、検討していきましょう。
そして、登校を再開するにしてもしないにしても、この段階では、お子さん自身も「そろそろ勉強をしないと」と思っています。
学校、塾、家庭教師、フリースクール、オンライン教材などを利用して、勉強を再開しましょう。
また、不登校の中期でしていたことは、お子さんが継続したいと思っているなら継続してOKです。
登校再開するにしてもしないにしても、学校と家庭以外に居場所や楽しい場所があると、エネルギーをチャージすることができます。「もういいや」と思っているならやめても問題ありません。
文部科学省の調査に見る、不登校の中学生が実際にやっていること
文部科学省の調査で、不登校中の中学生が行っていたことが公表されています。参考として紹介します。(出典:文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」令和3年10月公表※PDFファイルです。)
以下、「よくしていた」順です。
- インターネット・ゲーム・動画視聴など
よくしていた:67.4%
ときどきしていた:19.6% - テレビ視聴
よくしていた:38.3%
ときどきしていた:26.5% - 趣味・遊び(1,2,4以外)
よくしていた:34.9%
ときどきしていた:25.8% - SNS(LINEやツイッターなど)
よくしていた:33.6%
ときどきしていた:19.1% - 家事の手伝い
よくしていた:16.6%
ときどきしていた:34.5% - 外出
よくしていた:10.1%
ときどきしていた:32.2% - 自宅での学習
よくしていた:6.0%
ときどきしていた:15.3% - 友達と一緒に遊ぶこと
よくしていた:15.5%
ときどきしていた:22.9% - その他
よくしていた:7.2%
ときどきしていた:10.7%
不登校の中学生の、再登校・転校(社会復帰)へのアドバイス
不登校の中学生が「今在籍している学校・クラスへの登校再開」や「転校」を目指している場合のアドバイスを紹介します。
ただし繰り返すとおり、それらは「必ず目指すべきこと」ではありませんし、社会復帰=登校再開・転校とも限りません。
中学校に行かない(行けない)ままでも卒業後の進路はありますので、思い詰めないようにしましょう。
①学校とのつながりを保つ
登校再開の場合も転校の場合も、学校とのつながりは保っておきましょう。
事務的な手続きのため、という意味はもちろんあります。
それ以外にも、不登校(からの登校再開や転校)に理解がある学校の場合は、「その子が」登校再開や転校をスムーズに進めるための具体的な方法・ステップ・前例などを提案されることもあります。
②登校再開の場合、保健室登校や受けやすい授業からでOK
登校再開を目指す場合、「最初から、クラスですべての授業を受けることを目指す」必要はありません。
保健室登校や別室登校も利用しながら、次のような方法があります。
- 週に何回かだけ行く
- 受けやすい授業だけ参加する
- 午前だけ行く(午後だけ行く)
- 部活や行事だけ参加する
また、お子さん自身が登校再開を望んでいるとしても、行けたり行けなかったりを繰り返すことはよくあるということは、あらかじめご理解ください。
③転校の場合、どのような学校がいいか(イヤじゃないか)を考える
転校を考えている場合には、どんな学校ならいいか(イヤじゃないか)を考えましょう。
- 厳しい学校か、おおらかな学校か
- 通学時間や通学手段は
- 通学路には何があるか
- 今の学校にある「いいところ」や「イヤなこと」は何か
公立も私立も、学校にはある程度の「校風」があります(特に公立の場合は、「そのときの校長先生」や「そのときの同級生」による部分もあります)。
サポート団体も交えて、お子さんに向いている・向いていない学校はどのようなものかを考えていきましょう。
また、転校先の学校に不登校についての話をどれくらい伝えるか、どのようなサポートがほしいかなどについても話し合いましょう。
なお、公立中学校でも、引っ越しをしなくても学区外に転校できる場合があります(ただしその場合、通学の距離・時間が増えるかもしれません)。
保護者や家族にできる、不登校の中学生のサポート方法
不登校の中学生に保護者や家族ができるサポートを紹介します。これは、不登校の理由やお子さんの状態がどのようなものであるとしても、共通するものです。ただしその分、やや一般論的な内容になっています。
「実際の、あなたのお子さん」が次の一歩に進むための具体的な対応については、②の専門家と話すことで見つかっていくはずです。
①学校を休むことを認める
子どもが学校を休むことを認めましょう。
言葉に出して、「学校には行かなくていいよ」と伝えるのです。
「理由がわからない」としても、事実として学校に行けないお子さんは、がんばりきって、疲れきっています。
しかし同時に、「学校には、行かなくてはいけない」「学校に行けないことを、親は怒っている」などと思い込んでもいます。
保護者が「行かなくていい、休んでいい」と明確に伝えることで、子どもは安心して休むことができます。
「そうは言っても、本当に休ませていいものか…」と悩む方もいるでしょう。そんな方は、「学校休んだほうがいいよチェックリスト」をご利用ください。簡単な質問に答えるだけで、精神科医からの回答結果が届きます。
■学校休んだほうがいいよチェックリスト
②専門家に相談する(子どものことを、保護者だけで抱え込まない)
不登校に詳しい専門家に相談しましょう。子どものことを、保護者だけ、家庭だけで抱え込まないでください。
「理由がわからないのに、相談していいのだろうか」「自分の子どもだから、まずは自分たちでなんとかしないと」などと思う必要はありません。
不登校の子どもと保護者をサポートする団体は、実にたくさんあります。
そうしたところは、様々な事例や対応法を知っています。
早めに、そして積極的に相談することで、子どもも保護者もきっと気が楽になり、次の一歩に進みやすくなります(相談先の例は、後で紹介します)。
サポート団体は、保護者にも役に立つ
保護者のサポートも行う団体もあります。次のような「保護者としての悩み」も、具体的な解決方法がわかっていきます。
- ずっと家にいる子どもとどうコミュニケーションをとったらいいのか、一緒にどのように過ごせばいいのかわからない。
- 自分の子育てが「合っている」のか知りたい。
- (次項に関連して)どうやったら家庭を子どもの安心に繋げられるかわからない。
③家庭を子どもが安心できる場所にする
家庭を、子どもが安心して過ごせる場所にしましょう。
「家庭の居心地がいいと、子どもはそのまま引きこもりになるのでは…?」と思うかもしれませんね。
しかし、それは逆です。
安心できる家庭があることで、子どもは、「外で何かあっても、家がある」と思えます。家庭を足がかりに(学校も含めて)家庭の外にチャレンジしやすくなるのです。
④生活リズムの乱れに注意する、ただし…
健康のため、子どもの生活リズムの乱れには注意しましょう。
不登校の子どもは、どうしても昼夜逆転などになりがちです。
ただし、過度に気にする必要はありません。
詳細は、下記の関連記事をご覧ください。
・「最低限、屋根、ごはん、お風呂だけでOK」親が限界を越えないために知っておきたいこと〜「海老名こころのクリニック」院長・桑山紀彦先生〜
・「ゲームやスマホの禁止はNG!」わかっちゃいるけど……「いったいいつまでやらせてていいの?」のジレンマに効くチェックポイント5つ
・「昼夜逆転はいつか治ります!」わかっちゃいるけど……「いったいいつまでそのままでいいの?」のジレンマに効く6つの視点
⑤その他
そのほかにも、保護者が子どもにできることはいくつもあります。気になる方は、下記の関連記事をご覧ください。
保護者が自分自身の人生を楽しむことが、子どものためにもなる
子どもが不登校だと、保護者としては不安や苦労が絶えないかもしれません。
サポート団体も利用しつつ、お子さんのケアをすることは大切です。
ですが、保護者は保護者で、自分の人生を楽しむようにしましょう。
「子どもにつきっきりにならない、過度な干渉をしないようにしましょう」と言うこともできます。
- 仕事を続ける。
- 旅行をする。
- 趣味を続ける(新たに始める)。
子どもが不登校でも、そうしたことは行ってもちろん問題ありません。
子どもは子どもで、「自分が学校に行けないせいで、親に苦労をかけている」と思っています。
つきっきりになられると、「ずっと見張られているようで、親は自分のことを信用してないな…」と思うこともあります。
保護者が子どもから離れて楽しそうに過ごす姿を見せることで、そうした気苦労が減っていくのです。
また、そうした姿は、「大人のロールモデル」にもなります。
「今は不登校で苦しいけど、大人になったら親みたいに楽しく過ごせるかもしれない」と、将来への希望を持つことに繋がります。
中学生の不登校について相談できるサポート団体・専門家の例
中学生の不登校(学校行きたくない、行き渋り、不登校)」について相談できるところは、公共・民間を問わずたくさんあります。
相談先がお住まいの近くにない場合も、電話やメールで相談できるところも多いです。ぜひ積極的に利用してみてください。
「子どもに何をさせるか(何が子どものためになるか)」ということも、もちろん相談できます。
さまざまな知見を持った相談先と話すことで、「子どもにどのように接するべきか」「今の学校の登校再開を目指すべきか」「別の進路を選ぶべきか」など、悩みの解決策がより具体的に見えてくるはずです。
また、相談先とは相性があります。1つの相談先が合わなかったとしても、「もうダメだ」とあきらめないでください。「ここは合わなかったな。次を探そう」と切り替えると、保護者も子どもも気持ちが楽になります。
相談先①不登校の支援団体
現在の日本には、不登校の支援団体、フリースクール、不登校に詳しい学習塾など、不登校関連の民間団体がたくさんあります。
これらの団体には、それぞれに独自の理念、支援方法、事例、ノウハウなどがあります。
例えば、「〇〇市 不登校 支援団体」「〇〇県 フリースクール」などとインターネットで検索すると、お近くの団体が見つかります。
また、遠方からオンラインで相談できる団体もあります。
見つけた団体の理念や支援が子どもに合いそうなら、問い合わせてみましょう。
相談先②公的な相談窓口
市区町村などが運営する公的な相談窓口もあります。
- 児童相談所、児童相談センター
- 教育センター
- ひきこもり地域支援センター
- 発達障害支援センター
自治体によって名称や機能が異なる場合もあります。お住まいの自治体の相談窓口については、市区町村の公式サイトや代表電話で確認しましょう。
相談先③不登校の「親の会」
全国各地に、不登校の子どもがいる保護者同士が集まる「親の会」があります。
親の会では、会の目的によって、お互いに悩みを相談したり、有益な情報を交換したり、雑談をしたりすることができます。
同じ悩みを共有できる方が近くにいるだけで、抱えている不安がやわらぐこともあります。
インターネットで、「お住まいの都道府県・市区町村名」と「不登校 親の会」を組み合わせて検索すると、お近くの会が見つかります。
①の民間の相談先と同様に、オンラインで参加できる会もあります(オンラインコミュニティ「親コミュ」はこちら)。
見つけた会が合いそうなら、ぜひ参加してみてください。
相談先④医療機関
子どもの「学校行きたくない(行き渋り・不登校)」には、病気や障害が関係することがあります。
そうした可能性がある場合には(または、その可能性をなくしたい場合には)、ためらわずに医療機関へ相談してください。
相談先⑤在籍している学校
子どもの在籍している学校も、相談先の候補となります。
子どもが信頼している先生などがいれば、相談してみましょう。「今の担任」以外にも、相談先の候補はいます。
- 去年までの担任
- きょうだいの担任
- 学年主任
- 教頭・副校長
- 校長
- スクールカウンセラー
- 養護教諭
家庭ではわからない学校での様子や、成績・出席日数などを踏まえた上で、具体的な対応を一緒に考えることができるかもしれません。
学校にはすでに相談していて、対応に違和感があった場合には、無理に相談を続ける必要はありません。転校・進級・卒業に関わる情報などは受け取れるように、負担にならない最小限の事務連絡は保ってください。
相談先⑥その他
■その他にも、お悩み相談の窓口を、下記のページで紹介しています■
・お悩みのあるあなたのために、相談先一覧をまとめて紹介します
(リンク先は、不登校オンラインと同じく株式会社キズキが運営する「不登校や中退などの方々のための完全個別指導塾・キズキ共育塾」のウェブサイトです)
おもに「子ども・若者」本人のための相談先を掲載していますが、保護者が利用できるものもあります。保護者から子どもに、「家族に言いづらければ、こんな相談先があるよ」と伝えることもできます。
ぜひ参考になさってください。
不登校の中学生の、高校受験・進路はどうなる?
中学生で不登校だと、中学卒業後の進路が気になることでしょう。
- 高校には進学できる?
- どんな高校が向いているの?
- 今からできる受験対策って…?
不登校に伴う学力や内申点(調査書点)の低さに伴い、選択肢が少なくなる可能性については否定しません。
でも、進学できる高校はもちろんあります。
過度に不安にならなくて大丈夫です。
ご興味のある方は次の関連記事をご覧ください。
文部科学省の調査に見る、中学生が不登校になった理由
参考として、文部科学省が公表している、中学生が不登校になった理由を紹介します(出典:文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)。
ただしこの調査は学校の先生が回答したものであり、「児童生徒や保護者の見解とは異なる」という指摘もあります。あくまで参考としてご覧ください。
■学校に係る状況
- いじめ:356 人(0.2%)
- いじめを除く友人関係をめぐる問題:20,598人(10.6%)
- 教職員との関係をめぐる問題:1,706人(0.9%)
- 学業の不振:11,169人(5.8%)
- 進路に関わる不安:1,837人(0.9%)
- クラブ活動・部活動への不適応:839人(0.4%)
- 学校の決まり等をめぐる問題:1,315人(0.7%)
- 入学・転編入学・進級時の不適応:7,389 人(3.8%)
■家庭に係る状況
- 家庭の生活環境の急激な変化:4,343人(2.2%)
- 親子の関わり方:9,441人(4.9%)
- 家庭内の不和:3,232人(1.7%)
■本人に係る状況
- 生活リズムの乱れ・あそび・非行:20,790人(10.7%)
- 無気力・不安:101,300人(52.2%)
■該当なし:9,621人(5.0%)
まとめ〜不登校の中学生は、次第に元気を取り戻します〜
以上、不登校の中学生ができることを、紹介しました。
何度も繰り返す通り、お子さんのことは、保護者だけで抱え込む必要はありません。
不登校の中学生と保護者をサポートする人たちはたくさんいます。
ぜひ、サポート団体に積極的に相談してください。
そうすることで、「不登校の中学生に何をさせるか」も含めて、お子さんとの接し方、お子さんのためにできること、そして保護者自身のためにできることなどが、具体的に見つかっていきます。
お子さんも、保護者の方も、大丈夫。
必ず「次の一歩」に進めます。