意外にやれていない? 不登校ジャーナリストが教える、保護者ができること6

学校に行きたくないと伝えてきたり、行き渋っている子どもに対して保護者はどう対応したらいいのか、専門家にお聞きしました。

不登校ジャーナリスト・石井しこうさんの著書から、教えてもらいます。

※この記事は石井さんの著書をもとに不登校オンライン編集部で作成したものです。

【1】一人で抱え込まず、相談先を見つける

子どもが不登校になったことで、自分を責める保護者さんは少なからずいます。ときには、学校やパートナーに責任を求めることも。

不安を前にしたとき、そんな気持ちになるのは特別なことではありません。

だからこそ、一人で思い悩むのではなく、どこかに相談することが大切です。

「家族だけで対応しなくては(あるいは自分がなんとかしなくては)」と思っていませんか?

自分だけで抱え込まず、早い段階で適切な相談先を見つけることをおすすめします。

苦しさを察してくれた人に相談する

身近な相談先はスクールカウンセラーです。定期的に学校に来ている相談員で、頼れる相談先になってくれる場合もあります。

また、小児科や精神科、ユースクリニックなども相談先としてあります。

さらには、フリースクールや不登校の子ども向けの学習塾や居場所を提供している団体などで無料の相談に応じているところもあります。

不登校の保護者向けのコミュニティでは、同じ立場で助け合えます。

何を基準に(相談先を)選ぶのがいいのかといいますと、相談に行ったとき、親や子どもの苦しさを「それとなく察してくれた」と感じたかどうかです。

相談しに行っているのに、保護者自身が責められている気持ちになったり、モヤモヤを抱えるようなところは、相談先として適していません。

家族で話し合うときは子どもがいない場所で

子どもについて話し合うときは、子どもに聞こえないところ、いないところで行うようにしましょう。

子どものことを思う気持ちは同じでも、夫婦や家族で考え方が違うこともあるでしょう。

しかし、子どもが意見の対立を目にすれば、「けんかをしている」ように見えることもあります。

そして、家族内で無理に意見を統一することよりも、子どもが頼れる人が誰か一人いることが大切です。

【2】無理に理由を聞かない

ついつい子どもに学校に行かない理由を聞きたくなってしまうのは、多くの保護者が体験していること。

子どもが学校に行きたがらないとき、その理由をなかなか言い出せません。言葉にならない理由が複数あり、複雑に絡み合っているからです。

学校でどんなことがあったのか?さえ、聞いたとしても口にしてくれないことも。

「なんで学校に行けないの?」はNGワード

学校に行かない選択をした子どもは、「なぜ」と聞かれると詰められたように感じることも。

学校に通うことの負荷を感じながら頑張ってきた子どもは、やっとの思いで「学校に行きたくない」と伝えてきた可能性があります。

理由を聞かれることで、つらい思いや体験を鮮明に思い出してフラッシュバックして言葉にできなくなるのかもしれません。

【3】「休んでもいい」、「行ってもいい」。まずは、子どもに寄り添う

子どもが「学校に行きたくない」と伝えてきたら、とりあえず「休んでいいよ」と伝えてあげてください。

今まで学校に通うこと自体がストレスだった場合、「学校に行きたくない」は具体的なヘルプのサインです。

最初にすべきは、心身に負荷がかかっている状態を回復させること。「休んでもいいよ」と伝えることで、子どもが安心します。

つらそうでも行きたがるなら、それも見守る

子どもがつらいと感じながらも、「学校に行かないといけない」あるいは「学校に行きたい」と思って、通学を続ける場合もあります。

保護者が「休んだら?」と言っても通学を続けている場合、子どもが納得するまで付き合っていきましょう。

つらさを抱える子どもを見る保護者も非常につらいですが、そのときにできることは見守ることです。

子どもは心の底から学校へ行きたいわけではないと思います。でも、それはつきあうしかないんですね。親ができることは苦しんでいる子どもの気持ちにつきあうこと。子どもに向き合うこと。
(中略)
それでも、「そんな状況じゃ学校に言ってもつらいだけだよ」「行くのは無理だよ」などと先回りして子どもの行動を止めてしまうのはよくありません。

ただし、いじめなど加害を受けている、自傷行為がある、体調に影響しているなどの場合は、すぐに休ませる決断をしてください。

子どもも保護者も学校へ行ったほうがいいのかどうか、迷っているときは、こちらも参考にしてみてください。

 

【4】しっかり心と体を休ませる

子どもにとっては、学校へ行かないことによって、一番の危機を脱したことになります。(中略)学校から距離をとった瞬間から、回復が始まります。 

学校に行かない選択をしたとき、保護者にとっては「不登校が始まった」ことになるかもしれませんが、子どもは「一番つらい時期」を抜けたことになります。

「膿を出す」時期

不登校になった直後、つらいながらも学校に行っていたとき、心身ともに受けていたダメージを回復させるように、心身に影響が出ます。

眠れない場合もあれば、逆に寝てばかりのことも。だるさが続いたり、生活リズムが崩れるかもしれません。

心身の回復をはかるタイミングでは、無理に生活リズムをきちんとさせようせず、子どものペースに付き合ってあげてください。

感情の爆発に寄り添う

体だけではなく、心の回復にも寄り添うことになります。

イライラして感情が爆発したり、一方で幼児のように甘えることもあります。

感情が噴出しているときは、そばにいて、子どもの揺れる感情につきあうしかありません。とても大変ですが、子どもの苦しんでいる気持ちにつきあうことで、愛情がしみていき、心の傷が癒されていきます。

大人にとってつらいときもある寄り添い。子どもを見守れる余力をもてるよう【1】でお伝えした、「相談先を見つける」ことが大切になります

【5】2つの言葉で子どもを認める

子どもに寄り添うために心に留めておきたいのは、こんな二つの言葉。不登校の子どもたちが言われてうれしかったと言っています。

「好きにしていいよ」

ゲームをしたり、動画を見たり、好きなことに没頭する時間をもたせてくれるのは、子どもにとっては「居場所が確保された」という感覚になるのではないでしょうか。

親としてはずっとゲームやスマホを触っていることに対して、不安になることもあります。

しかし、「好きにしていいよ=今のあなたを認めるよ」と伝えるメッセージだと考えて寄り添ってみてください。

「ありがとう」

学校に行っていない自分が家族に迷惑をかけているのではないかと不安になる子どももいます。

そして、「自分はみんなからサポートされる立場」と考えているとき、感謝の言葉が勇気づけてくれることがあるのです。

子どもが何かをしてくれたとき、「ありがとう」と伝えることで役に立ったと感じることができます。

あらためて何か用事を押し付けるのではなく、生活のなかで感謝したいことがあったとき、その気持ちを伝えてみましょう。

【6】勉強の向き合い方を決める

学校に行かなくなると、学習について遅れが気になる保護者は多いでしょう。しかし、優先すべきは心身の回復です。

勉強の遅れを取り戻すためには、「自分が受けてきた傷や苦しさがケアされていること」が前提条件となります。

「今は勉強に集中できる状況ではないから勉強はいったん置いておこう」と親が思ってくれたら、子どもはプレッシャーをそれほど感じなくなります。

子どもの心身がある程度回復したあとで、勉強のことを考えても十分間に合います。

今は、YouTubeやAIアプリなどを活用して自分で進める方法も、フリースクールや不登校の子ども向けの学習塾もあり、多様な選択肢があります。

子どもが学びたい場所で学ばせる

保護者が「学ぶ場所」についてできるのは、情報収集をしておくことです。

しかし、集めた情報を子どもに共有するのは、心身が回復して子ども自身が「やってみたい」と思ってから

その前に「こんなところがある」と伝えると、子どもにとってはプレッシャーになりかねません。

どの方法が子どもにあっているか、保護者がアタリをつけていても、子どもは違う考えがあるかもしれません。

子どもが学びたい場所について考えられるようなタイミングまで寄り添いましょう。

 

自身も不登校経験があり、長年、不登校に関する取材を続けてきた石井さんの著書では、

 

・子どもがのびのびと育つためにできること
・子どものSOSをキャッチするためにできること
・子どもが学校に行かないときにできること
・子どもの将来のためにできること

 

などが書かれています。ぜひ、手に取ってみてください。

 

石井さん著書:『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき、親ができること』

 

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