「小学生が学校へ行き渋りを始めたとき」に陥りやすい4つの誤解と真実

#不登校#行き渋り#小学生

小学生のお子さんが急に学校に行きたがらなくなった…。

そんな状況に、不安や戸惑いを感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「小学生が学校へ行き渋りを始めたとき」に陥りやすい4つの誤解と真実について詳しく解説します。

編集

不登校オンライン編集部

誤解1:不登校や行き渋りには、必ず明確な原因がある

多くの保護者や教師は、いじめや勉強の遅れなど、子どもが学校に行きたがらないはっきりとした原因があると考えがちです。

そして、その原因を見つけ出そうと必死になります。

「問題解決のためには原因を特定する必要がある」という考え方は、ビジネスや科学研究などでは有効です。しかし、人間の心や行動を理解するには適さないこともあります。

真実:原因は複雑で、本人も説明できないことが多い

実際には、不登校の原因は複雑で、一つに絞れないことがほとんどです。

とくに小学生は、自分の感情や状態を理解し、それを言葉で適切に表現することが難しい年齢です。

本人も、「学校に行きたくない」という気持ちは強いのに、「なぜ学校に行きたくないのか」をうまく説明できずにいるのです。

なかなかうまく言葉で表現できない

そして、精神的に追い詰められた子どもは、さらに言葉で説明することができなくなります。

そのため、本人の気持ちと周りが受け取る印象に、大きなギャップが生じることがあります。

例えば、お子さんが急に癇癪(かんしゃく)を起こしたり、怒りっぽくなったりすることがあるかもしれません。

このとき、子どもは何かを伝えようとしています。しかし、うまく言葉で表現できないもどかしさが、怒りとして表に出てきているのです。

重要なのは、不登校の原因を決めつけたり、無理に探そうとしたりしないことです。まずは、今のお子さんの様子をよく観察し、「行きたくない」という言葉を受けとめて寄り添いましょう。

■関連記事:中学生の不登校、「理由がわからない」のはよくあること〜親にできる対応や相談先を紹介〜
※中学生の保護者に向けた記事ですが、小学生の保護者にも共通する部分は多いと思います。

誤解2:小学生のうちに不登校や行き渋りになると、取り返しがつかない

「小学生のうちは人格形成の大切な時期。不登校になると社会性が身につかず、将来に大きな影響が出る」。

このような考えをもつ人も少なくありません。

背景には、「子どもの社会性や学力は学校教育で身につけるもの」「子どもにとって学校に通わないことはリスクである」という社会通念があります。

真実:困難があるのは事実だが、むしろチャンスと捉えることもできる

学校に行かないことで、困難や不利益が生じる可能性はあります。

学校に行けないことは、子どもにとっても保護者にとっても切実な悩みです。

とくに小学生は、学校生活を通じて勉強やコミュニケーションなどの基礎を学んでいくことも事実でしょう。

しかし、それらは学校以外で学ぶこともできるのです。

学校以外の積極的な選択肢

たとえば、フリースクールや不登校支援専門の塾など、学校以外の場で学ぶことができます。

フリースクールなどには、それぞれの団体ごとの特徴があります。

学校での学習内容を学ぶこともできますし、異年齢の子どもたちと交流することもできます。さまざまな考え方や価値観に触れることで、コミュニケーション能力や社会性も向上します。オンラインで利用できるところもあります。

学校との柔軟な付き合い方で、自分に合うペースを見つける

また、「学校とどのように付き合うか」を試していくことは、お子さんが自分の体調のペースを知る機会になります。

例えば、週に5日、時間割どおりに出席することではなく、曜日や時間帯を柔軟に選んで出席することを目指してみると、(すべての授業は受けられないとしても)お子さんが学校に行きやすくなることもあります。

これは、人生の早い段階で「自分が疲れないボーダーラインを知る」という意味で、貴重な経験となるでしょう。

お子さんが将来、自分に合った働き方や生活スタイルを見つけるヒントになるかもしれません。

■関連して、不登校についての相談先は、記事「不登校のサポート団体・専門家(相談先)の例と探し方を紹介します」をご覧ください。

■そのほかの相談先は、Webページ「お悩みのあるあなたのために、相談先一覧をまとめて紹介します」をご覧ください。(リンク先は、不登校オンラインと同じく株式会社キズキが運営する個別指導塾・キズキ共育塾のウェブサイトです)

誤解3:不登校や行き渋りは、保護者の育て方が原因

子どもが不登校になると、多くの保護者が「自分の育て方に問題があったのではないか」と悩みます。

子どものことはすべて保護者の責任とする、社会的な圧力からは逃れ難いものです。そこへ「よい親」でありたいという自身の願いも相まって、保護者は自分を責めがちです。

また、周囲の無理解が、自責の念をさらに強めることもあるでしょう。

真実:不登校は、どんな子どもでも、どんな家庭でも起こり得る

実際には、保護者の育て方と不登校には直接的な因果関係はほとんどありません(一部の例外として、児童虐待が関係する不登校はあります)。

どんなに愛情を注いで育てていても、どんな子どもでも、不登校になる可能性はあるのです。

保護者が自分を責めすぎることで、子どもがかえってストレスを感じることもあります。

不登校は、子どもを取り巻く社会全体が複雑に関わり合って起こります。保護者の責任ではありません。

不登校を家族の関係性を見直すチャンスに

不登校を「家族全体のコミュニケーションを見直し、よりよい関係性を築くチャンス」と捉えることもできます。

不登校の小学生と保護者をサポートする団体はたくさんあります。

お子さんやご家庭の事情に合ったサポートを、ぜひ積極的に利用してください。お子さんと保護者が「次の一歩」を踏み出すための、心強い味方になってくれます。

誤解4:不登校や行き渋りの原因は、必ず学校にある

子どもが学校に行きたがらない場合、つい「学校に原因があるのでは」と考えがちです。

いじめや勉強の遅れ、教師との関係など、学校に関連することが不登校に影響していることもあります。しかし、それだけではないことも多いのです。

真実:原因は学校以外にもある可能性がある

不登校の原因は「何か一つ」ではなく、複数の要因が複雑に絡まり合っていることが多いです。学校に一因があるケースでも、同時に学校以外の要因もありえます。いくつか、例を紹介します(あくまで例であり、他にもありえます)。

1. 心身の不調
本人に説明できない体調不良や精神的な不調が隠れている。

2. 家庭環境の変化
引っ越しや家族の病気など、家庭内の変化がストレスになっている。
※これらは「保護者の責任」ではありません。

3. 発達特性
お子さんの発達特性が、今の学校での環境に合っていない。

4. 社会環境の変化
コロナ禍や災害など、社会の変化がお子さんに影響を与えている。

子どもの内面的な変化が影響することも

さらに、子ども自身の内面的な成長や変化も不登校の要因となることがあります。

例えば、心が育つ過程で価値観が変化し、これまでの学校生活に違和感を覚える子どももいます。

また、集団生活に適応するのが難しい個性に、気づく子どももいます。

このような場合、学校以外の学びの場が、子どもの成長にとって望ましい選択肢となります。

原因は、無理に特定・解決しなくていい

「行き渋りや不登校の原因」について述べましたが、原因を無理に特定・解決する必要はありません。

原因ではなく、「今のお子さん」に注目して、必要なサポートを探しましょう。

誤解にとらわれず、子どもの状況を冷静に受け止めることから

「小学生が学校へ行き渋りを始めたとき」に陥りやすい4つの誤解と真実について見てきました。

  1. 不登校には明確な原因があるとは限らない
  2. 小学生の不登校は、必ずしも深刻なものではない
  3. 不登校は保護者の育て方が原因ではない
  4. 学校だけが不登校の原因とは限らない

誤解にとらわれず、お子さんの状況を冷静に受け止め、適切にサポートすることが大切です。

不登校は決してめずらしいことではありません。

学校以外のさまざまな学びの選択肢や、支援制度・団体があることを覚えておきましょう。
専門家のサポートで、お子さんが自分らしく成長し、人生を切り拓いていくことができます。

お子さんも、保護者のみなさんも「次の一歩」へ!

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