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【不登校家庭】きょうだいへの対応をどうする?「ズルい」と言われたら?〜体験談も紹介〜

#不登校#行き渋り#きょうだい

不登校の子どもがいる家庭では、きょうだいへの不登校連鎖が起こりがちです。

きょうだいから「〇〇だけ学校を休んでズルい」「自分も休みたい」と言われたらどうしますか?

「不登校の子がひとりいるだけでも大変なのに」「あなたまでそんなこと言わないで」と、さらに先が見えなくなる不安を感じる方もいるでしょう。

本記事では、不登校の子どものきょうだいへの対応のあり方を、保護者の体験談と合わせて紹介します。

編集

不登校オンライン編集部

1.不登校の子どもがいると、きょうだいは影響を受けやすい

不登校のきょうだい連鎖はよく起こります。

不登校のきょうだいが朝起きてこない姿、YouTubeやゲームをして家でのんびりと過ごしている(ように見える)姿を見て、登校しているきょうだいが「〇〇だけズルい」「自分だって休みたい」という気持ちになるのは、自然なこと。

きょうだいが、家庭内の不登校の子どもの存在から「学校に行かない」選択肢を知ることの影響はありそうです。

実態調査や研究報告からもわかる不登校のきょうだい連鎖

文部科学省の実態調査では、不登校の小学生7.2%、中学生5.9%が、「兄弟姉妹や親しい友達の中に、学校を休んでいる人がいて、影響を受けた」ことがきっかけで、学校に行きづらくなったと回答しています(調査対象:不登校の小学校6年生、中学校2年生)。

自治体(岩手県花巻市)の調査においても、不登校のきっかけ・原因として、1位の「友人関係の問題」に続き2位が「家庭に関わる状況」であり、影響していると考えられるものの中に「兄弟姉妹の不登校」が挙げられています。

また、古いデータにはなりますが、思春期心療内科に通う児童家庭のきょうだいが、不登校や情緒障害を発症する割合が19.1%であったとする研究報告もあります。

不登校のきょうだい連鎖は、全家庭ではないにせよ、一定の割合で起こり続けていることがわかります。

参考資料:
文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する 調査報告書」2021(令和3)年
岩手県花巻市「令和元年度不登校児童生徒の実態」2022(令和2)年
石田正子・島田章「小児・思春期心診療内科外来を受珍した兄弟発症例の検討」心身医学、2000年

2.不登校の子どもときょうだい、それぞれをケアする

不登校家庭のきょうだいへの影響は、避けては通れない事象といえます。

とはいえ、きょうだいの立場や気持ちを理解し、家庭内外から適切にケアすることで、その影響を小さくすることができます。

以下に、3つのケア方法を紹介します。

(1)登校しているきょうだいの気持ちを汲み取る

不登校家庭のきょうだいは、次のようなさまざまな感情を複合的に抱えています。

  • 「自分だって我慢している」という不満
  • 「うちの家庭はこれからどうなっちゃんだろう」という不安や恐怖
  • 「自分だってそうしたい」という羨(うらや)ましさ
  • 「自分がいけないのかな」という自責感情

参考資料:
前川あさ美「不登校の子どもたちのきょうだい-その心の理解とケア-」日本教育心理学会総会発表論文集、2000年

きょうだいにも気持ちを向けていることを伝える

保護者は、つい不登校の子どもにばかり意識をむけがちです。しかし、きょうだいのことも同じくらい意識してサポートしましょう。

保護者がきょうだいにも十分に気持ちを向けていることが伝わると、きょうだいの心も落ち着くはずです。

具体的には、保護者ときょうだいで1対1の時間を作り、きょうだいの好きな遊びを一緒にするなどがおすすめです。時にはきょうだいを特別に扱うと、心が満たされ、不公平感が解消します。

(2)きょうだい間の橋渡しをする

保護者が、それぞれの思いを抱えるきょうだいの間で橋渡し役になれると理想的です。

登校しているきょうだいには、不登校の子どもの気持ちや立場を伝えてください。「今は休んで心を元気にしている」「さぼっているわけでない」など、きょうだいの理解に応じた説明を心がけます。

きょうだい側へのケアも忘れない

一方、登校するきょうだいを家庭内でケアするためには、不登校の子どもの理解も求めたいところです。

不登校の子どもに、保護者からきょうだいの気持ちや立場を伝え、できる範囲で協力してもらえるとよいでしょう。

とはいえ、不登校の子どもの心身の調子や、伝え方には配慮が必要です。

「きょうだいが宿題をしているときは、同じ部屋でYouTubeを見たりゲームをしたりしないでほしい」など、具体的で取り組みやすいお願いなら、負担に感じないのではないでしょうか。

(3)子どもたちも保護者も、専門家のサポートを受ける

混乱する家庭の中でがまんしたり気を遣ったりして、きょうだいは自分の気持ちをため込むことがあります。

保護者も混乱している当事者であるため、きょうだいのケアにまで手が回らないこともあります。

子どものことを、保護者だけ(家庭だけ)で抱え込まないようにしましょう。

不登校の子も、きょうだいも、そして保護者自身も、自分の思いを言語化したり、心を落ち着かせたりするために、専門家のサポートを受けることが有効です。

「実際のあなたの家庭」での具体的な対応方法も、サポートを通じてきっとわかっていきます。

相談先を見つけよう

相談先には、次のような候補があります。

  • スクールカウンセラー
  • クリニックの思春期外来
  • 保健室の養護教諭
  • 不登校の親の会

このほか、「不登校 相談先 ○○市」などと検索すると、さまざまなサポート団体が出てくるはずです。

見ず知らずの人に相談するのが不安なら、まずは気心の知れた友人などでも構いません。頼れるところを頼りましょう。

第三者の視点が入ることで、家庭内だけでは見えづらくなっていた打開策が見つかります。

■不登校についての相談先は、記事「不登校のサポート団体・専門家(相談先)の例と探し方を紹介します」をご覧ください。

■そのほかの相談先は、Webページ「お悩みのあるあなたのために、相談先一覧をまとめて紹介します」をご覧ください。(リンク先は、不登校オンラインと同じく株式会社キズキが運営する個別指導塾・キズキ共育塾のウェブサイトです)

3.【不登校のきょうだい連鎖】保護者の体験談

実際に不登校のきょうだい連鎖を体験した保護者はどのように感じ、どのように対応したのでしょうか。2人の子どもの母親である、当事者のAさんにうかがいました。

息子の不登校後、1〜2週間で妹も行き渋るように

中学校2年生の息子と小学校3年生の娘がいます。

小学校6年生の後半から五月雨登校だった息子が、中学校1年生のゴールデンウィーク明けに完全不登校になりました。

息子が不登校になって1~2週間経ったころ、当時小学校2年生だった娘も、登校を渋るようになりました。朝、泣いて登校を嫌がるので、私が教室まで送り届ける日が半年ほど続きました。現在、娘はひとりで登校しています。

当時は娘の気持ちまで考えられなかった

息子が完全不登校になり、保護者の私も精神的にいっぱいいっぱいだったときに、娘まで行き渋りに。ショックでしたし、毎朝学校へ送っていくのは正直負担が大きかったです。

息子と娘は性格が違います。息子はおとなしく繊細で、集団生活が苦手なタイプ。実は、いつか不登校になるかもしれないと感じていました。

娘は明るくて、友だちと楽しく遊べるタイプ。娘が不登校になるとは考えていなかったので、はじめは本当にびっくりしました。

なんとか学校に行ってほしいと思っていた

当時の思いを正直に言うと、「息子に引きずられて、娘が不登校になってしまうのは残念だ」と感じていました。小学校2年生で不登校になってしまうと、生活習慣や勉強が身につかないのではないかという心配もありました。

また、私は外で仕事をしており、低学年の娘を一日中留守番させるのは避けたかった。加えて、娘が家にいることは、息子の精神的負担にもなるだろうとも感じました。

こうしたことから、娘にはなんとか学校に行ってほしいと強く願っていました。今思えば、娘の思いを汲むことなく、心の中は自分の希望で支配されていたと反省しています。

娘ファーストに考え、選択肢を提示して寄り添った

娘の行き渋りを受けて、娘のしんどい気持ちを汲むように心がけました。

娘の心が満たされるよう、娘ファーストで希望の遊びを一緒にするようにしました。休日の外出は娘のリクエストに応えて、2人で映画を観に行くこともありました。

どうしても学校に行きたがらないときは、「休む」「遅れていく」「早退する」の3択を提示し、本人に選んでもらうようにしました。登校すれば、学校では意外と楽しく過ごし、明るい顔で帰宅することも多かったので、休ませるよりは、早退や遅刻でもいいので少しでも登校してほしいという思いからでした。

今振り返って、これで本当によかったのか、正直自信はありません。娘には無理をさせた部分もあるように思います。

息子のことを説明したら「ズルい」と言わなくなった

娘には、息子のことも話しました。「お兄ちゃんは心がしんどくなっているから、家で心の休憩をしている。学校に行かなくてズルく見えるだろうけど、苦しんでいる」と説明しました。

小学校2年生の娘に、どこまで理解できたかわかりません。ただ、それ以後は「お兄ちゃんズルい」とは言わなくなりました。

進級が転機になって再び登校

半年以上かかりましたが、娘は少しずつ、嫌がらずに登校するようになりました。

大きな転機になったのは、進級です。3年生になってからは、行き渋りがずいぶん減りました。担任の先生が不登校に理解があること、楽しい学級運営をしてくれていることで、娘の気持ちが落ち着いたのだ思います。

さまざまな要因が重なり、娘が不安に

今思えば、娘の行き渋りはいろんな要因が重なって起こったように思います。

当時、息子の不登校のほかにも、学校や家庭内で娘を不安にさせる次のようなことが重なっていました。

  • 新しいクラスや先生にまだ慣れていなかった
  • 勉強が難しくなってしんどくなった
  • 夫の持病が悪化して療養が必要になった
  • 私の仕事が忙しく、勤務時間が長くなった

幸い今は、家庭の状況が落ち着いてきました。娘の心も安定し、学校生活を楽しめる余裕が出てきたのかもしれません。

4.保護者自身もサポートを受けて、それぞれの個性に寄り添って

不登校の子どもにも、そのきょうだいにも、それぞれに個性があります。

保護者には、それぞれの性格や状況に応じて、適切なケアをしていくことが求められます。

とはいえ、保護者自身にも休息や支援が必要です。専門家によるサポートは、家族全員が「次の一歩」を踏み出すための大きな力になります。

保護者が自分のことを責める必要はない

家庭内に不登校の子どもが増えると、「自分の育て方が悪かったのではないか」と落ち込むかもしれません。

しかし、自分を責める必要はありません。不登校には、環境や子どもの性格など、さまざまな要因が複雑に関連しています。どんな家庭の、どんな子どもにも起こるのです。

不登校の子どものための学びの場・居場所は広がっています。お子さんに合ったサポート先、ご家庭にあった相談先を、ぜひ見つけてください。

お子さんも、保護者のみなさんも、「次の一歩」へ!

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