【連載第7回】公的機関「教育支援センター」は不登校の強い味方!
「3分で読める不登校の基本情報」をお届けする本連載。
不登校の子どもと関わるすべての「多忙な大人たち」のために、不登校の基本の「き」をご紹介します。
第7回(最終回)は「教育支援センター」です。
教育支援センターは自治体が運営する不登校支援機関
教育支援センターは、不登校の児童・生徒の学習や生活習慣などをサポートする施設です。子どもたち一人ひとりの状況やニーズに応じて支援しています。
フリースクールとは異なり、各自治体が設置・運営しています。
文部科学省の不登校支援策COCOLOプランでも、教育支援センターの機能強化が掲げられています。
教育支援センターで受けられるサポートは?
教育支援センターでは、おもに次の4つのサポートを受けることができます。
①学習
保護者だけでなく、実は不登校の子ども本人も、学校へ行かないことによる学習の中断を気にしています。「追いつけない」「遅れている」という焦りや不安は、周囲との比較から生まれるもの。
教育支援センターでは、集団授業ではなく、一人ひとりのペースに合わせて学習指導を受けることができます。
②生活習慣
学校へ行かない日々が続くと、睡眠や食事、身の回りのケアなど、基本的な生活習慣が崩れがちです。教育支援センターへ通うことで、決まった時間に家の外で活動する習慣が戻ります。
また、ほとんどの教育支援センターでは「時間割」が決められています。最初は無理のないペースで通いながら、少しずつ時間割に慣れていくことで生活リズムが整っていきます。
③集団活動
不登校の子どもは、同年代の子どもとの交流の機会が少なくなりがちです。教育支援センターでは、グループでのレクリエーションやスポーツ、調理実習などに取り組むことができます。
支援員のサポートを受けながら、少人数のグループで他者とのつきあい方を学んでいきますので、安心して社会生活の練習ができます。
④相談・カウンセリング
教育支援センターには、さまざまな事情で学校へ行けない子どもたちが通っています。そのため、不登校特有の悩みに寄り添った心のケアを受けることができます。
また、在籍校と連携した進路相談や、保護者へのサポートも行っています。
不登校以外にも、子どもの心身の発達、子育て全般に関する悩みなどを相談できるしくみもあります(詳細は各自治体の窓口へお問い合わせください)。
教育支援センターの2大メリット
教育支援センターで受けられるサポートは、フリースクールなどの民間団体・施設でも受けられるものが多いです。
しかし、教育支援センターならではのメリットもあります。
1つは、費用がかからないこと。
経済的な理由でフリースクールや不登校対応の塾などを利用できない場合には、教育支援センターは最有力の選択肢になります。
もう1つは、「指導要録上出席扱い」になる子どもが、ほかの不登校支援機関よりも多いこと(本連載第4回「不登校でも「出席扱い」になることもある!?」参照)。
公的機関である教育支援センターは、子どもの在籍校との連携もしやすい傾向にあります。
令和5年度に教育支援センターで指導を受けた不登校の小中学生は、3万0,365人。このうち、70.5%が指導要録上出席扱いとなりました。
一方、フリースクールなど民間団体・施設で指導を受けたのは1万5,431人。指導要録上出席扱いになったのはそのうちの46.6%です。
とくに中学生は、高校受験での出席日数の影響を最小限におさえたいもの。不登校の中学生にとって、教育支援センターは心強い存在です。
公的サービスは積極的に利用して!
教育支援センターは、学びの多様化学校やフリースクール、塾に比べると、アクセスしやすい不登校支援機関と言えます。こうした公的サービスの利用は、ぜひ積極的に検討してみてください。
ただし、自治体によって利用方法や支援内容が異なります。また、残念ながら未設置の自治体もあります。
まずは、お住まいの自治体の窓口へ相談してみてください。
〈参考〉
文部科学省「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
キズキ式(キズキ共育塾・キズキ家学Webサイト)コラム「教育支援センター(適応指導教室)とは? 支援内容や利用の流れを解説」
東京都武蔵野市教育支援センター「チャレンジルームリーフレット」