
「家でダラダラしてるだけ?」不登校のお子さんが健康的な生活を取り戻すためのガイドブック【不登校混乱期の知恵袋】
不登校のお子さんが、毎日家でダラダラと過ごしている。
保護者さまとしては、そんな姿を見ると、「このままで大丈夫なの?」「何かしてあげたいけど、どうしたらいいかわからない」と、不安や焦りを感じるでしょう。
しかし、ダラダラと過ごしているように見えるお子さんは、休むことで心のエネルギーを溜めている段階かもしれません。
今回は、エネルギーチャージを必要としているお子さんとの関わり方についてお伝えします。
【不登校混乱期とは】
不登校は、前兆期→進行期→混乱期→回復期という経過を辿ることがよくあります。混乱期とは、「不登校状態が定着し、今後の見通しがつかないまま時間が経過している時期」のことです。この記事は、主にこの時期のお子さんがいる保護者さまのための内容です。もちろん、それ以外の時期の方にもお役立ていただけます。不登校混乱期の記事一覧はこちら
【サポート団体を利用しましょう】
不登校のお子さんのことを、保護者さまだけで対応する必要はありません。不登校のサポート団体を適切に利用することで、お子さんも保護者さまも、「次の一歩」に進みやすくなります。サポート団体の探し方は、こちらの記事をご覧ください。
目次
1.「ダラダラ」は回復のために必要な時間
まず、不登校混乱期の子どもがダラダラしている(ように見える)のは、怠けているわけではなく、心のエネルギーが不足している状態であることを理解しましょう。
不登校の子どもは、以下のような心理状態にあることが多いです。
- 精神的な疲労が抜けない(学校に行けないストレスや対人関係の不安)
- 何をしたらいいのかわからない(自信を失っている)
- 学校に戻るプレッシャーを感じている(でも動けない)
エネルギー不足のために、「ダラダラしている」と見える…しかしお子さんは、そうした不安などと向き合いながら、実は回復の準備をしているのです。
2.ダラダラして見える子どもに、保護者としてできること
「何もしないと、このままずっと動かなくなるのでは?」と不安を感じるかもしれません。
しかし、焦って子どもを動かそうとすると、逆にストレスが増し、回復が遅れることがあります。保護者の方は、次のようなことを行うとよいでしょう。
①否定せずに受け入れる
「スマホばかり」「昼夜逆転」などが気になっても、子どもの状態を認めることが大切です。次のように考え、お子さんにも伝えましょう。
- 今はエネルギーをためる時期なんだね
- 無理に動かなくても大丈夫
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②小さな行動変化を見逃さない
「次の一歩」に進むための兆しは、小さな変化から始まります。
次のような変化を見つけたら、「最近、ちょっと調子が良さそうだね!」と声をかけることで、自信を持たせることができます。
- いつもより少し早く起きた
- お風呂に入る回数が増えた
- 食事の時間が安定してきた
③「楽しいこと」を一緒に見つける
何かしたい気持ちが芽生えたときに、プレッシャーにならない楽しめることを見つけられると、エネルギーがたまりやすくなります。例えば、次のようなものがあります。
- 一緒に散歩に行く
- 映画やアニメを観る
- 料理やお菓子作りをしてみる
- 簡単なゲームやパズルで遊ぶ
「ちょっとした楽しみ」を増やすことで、少しずつ前向きな気持ちが生まれていきます。
④生活リズムを少しずつ整える
昼夜逆転が気になっても、いきなり直そうとするのは逆効果。次のような工夫で、無理なくリズムを整えていきましょう。
- 朝に少し日光を浴びる
- 夜は部屋の明かりを暗くする
- 食事の時間を一定にする
⑤運動を取り入れる
無理のない範囲で、次のような軽い運動をすると気分が安定しやすくなります。
- 近所を5分だけ散歩する
- ストレッチやラジオ体操をする
- 一緒に買い物に出かける
「できたらラッキー」くらいの気持ちで、ゆるく取り入れてみてください。
3.ダラダラして見える子どもに、やってはいけない3つのこと
ダラダラ過ごしている(ように見える)お子さんにやってはいけないことをお伝えします。
①責める
「どうして何もやらないの?」「遊んでばかりいないで、何かしたら?」と責めるのは逆効果です。
②強制する
「早く何かを始めなさい」と無理に何かをさせると、かえって反発心を生みます。
③焦る
「早く何かを見つけさせなければ」と焦ると、お子さんにプレッシャーを与えます。
4.ダラダラして見える子どもに向き合う際に大切な3つのこと
お子さんが「不登校の次の一歩」に進むために大切なことをお伝えします。
①信じる
お子さんの力を信じましょう。「あなたは、あなたのペースで大丈夫だよ」と伝えることで、安心感を与えることができます
②あきらめない
「不登校の次の一歩」に進むためには、時間がかかることもあります。「いつか必ず前に進める」と信じて、寄り添い続けることが大切です。
③愛情を伝える
「あなたは、あなたのままで素晴らしい」「いつも味方だよ」という言葉を伝えることで、お子さんの心の支えになります。
5.不登校でダラダラして見える子どもへの対応の、「よくない事例(ストーリー・エピソード)」
不登校オンライン(キズキ)が見聞きした、「不登校で、ダラダラ過ごしているように見える子ども」への対応として、よくない状況・よくない結果に繋がった事例(ストーリー)を紹介します。
※個人の特定に紐づかないよう、複数の事例を統合・編集・再構成しています。
※これまでに同じような対応をしている保護者の方を不安にさせるつもりはありません。その上で、「お子さんへの対応」は保護者さまだけ・家庭だけで対応しようとせず、不登校のサポート団体を利用することをお勧めします。
ストーリー1.「タイムリミットを設けた父」
中学2年生の遼介くんが、学校に行かなくなって半年が経ちました。今は昼過ぎまで寝て、起きたらスマホをいじり、ゲームをし、YouTubeを見て、夜更かしする毎日。
父親は次第に焦りを感じるようになり、ある日、遼介くんにこう宣言しました。
「いいか、あと1か月で学校に行く準備をしろ。それまでに生活リズムを戻さなかったら、スマホもゲームも全部取り上げる。」
遼介くんは「…わかった」と言いましたが、その夜からさらに遅くまで起きるようになりました。昼間はますます無気力になり、親と目を合わせません。
1か月が経った日、父親はスマホを取り上げようとしました。しかし、遼介くんは無言のまま部屋の隅に座り込み、そのまま何も話さなくなりました。
「おい、どうしたんだよ?」と父親が言っても、遼介くんは反応しません。母親が心配して声をかけると、小さく「もう無理」とだけ呟きました。
“タイムリミット”を設けたことで、遼介くんは「間に合わない自分」を自覚し、追い詰められたのです。
ストーリー2.「お母さんの圧がすごい」
小学5年生の真奈ちゃんは、朝になると布団から出られません。家では元気そうにしているものの、学校に行く話をすると顔が曇ります。