• HOME
  • 記事一覧
  • コラム
  • 【不登校進行期】新学期、やっぱり学校行けなかった。でも焦らない【不登校の知恵袋】

【不登校進行期】新学期、やっぱり学校行けなかった。でも焦らない【不登校の知恵袋】

#不登校#行き渋り

「前の学期で不登校で不登校だったうちの子は、新学期になっても(6月になっても)学校に行けなかった…」とお悩みの親御さんへ。

新学期は、お子さんが「不登校の進行期」にあるご家庭にとって、特に心が折れそうになる場面が多い時期です。

焦りや不安に押しつぶされそうなときこそ、どうか立ち止まって、この記事を読んでみてください。

この記事では、「登校できなかった」ことを責めず、親子関係を壊さず、むしろ支えるための具体的な視点と工夫を紹介します。

対応につまづきがあった事例やうまくいったケースも交えながら、「焦らなくても大丈夫」と感じられるようなヒントをお届けします。

【不登校進行期とは】
不登校は、前兆期→進行期→混乱期→回復期という経過を辿ることがよくあります。進行期とは、不登校が始まり、心理的な落ち込みが激しくなり、やがてその状態が固定化されるまでの期間のことです。この記事は、主にこの時期のお子さんがいる保護者さんのための内容です。もちろん、それ以外の時期の方にもお役立ていただけます。不登校進行期の記事一覧はこちら

 

【サポート団体を利用しましょう】
不登校のお子さんのことを、保護者だけで対応する必要はありません。不登校のサポート団体を適切に利用することで、お子さんも保護者さまも、「次の一歩」に進みやすくなります。サポート団体の探し方は、こちらの記事をご覧ください。

編集

不登校オンライン編集部

目次

最も大切なことは、お子さんの気持ちに寄り添い、安全な居場所を提供すること

新学期にお子さんが登校できなかったという事実は、お子さんが「これ以上の無理はできない」と限界を知らせてくれたサインと受け止めましょう。

無理に学校へ行かせようとしたり、「みんな行っているのに」と責めたりすることは、お子さんをさらに追い込むことにつながります。

今、お子さんにとって本当に必要なのは、「どんなあなたでも大丈夫」「学校に行けなくても、あなたはあなた」という、揺るがない安心感です。

親御さんがそのメッセージを、言葉や態度で明確に伝え続けること。

それこそが、お子さんの心の回復を支える大きな第一歩になります。

「焦らないために」親がが持っておきたい3つの視点

親御さんが「焦らないために」必要な視点をお伝えします。

1.長期的に考える

お子さんが不登校からの「次のステップ」に進むためには、数か月、あるいは年単位で時間がかかることもあります(もちろん、すぐに次のステップに進むお子さんもいます)。

新学期に行けなかったという事実に一喜一憂するのではなく、「子どもが再び自分の足で歩き出すまで、そばにいる」という長期的な視点を持つことが大切です。

2.学校復帰だけがゴールではない

「不登校=学校に戻ること」と捉えがちですが、それは唯一のゴールではありません。

例えばですが、「登校を再開しないまま、勉強は塾で、コミュニケーションはフリースクールで行って、高校や大学に進学する」というルートもあります。

子どもが自分を大切にし、自分らしく社会とつながっていくことが、本当に必要な力の育成です。学校はその手段のひとつでしかありません。

ただ、「学校に行かずに塾やフリースクールを利用する」場合、学校に通うよりも金銭的な負担が大きくなりがちなことは否定しません。

塾代に利用できる助成金などもありますので、お住まいの都道府県や市区町村のサポート状況を確認しましょう。

3.小さな変化に目を向ける

「今日は一緒にご飯を食べられた」「ゲームの話を自分からしてくれた」など、日々の小さな変化に注目しましょう。

子どもは外からは見えなくても、内面で少しずつ前進しています。それを認めることが、子どもの自信や親子関係の安定にもつながります。

不登校からの「次のステップ」は螺旋階段のように進む

不登校からの「次のステップ」は、直線的なものではありません。元気になったと思ったらまたすぐに落ち込むこともあります。同じところをぐるぐると回っているように見えることもあります。

でも、それは“元に戻っている”のではなく、少しずつ螺旋階段を登っているようなもの。

同じ景色に見えても、確実に上に進んでいる——そんな視点で子どもの状態を見ていくことが、親御さんにとっても、子どもにとっても心の安定につながります。

実際、「4月には無理だったけど、6月には週1日だけ登校を始めた」「新学期は寝てばかりだったけど、5月中旬から夕方に外に出るようになった」という事例は、数多くあります。

【ノウハウ①】学校に行けなかった日の朝、どう接する?

新学期の朝、子どもが起きられなかったり、泣き出したり、「行かない」ときっぱり言ったとき、親としてはどう対応すればよいのでしょうか。

まず大切なのは、感情的にならず、現状を受け止めることです。

「そっか、今日は行けなかったんだね」
「そう思ってるんだね、教えてくれてありがとう」

こうした声かけは、子どもにとって「理解してもらえた」「否定されなかった」と感じる小さな安心になります。

逆に、「どうして行けないの?」「せっかく新学期なんだから」といった言葉は、子どもを責めているように聞こえ、信頼関係にヒビを入れることになります。

【ノウハウ②】「このままでいいの?」という不安への向き合い方

「このまま引きこもりになるのでは…」という不安は、多くの親御さんが抱えるものです。今まさに、外出をしないお子さんもいるでしょう。

しかし、子どもが“家で何もしていない”ように見えるときも、実は心の中では激しい葛藤が続いています。学校に行けないことで自分を責めている子どもも少なくありません。

この時期に親御さんができるのは、外側の成長よりも、内側の安定を大事にすることです。

  • 一日のリズムを少しずつ整える(起床・就寝・食事の時間)
  • 簡単な家事を一緒にやってみる
  • 好きなことに没頭する時間を大切にする(ゲーム、アニメ、読書など)

これらは、自己肯定感や安心感を育てるための重要なステップです。

家庭で自己肯定感や安心感を持てるようになることで、お子さんは、家庭を足がかりにして、外の世界に出ていくことができるようになります。

【ノウハウ③】学校とのつながりは細くても切らない

お子さん・ご家庭と学校との関係が完全に切れると、後の再出発の妨げになることがあります。無理のない範囲で、以下のようなつながりを保つことをおすすめします。

  • 親御さんに負担のない範囲で、担任に近況をメールで伝える
  • プリントだけ取りに行く/郵送してもらう
  • 子どもが興味のある行事(体育祭、文化祭など)の情報を伝える
  • 可能であれば、保健室登校・別室登校、午前中・午後だけの登校、部活だけの参加などを検討する。

子どもにとって「社会との接点が完全にゼロではない」という感覚は、大きな安心材料になります。

ただし、これまでに学校を話し合いなどを重ねる中で「学校はアテにならない」と思っているようでしたら、無理に繋がりを保つ必要はありません。

学校の代わりに、学校外のサポート団体を利用しましょう(学校と繋がっている場合でも、サポート団体は利用した方がよいです)

【ノウハウ④】親自身が心を守る時間を意識的に持つ

子どもと日々向き合う中で、親御さんも知らず知らずのうちに疲弊していきます。特に進行期は希望が見えにくく、先の見通しが立たないことで、強いストレスを感じる時期です。

だからこそ、意識的に「自分のための時間」を取ることが大切です。

  • 友人や支援団体、カウンセラーなどに話を聞いてもらう
  • 子どもが寝た後に、自分の好きなことをする
  • 週に1回でも外出して気分転換をする

親御さん自身が笑顔を取り戻すことが、子どもにとっても最大のサポートになります。

登校再開を焦って、子どもへの対応につまづきが生じた5つの事例

不登校オンライン(キズキ)が見聞きした、「新学期に学校に行けないお子さんに焦って、親御さんの対応につまづきが生じたエピソード」を紹介します。

※個人の特定に紐づかないよう、複数の事例を統合・編集・再構成しています。
※これまでに同じような対応をしている親御さんを不安にさせるつもりはありません。その上で、「お子さんへの対応」は親だけ・家庭だけで対応しようとせず、不登校のサポート団体を利用することをお勧めします。

エピソード1.「せっかくの新学期なんだから」と背中を押しすぎた

玲奈さん(中学1年生)は、小学6年生の秋から行き渋りが始まり、冬には完全に登校が難しくなりました。外出もあまりできません。

進学(中1の1学期)を控えた春休みの間、少しずつ近所のコンビニまで買い物に行けるようになり、親としては「この調子なら4月から行けるかも」と密かに期待していました。

迎えた新学期の朝、玲奈さんは自分で制服を手に取りました。

母は「これは行けるかも」と思い、「えらいね、やっぱり中学生になって変わったね」と明るく声をかけました。

ところが、その言葉に対して玲奈さんは黙り込み、数分後には制服を置いて布団にもぐり込みました。それから3日間、ほとんど話さなくなり、スマホの電源も切ったまま。

後に玲奈さんは、「“変わったね”って言われたときに、自分が“変わらなきゃいけない”と思って怖くなった」と話しました。

母は後から、「あのとき、本人はまだ揺れていたのに、私の『行ってほしい気持ち』が全部伝わってしまった」と悔やんだそうです。

エピソード2.「友達も待ってるよ」が重荷に

陽翔くん(小学6年生)は、小5の3学期の後半から徐々に登校を嫌がるようになり、終業式の前には完全に不登校状態になっていました。

関連記事

登録から30日間無料!ゲーム依存、昼夜逆転、勉強の話、子どもにしてもいいの…?疑問への「答え」が見つかるウェブメディア 不登校オンライン お試し購読はこちら