【不登校進行期】寒くなると外に出たがらない…小学校低学年の“動けなさ”に寄り添う12月の関わり方【不登校の知恵袋】
12月の冷え込みは、大人であっても動くのがイヤになる季節です。
不登校の進行期にある小学校低学年の子どもにとっては、寒さによって心身がいっそう縮こまり、外に出る・着替える・起き上がるなど、日常の行動そのものが難しくなることがあります。
これは“怠け”ではなく、低エネルギー状態の子どもが、冬の環境変化に対して自然に示す反応です。
この記事では、12月特有の季節要因を踏まえながら、お子さんの「動けなさ」に寄り添う具体的な関わり方をまとめます。
【不登校進行期とは】
不登校は、前兆期→進行期→混乱期→回復期という経過を辿ることがよくあります。進行期とは、不登校が始まり、心理的な落ち込みが激しくなり、やがてその状態が固定化されるまでの期間のことです。この記事は、主にこの時期のお子さんがいる保護者さんのための内容です。もちろん、それ以外の時期の方にもお役立ていただけます。不登校進行期の記事一覧はこちら
【サポート団体を利用しましょう】
不登校のお子さんのことを、保護者だけで対応する必要はありません。不登校のサポート団体を適切に利用することで、お子さんも保護者さまも、「次の一歩」に進みやすくなります。サポート団体の探し方は、こちらの記事をご覧ください。
目次
寒くなると強まる“動けなさ”をどう捉える?
寒さ・日照の減少・冬の身体リズムは、低学年の子どもの行動意欲を強く下げます。その背景をお伝えします。
12月は心身のエネルギーが落ちやすい季節
不登校進行期では、もともと心のエネルギーが不安定です。そこに気温の低下、日照不足などが重なると、「身体が思うように動かない」状態がより強まることがあります。
また、この時期は、自律神経の働きが乱れやすく、体温調節にエネルギーを使うことで、さらに心身の消耗につながる場合があります。
こうした身体の反応は、子どもの意思や努力ではどうにもできない部分が多いため、「動けないのは自然な状態」と認識することで、親の焦りも落ち着いていきます。
「行動量が減る=悪いこと」ではない
寒い季節に動きが鈍くなることは、低学年ではよくある反応です。次のような姿が見られても、すぐに改善を迫る必要はありません。
- 家から出たがらない
- ずっと布団やソファで過ごす
- 朝が特に動きにくい
今はエネルギーを貯める時期と考えることで、親子ともに穏やかに過ごせます。
家の中から動き出すための「小さなきっかけ」の作り方
外に出るという大きな行動にこだわらず、まずは家の中で安心して身体を動かせる“ミニ行動”を積み重ねましょう。
超スモールステップで「動けた経験」をつくる
まずは「小さな行動」を設定します。次のようなものは、「動けた」という成功体験になります。
- 布団から足だけ出す
- カーテンの隙間から外を2秒だけ見る
- 自分でコップに飲み物を入れる
- 本やおもちゃを少し離れた場所に片付ける
おおげさに褒める必要はなく、ただ“動けた瞬間があった”と心に留めておくだけで十分です。
行動のハードルを下げる環境づくり
環境に“ちょっとだけ動きたくなる仕掛け”をつくると、自然な行動が増えていきます。
- ソファにお気に入りの本を置いておく
- テーブルに小さな工作セットを置いておく
- キッチンに行くと好きなスープの香りがする
子どもを誘導するのではなく、「動いてみてもいいかも」と思える選択肢をそっと置いておくイメージです。
朝は“ウォームアップ時間”を長めに
低学年の子どもにとって、寒い朝の起き上がりは大きな負担です。次のように、「すぐに動かなくていいよ」というメッセージを伝えることで、気持ちの余裕が育ちます。
- 小さなライトでやわらかく明るくする
- 好きな音楽を流す
- 暖房を少し早めに入れる
外に出たがらない子への「無理のない外出」のサポート
外出は大きな負担だからこそ、“外気に触れるだけ”を目標にすると負担が減ります。
目的は「距離」ではなく「感覚」
外に出ることが難しい日は、外に出る目的を「用事」ではなく「感覚」に設定します。
- 玄関の扉を開けて冷たい空気を吸う
- ベランダに10秒だけ出てみる
- 窓を開けて、外の匂いを感じる
外気に触れると、気分転換や自律神経の切り替えにつながります。
防寒は“安心感”をつくる
寒さを不快に感じる子が多いため、過度ではない範囲で防寒を工夫します。次のような候補があります。
- お気に入りのアウターやマフラー
- キャラクターが掲載されたカイロ
- 耳当て・手袋などの“楽しい防寒アイテム”
「温かければ大丈夫かも」という感覚が育つと、外出のハードルが下がります。
12月特有のリズムの崩れを、やわらかく整える
12月は日照の減少と寒さの影響で、生活リズムが乱れがちです。ここでは、改善を“頑張らない”関わり方に焦点を置きます。
「時間」ではなく「行動の順番」を整える
「何時に寝る」「何時に起きる」のような時間目標は負担になります。代わりに、行動の順番だけ固定すると、自然とリズムが整います。
- 夜は「電気を暗くする→歯磨きをする→読み聞かせをする」
- 朝は「水分補給→一口食べる→カーテンを開ける」
“時間”ではなく“流れ”を生活の軸にするイメージです。
「眠気」を取り戻すためのゆるい活動
日中に少しだけ身体を動かすと、自然な眠気につながります。
- 親子でストレッチする
- 音楽に合わせて手を動かす
- 軽い家事を一緒にする
無理のない範囲で、身体を“軽く動かすだけ”で十分です。
親の気持ちを楽にする12月の過ごし方〜「今日は動けない日」でいい〜
寒さと子どもの動けなさが重なると、親の心もぎゅっと縮こまりやすくなります。
12月は、小さな子ほど疲れが出やすい時期です。そして、休息は回復の一部です。外出も活動もできない日は、ごく自然な時間の流れだと考えて構いません。
毎日結果を求める必要はなく、「今日は動けない日なんだな」と受け止めるだけで、親の気持ちが大きく楽になります。
冬休みをゆるくイメージしておく
12月の前半から中盤は、冬休みに向けて“ゆるい土台”をつくる時期でもあります。次のようなことを保護者だけでメモしておくだけで、後の安心につながります。
- 家族で簡単にできる室内の遊び
- 冬休みに取り入れたい「ゆるい習慣」
- 食事や入浴のざっくりした時間帯
「寒くなり始めた時期の、不登校進行期の小学生」への親の対応が、よい状況につながったエピソード
不登校オンライン(キズキ)が見聞きした、「寒くなり始めた時期の、不登校進行期の小学生」への親の対応が、よい状況につながったエピソードを紹介します。
※個人の特定に紐づかないよう、複数の事例を統合・編集・再構成しています。
「玄関の一歩だけ」で十分だと決めた冬
小学校2年生のそうたくんは、秋の終わり頃から学校に行けなくなり、12月に入ると家から出ることすら嫌がるようになりました。朝になると、布団をかぶったまま「さむいからいやだ」と言い、リビングに行くことにも抵抗を見せる日が続きました。



