• HOME
  • 記事一覧
  • 不登校
  • もっとも多い不登校の原因、「がんばりすぎ」の3タイプと対応方法(保護者さま向け)

もっとも多い不登校の原因、「がんばりすぎ」の3タイプと対応方法(保護者さま向け)

#不登校#行き渋り

キズキ共育塾スタッフの宮野唯です。

不登校の原因は様々です。主要な原因11パターンについては、弊塾の深山講師がこちらで紹介しています。

そこで今回は、その11パターンの中でも、私がお会いしてきたキズキ共育塾の生徒さんの中でもっとも多かった主要な原因である、「がんばりすぎてしまう」タイプについて詳しくお伝えします。

不登校のお子さまを持つ保護者さま向けに、「がんばりすぎてしまう」3タイプを多い順に、まとめました。それぞれの特徴と解決のきっかけ、最後に、キズキ共育塾の生徒さんの具体的なお話をご紹介しています。

これまでがんばってきたように見えるお子さまが不登校になった、不登校になりそうな保護者さまのご参考になれば幸いです。

「がんばりすぎ」が原因の不登校①完璧主義タイプ

「がんばりすぎ」の中でももっとも多いのが、自分のあるべき姿を追いかける「完璧主義」タイプです。

「こうでなければいけない」
「これができないならやる意味がない」
「これができない自分はもうダメだ」

物事に対して、架空の「あるべき姿」のためにがんばりすぎ、「あるべき姿と遠い自分は何もできない」と落ち込み、身動きがとれなくなってしまっている状況です。

勉強の例では、「英単語は絶対に1回で全部覚えなければならない」というあるべき姿に対し、1回で覚えらなかったときに、「もうダメだ。自分は勉強ができない。こんなんじゃ勉強以外も何もできるはずがない」となります。

さらに、完璧主義の考えに陥ると、現状である「今」の自分が置き去りになります。
「こんなんじゃ目標の大学に入れない」という「未来」
「毎日20個やるはずだった英単語の暗記が今日は10個しか進まなかった」という「過去」
に意識がとらわれて、「今」の自分の首をしめてしまうのです。

完璧主義はうまく働くと大きな結果に結びつきますが、知らず知らずのうちに自分を苦しめていることに気づけないことがあるのが厄介なところです。

このタイプの方は、「人生は必ずしも理想通りでなくてもよい、と力を抜くこと」をきっかけに、「今」に応じた行動をとれば、状況が好転することがあります。

具体的なお話として、「他人からアドバイスをもらって、自分自身を客観的に見つめるようになった生徒さん」のエピソードを後ほどご紹介します。

「がんばりすぎ」が原因の不登校②ためこむ性格タイプ

次に多いのが、「人に相談ができない、気持ちを一人でためこむ」タイプです。

「自分が我慢すればいいんだ」
「人に迷惑をかけたくない」
「悩みを人に相談するなんて恥ずかしい」

そんな思いから、何か嫌なことや困ったことがあったときに、自分の中にためこみ、一人だけでがんばりすぎています。人に相談すればできたかもしれない効果的な行動ができていない状況です。

これは、他人の感情や視線について、「過剰に」考える傾向が強いためです。その結果、自分のことがおざなりになり、勉強や体調が限界を迎えたときに不登校になってしまいます。

このタイプの方は、「他人に悩みを相談する場を作ること」をきっかけに、不登校からの立ち直りに加えて、日常生活をぐっと楽に過ごせるようになることが多いです。

具体的なお話には、「ずっと勉強がわからなかったけれど相談できなかった生徒さん」のエピソードをご紹介します。

「がんばりすぎ」が原因の不登校③疲労の蓄積タイプ

最後は、「心身への疲労が蓄積してしまった」タイプです。

「もう疲れてしまった」
「エネルギーが切れてしまった」
と話す方が多くいます。

日々の多忙な生活を長期間がんばってきたことで、「この生活がいつまで続くんだろう」と気力・体力が枯渇してしまった状況です。

多忙の原因は様々ですが、お受験、習い事、部活、予備校、日々の授業の予習・復習などがあります。家と学校生活がメインのお子さまにとっては、「多忙な日常」が永遠に続くように感じるのでしょう。人によっては、幼少期からずっとがんばり続けていることもあります。

(ちょっと違うタイプですが、文化祭や体育祭など、短期間のイベントに全力で取り組んだときにも、心や体に疲れが出て、それをきっかけに不登校となる人もいます。)

このタイプの方は、家族関係や友人関係が良好で周囲のサポートを得やすいことが多いです。

「今の生活を立ち止まって自分のペースを見直したり、病気については医療の手を借りたりすること」をきっかけに快方に向かう傾向があります。

具体的なお話では、「学校の授業についていくために無理をし過ぎてしまった」生徒さんのエピソードをご紹介します。

高すぎる理想像と自分を比べて苦しんでいたAさん

キズキ共育塾の入塾前面談のときに、「勉強が全然うまくいかない」と涙ぐんでいた高校不登校の生徒さん(以下、Aさん)がいました。

ですが、高校に通えていたときの成績を聞くと、客観的には決して悪くなく、どちらかと言えば上位の方でした。

つまりAさんは、受験科目、志望大学、志望学部、大学卒業後の職業に至るまで、「自分はこうしなければ、こうあらなければいけない」と、高すぎる理想を頭に描いていたのです。

その高すぎる理想と現在の自分を比べて、「私はダメだ」と思い込んで身動きが取れなくなり、不登校になってしまったのでした。「完璧主義」が原因の不登校です。

私は、「こうあらなければ」と苦しみながらも勉強を続けることができていた「過去のAさん」を思い、「今までよくがんばってきましたね。一人でここまで勉強できたのはすごいですね。」と心から言いました。

そして、「これからは先生と相談しながら目標と計画を立てて、一緒にやっていきましょう」と伝えました。

初めて会ったばかりの私にそんなことを言われても、Aさんは素直に受け取れないようでした。ですが、「勉強がうまくいっていない」という思いから、不登校の方の指導に実績があるキズキ共育塾への入塾を決めてくれました。

その後Aさんは、キズキ共育塾で授業を受けたり講師とコミュニケーションをとったりする中で、まず理想と自分の距離を理解してくれました。

そして、だんだんと「今の自分がするべきこと」、「毎日をそんなに完璧に過ごせなくてもよいこと」、何より「必ずしも理想どおりじゃなくても幸せな人生を過ごせること」などをわかってくれて、高すぎる理想を掲げて完璧にがんばりすぎることはやめました。

そんなAさんは、その後、大学に見事合格しています。

人に悩みを相談できず、一人で苦しんでいたB君

ある生徒さん(以下、B君)は、「ため込む性格」が原因の不登校でした。

B君は、高校から数学と英語の授業についていけなくなり、毎日辛い思いをしていました。ですが、その性格から、授業中に質問したり、友人や家族に現状を訴えたり、ましてや助けを求めたりすることもできずにいました。

苦しい思いを我慢して高校に通っていたのですが、それで勉強ができるようになるはずがなく、ある日苦しさは限界を迎えました。そして高校を不登校となり、不登校状態のまま卒業しました。

高校卒業後、B君は、何をするでもなく毎日を過ごしていたのですが、数年が経ち、改めて前に進もうと決断しました。そして、「とりあえず」システムや実績などを聞いてみようと、キズキ共育塾を訪れました。最初は、自分の悩みを私たちに相談するつもりはなかったのです。

そうして訪れたB君と話すうちに、私は、「悩みをためこむタイプの、がんばりすぎる方だ」と、経験から推測しました。

そこで私は、「せっかく来たのだし、入塾しなければもう私と関わることはありませんよ。ですから、試しに、私に悩みを相談してみませんか?私にとっては迷惑じゃありませんし、あなたにとっても恥ずかしいことじゃありませんよ」とB君に伝えました。

すると、B君は、勉強がわからなくて辛い思いをしていたことや、誰にも相談できずに悩んでいたこと、自分がこれからどうしたいかなどについて、ポツポツと話し始めてくれたのです。

一度悩みを吐き出せたことがきっかけに、B君は、他人に相談すること、悩みを打ち明けることの効果を理解しました。つまり、気持ちが楽になり、ときには具体的な解決方法も見えてくる、ということです。

その後B君は、保護者さまにも、これまで辛かったことやこれから自分はどうしたいのかを話すことができました。

B君は、辛いときや苦しいときに他人と相談することができるようになり、キズキ共育塾の授業でもどんどん質問できるようになりました。

そして、周囲の助けを得ながら学習を続けた結果、志望校に合格することができました。

毎日深夜まで勉強を続けていたCさん

ある生徒さん(以下、Cさん)は、「心への疲労の蓄積」が原因の不登校でした。

Cさんは、通っている高校では大学受験対策コースに在籍し、熱心に勉強をしていました。ですが、うまく授業についていけないことから、某予備校にも通い、毎日深夜まで予習・復習をする生活を続けていました。

その時期のことを振り返って、Cさんは、「いつまで経っても終わりが見えず、勉強すればするほどさらに勉強することが増えていくような気分だった」と言っていました。

そうした生活が続く中、Cさんの心には疲労が蓄積していきました。そしてCさんは、学校へ通えなくなるほど心に変調をきたし、不登校になってしまったのです。

Cさんは、不登校期間に病院での治療と家族・友人によるサポートを受けて、高校通学を再開することができました。

通学再開後、Cさんは、毎日深夜まで勉強をがんばるスタイルをやめました。

高校に通いつつ、高校の授業でわからない部分は、心身への疲労がたまらないようにペースを調整できるキズキ共育塾で勉強するようになったのです。

こうすることで、がんばりすぎず、受験勉強と体調管理の両立ができるようになりました。

親からの「無気力で怠けている」「甘えている」という見方が追い打ちをかける

ここまで、「がんばりすぎること」が原因で不登校になるお子さまの3タイプをお話ししました。

そんな方々には、共通して、周囲の反応に敏感な傾向もあります。

あなたは、不登校のお子さまに「無気力で怠けているだけだ」「何を甘えているんだ」などと言ったりしていませんか?

本人は、これまで周囲の期待もある中がんばり続けてきただけに、「不登校である」という自身の状況に加えて、周囲からの「無気力なだけなんじゃないか」「怠けているだけなんじゃないか」「甘えている」という見方によって、さらに苦しめられるのです。

「無気力」や「甘え」が原因の不登校もあるのですが、それは今回の「がんばりすぎ」とは全く異なります。

先にお話ししたように、体調面さえ回復すれば不登校から立ち直れたかもしれない場合の方でも、「怠けている」「甘えている」と言われたら、周囲の理解を得られない苦しさや、「自分はただ甘えているだけなのかもしれない」という事実とは異なる思い込みが生じたりすることから、気持ちに悪影響を及ぼしてしまうことがあるのです。

そうなると、立ち直りに一層の時間がかかってしまいます。

お子さまが不登校になったとき、これまでのお子さまの生活を振り返ってみましょう。もし「これまでずっとがんばり続けていたな」と思い当たるようなら、「怠けているだけだ」「甘えている」とは言わないでください。

解決のため、人の力も借りてみましょう

不登校のお子さまは、自分だけではどうしたらいいのかわからない、自身の状況に気づけない状態に陥ってしまっていることが多いのですが、ご紹介してきたように、周囲の理解と助けで不登校の状況が改善する可能性は大いにあります。

保護者さまも含めて、「周囲の理解と助け」を求めることを試してみるとよいかと思います。(保護者さまにも、「がんばりすぎ」で苦労されているな、と見受けられる方は大勢います。)

さて、今回のお話は、私の経験によるものです。最初に述べたとおり、不登校の原因や取るべき対応は、もちろん人それぞれです。

もしあなたが不登校のお子さまのことでお悩みでしたら、キズキ共育塾にご相談ください。それぞれのお子さまに応じたお話ができると思います。

保護者さまだけのご相談もお受けしていますので、お気軽にご連絡ください。

<※紹介した生徒さんの事例は、記事の趣旨を損なわない範囲で、個人の特定ができないように一部事実を変更しています。>
<※文中の写真は、全てイメージです。>

関連記事

登録から30日間無料!ゲーム依存、昼夜逆転、勉強の話、子どもにしてもいいの…?疑問への「答え」が見つかるウェブメディア 不登校オンライン お試し購読はこちら