作家・燃え殻さんインタビュー|生きづらさと向き合う⑥ 楽しいこともつらいことも重ねていけば、不登校の「足跡」はやがて分からなくなる
今まさに不登校の渦中にあるとき、不登校は重大な出来事です。燃え殻さんは、その重さを受け止めつつも、「人生を歩み続ければ、不登校の足跡は、やがて見分けがつかなくなる」と語ります。
日常に現れる生きづらさや孤独、不安、そしてその中に差し込む小さな「光」。 そうした揺れを描き続ける作家・エッセイストの燃え殻さんに、「生きづらさ」をテーマにインタビューしました。全6回の連載も、今回が最終回です。
第6回のテーマは「不登校の足跡と人生のグラデーション」。 不登校に悩む親子へ、未来へ進むためのヒントをお届けします。最終回にふさわしい言葉をぜひ受け取ってください。
目次
親が子どもに及ぼせる影響なんて、ほとんどない
― 児童虐待などの例外を除いて、子どもの育て方は、不登校とは関係ありません。どんな育て方をしていても、子どもは不登校になりえます。ただやはり、不登校の子どもの親には、「自分の育て方が悪いのではないか」と自分を責める方も少なくありません。燃え殻さんは、「自分を責める気持ち」とどのように折り合いをつけていますか?
燃え殻(敬称略。以下同様):育て方については、何にも思わなくていいです。
僕の両親は、普通を美徳としています。でも、僕は普通じゃないことをやってしまいます。親が僕に何かを押しつけたことで僕の性格が変わったことは、マジで何ひとつありません。みんな、親の言うことではびくともしない個性をもっています。
親の立場にある方々も、振り返ってみると、自分の親から大きく影響を受けたことは、ほぼないんじゃないんでしょうか。
「釣り好きの親がいたら釣りを好きになる」みたいなことはあるかもしれませんけど、そのくらい(のレベルの話)じゃないでしょうか。
人は、他人に大きな影響を与えられない気がします。子どもに対して自分のことを「親だから(影響が大きい)」と過度に思うのではなく、「一人の人間だから(そんなに影響はない)」と思った方がいいかもしれませんね。
親の「失敗」ですら、そんなに影響はない
燃え殻:(幼稚園のときの円形脱毛症の原因と思われる)麻疹(はしか)の予防接種を受けていないのは、絶対に母親が忘れたせい。100%親のせいなんですよ。
でも、



