なぜ6割の子が楽しいと語るのか「きのくに子どもの村学園」の教育実践
クラスがない、テストがない、宿題も校則もない。「きのくに子どもの村学園」はそんな不思議な学校です。1月24日に行なわれた創立者・堀真一郎さんの講演(主催・多様な学び保障法を実現する会)を抄録します。堀さんに影響を与えたさまざまな先人たちの教えや、「きのくに子どもの村学園」の実践などについてお話いただきました。(編集/茂手木涼岳・湯浅大輝)※画像はきのくに子どもの村学園の子どもたち
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こんにちは。「きのくに子どもの村学園」の理事長・学園長の堀真一郎です。今日は「体験学習が学校を変える」というテーマで、私たちの学園の特徴を、私が影響を受けた3人の教育家の例を引きながら、お話をさせていただければと思います。
私は1992年から、和歌山県、福井県、福岡県、山梨県、長崎県で計11の小中学校と高等専修学校を運営しています。たくさん学校はあるのですが、ひとつひとつの学校は定員72人から120人とそんなに大きくありません。「学校は大きすぎてはいけない」とすら思っているくらいです。
私が学校づくりを始めた原点は、福井県勝山市の山奥にあった、元小学校の分校です。母親がその学校に勤務していたのですが、そこで目にした風景が頭から離れなかったのです。緑ゆたかな山に囲まれたその分校では、先生と子どもたちがいつも自然でさわやかな関係のなかで暮らしていて、村の人たちとの距離もとても近く、本当に楽しそうでした。映画「二十四の瞳」に出てくるような学校だったのです。
私は、僻地の教師になろうと思って京都大学の教育学部に入学しました。