漫画家・山田玲司さんに聞く「ひきこもるのは まともだから」

#不登校#行き渋り

 週刊ヤングサンデーに連載されていたドキュメンタリー対談漫画『絶望に効くクスリ』(著・山田玲司)。03年から連載が開始され、若者を中心に共感を集めた。子ども若者編集部では作者の山田さんに漫画家になる経緯や親子関係についてうかがった。山田さんが見つけた「絶望に効くクスリ」とはなんだったのだろうか。

――まずは漫画家になった経緯からお聞かせください(茂手木)。

 典型的な漫画少年でした。オレが生まれたのは1966年、「ウルトラマン」の初回放映年と同じ年です。この世代は最後の手塚治虫世代というか、まわりはほとんど漫画好きでした。オレもごたぶんにもれず、小学6年生ぐらいのときから「漫画家になろう」と。そのまんま、いまに至っています。

――そうスムーズにいかない人が多いと思いますが(茂手木)。

 いま、漫画家と言えば狭き門というイメージもありますが、なんにも考えていませんでしたから(笑)。同業者を見渡しても条件や状況を考えて行動する人よりも、「やっちゃえ」みたいなエネルギーで動いていく人のほうが多いですよ。

◎全面肯定されたエネルギーが

 それと、うちは親がまともだったんです。すごく愛してくれたし、言うことだって「みんな本当はいい人」だとか「最後は大丈夫」だとか、まともなことしか言わない。

 それと、よくホメられてもいました。「お前はすごい」「天才だ」って(笑)。だいぶ洗脳されたんで、小学生のころはまわりに対して「俺だけはステージがちがうから」って思ってましたから(笑)。ホントはみんな同じことを内心では感じていたと思いますけどね。

 とにもかくにも、自信があったんですが「じつは俺、絵が下手だな」とか「まわりの気持ちも考えなきゃ」とか反省の歴史をその後、歩むことになります。それでもやはり、ひたすらに全面肯定されて元気でバカな子に育った、そのエネルギーでいまも生きているなあと感じてます。

――私の場合は逆で、親子関係が、ほとんどトラウマになってます(じゃっく)。

 それは苦しい旅を続けてこられたでしょう。親からの愛情を感じない、逆に傷ついていく。そう感じる人は多いと思いますが、自分を責める理由はまったくありません。1%だってない。だって自分が選んだわけじゃないから。まずは自分を責める気持ちはトイレに流しちゃいましょう。親は心のなかで殺しちゃう。そうしないと、親か自分、どちらかを実際に殺しちゃうかもしれませんから。親との付き合い方が難しい場合は、物理的な距離をとるのが一番です。ただし、お金の問題もあってできない人もいるでしょう。そういう人は「親」というものを戸籍上の一親等にだけ限定して考えないほうがいい。視野を広げれば俺だってあなたの親。人類という規模で見たら絶対につながっている。自分が尊敬できる人がいれば、その人が親だと思っていい。あなたには好きなアーティストがいますか?

――好きなバンドはいます(じゃっく)

 その人たちがあなたの親です。そのバンドの「魂の子」があなた。ジョン・レノンでも、尾崎豊でも誰でもいい。何人いてもいい。自分はその人の子だと思う。本質的にはまちがってないし、そうやって自分を設定していくやり方もありです。

 じゃあ実際の親はどうするか。親の前で優等生になる必要はありません。ウソをついてでも自分の身を守っていい。どうしても子どもを傷つけてしまう親はいます。そういう人には、もう子どものほうが、親を患者さんのように見ていくしかありません。

あなたには責任がない

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