元校長先生に聞きました! 学年途中のクラス変更、学校はどう考えている?
「(学年の途中で)クラスを変えてもらいたいのだけど、そんなことできるの?」
「不登校オンライン」では、不登校の子どもの親御さんからのこうしたご相談について、文部科学省に問い合わせました。その回答から、COCOLOプラン(誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策)に「クラス変更に対応すること」が盛り込まれていることがわかりました。
しかし、現場はなかなか中央省庁の施策どおりにはいかないもの。学校で日々子どもたちと向き合っている先生たちは、この課題についてどのように考えているのでしょうか。
今回は、「学年途中のクラス変更」について、学校側の見解を紹介するために、元公立小学校の校長先生たちにお話をうかがいました。
※関係する子どもや学校等が特定されないよう、ご協力者はすべて匿名で掲載します。
不登校の子どものクラス変更は「経験がない」
今回の取材に際し、元公立小学校校長の声掛けで、公立中学校校長、療育センター長、養護教諭(定時制高校などで勤務経験)、地方公共団体の不登校担当責任者(すべて東京圏)のご協力を得ることができました。
まず、上記5名の教育関係者に、「不登校の子どもの、学年途中でクラス変更」の実際についてうかがいました。
結論としては、COCOLOプラン実施の前後を問わず、いずれも「経験事例なし」。
- 子ども本人との合意の上で、一部の教科をほかのクラスで受けるようにした
- 学級崩壊状態のため、学級集団の立て直しを目的としたクラス変更を実施した
といった事例は挙げられたものの、不登校の子どもが、学年途中で単独でクラスを完全移籍する事例はありませんでした。
不登校の子どもが転校するケースはよくあります。しかし、不登校への対応のために学年途中でクラスを変更したケースは、私の現役時代にはなかったですし、教員仲間から聞いたこともないですね(元校長)
「1人のクラス変更」に伴う説明責任
「たった1人クラスを移るだけだから、なんとかなるのでは?」
そう考える保護者の方もいるかもしれません。
しかし、教育現場で長年尽力されている方々の周辺で実施事例がないとなると、学校側としては「そう簡単にはいかない理由」がありそうです。