「天穂のサクナヒメ」制作者が振り返る不登校時代。「自分への決めつけは勘違いかもしれない」|ゲームクリエーター・こいちさん インタビュー【後編】
大ヒットしたアクションRPGゲーム「天穂(てんすい)のサクナヒメ」。
制作者の一人である、こいちさんに不登校時代と、その後、現在の仕事へ就くまでのお話をうかがいます。
「頂の世」に住む豊穣の神・サクナヒメが、人が暮らす「麓の世」のヒノエ島に降り、成長していくアクションRPGゲーム。ヒノエ島に現れる鬼の討伐となぜ鬼が出現するのか原因を調査しながら、仲間たちとともに稲作を行う。サクナヒメと仲間が米作りで「頂の世」とともに「麓の世」も豊かにしていく。
前回のお話はこちら:
「天穂のサクナヒメ」制作者が語る「結果的にプラスになった」不登校時代|ゲームクリエーター・こいちさん インタビュー【前編】
前回、不登校時代に続けていたことがゲーム業界で役に立ったと教えてくれた、こいちさん。不登校のきっかけはどんなことだったのでしょうか。
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中学時代に起こった「犯人探し」
ーー学校へ行かなくなったきっかけはあったのですか?
中学1年の秋、生徒会選挙にまつわるトラブルがきっかけでした。
クラスメイトの友だちが生徒会選挙で無効票、落描きを描いたものを出したんです。
僕は一番後ろの席からみんなの票を集めて出す役割だったのですが、彼が落描きをして無効票を提出したのを見てしまった。
投票後、その「落描き票」を書いたのがけしからんというので、学校をあげての犯人探しが始まったんです。
校舎すら違う3年の先輩まで知っていたんで、相当な大事件という定義だったんだと思います。
ほとんど魔女狩りのような状態で、教師も生徒も一丸となって「犯人を見つけて吊し上げよう」という雰囲気になっていました。
僕は誰が書いたのか知っているけど、とっさに友だちのこともかばいたくなって、犯人が誰かは言えませんでした。それで態度が挙動不審に見えたのでしょう。
「あいつ、怪しい」と追及の的にされました。この重圧に耐え切れず、結局僕は友だちのことを話してしまいました。
休んだほうが楽になった
その後、無効票を書いた当の本人は学校に来なくなり、学校に来ている僕は同級生や担任から引き続き嫌われていきました。
でも、休んでる友だちは放っておかれてるんですよ。だったら自分も休んだほうが楽になれるかも、と思って、僕も休み始めました。実際楽になりました。それから中学はほぼ行っていないです。
でも振り返ると、その事件までにも中学自体、結構つらかったところはありました。
みんなと同じレールに乗れていない