【調査報道】「不登校と、親の仕事」のリアル(9)〜今お悩みの方へのメッセージ〜

#不登校#行き渋り#調査報道

子どもの不登校は、親の働き方にも大きな揺らぎをもたらします。

ウェブメディア「不登校オンライン」は、不登校の子どもがいる親438名にアンケートを実施。結果、約6割が退職・転職・就業、または働き方の変更を経験していました。

この記事では、お子さんの不登校と仕事に関連して「今、お悩みの方へのメッセージ」の自由記述と、それに対する編集部の分析・コメントを紹介します(回答は原文ではなく、編集部が類型化した上、再構成を行っています)。

編集

不登校オンライン編集部

1.「子どもの不登校と仕事」に関連して、転職・退職、働き方の変更、就業を迷っている方へのメッセージをお願いします。

回答者:母親161名、父親7名、その他1名

1. 立ち止まっても大丈夫、また動き出せる日が来ます

  • 仕事を辞める決断は、当時とても怖かったです。でも、子どもと一緒に過ごす時間が増えて、ようやく落ち着いて話せるようになりました。あの時間がなければ、親子関係はもっとこじれていたと思います。休むことは「終わり」ではなく「再スタート」でした。ブランクがあっても、また働ける日が必ず来ます。立ち止まったことで、自分の強さや優先すべきものが見えました。焦らなくていい、一度止まっても人生はちゃんと続いていきます。

2. 辞める勇気も、続ける覚悟も、どちらも間違いじゃない

  • 働き方は人それぞれで、正解はありません。私は「辞めたら終わり」と思っていました。しかし、結果的に仕事を一度手放したことで心が軽くなり、子どもと穏やかに過ごせるようになりました。逆に「仕事を続けていた方が心の支えになった」という人もいます。続ける選択も、やめる選択も、どちらも自分と家族を守るための勇気です。自分を責めずに、「今の自分にとって一番大切なこと」を基準に考えてください。後で必ず、あの決断でよかったと思える日が来ます。

3. 子どものためにこそ、親が無理をしないでほしい

  • 私は「働かないと生活できない」と思い詰めて、無理を重ねました。朝、泣いている子どもを置いて出勤した日のことを、今でも忘れられません。子どもは親の表情を敏感に感じ取ります。だからこそ、親が疲れ切ってしまっては、どちらも苦しくなってしまうんです。いま思えば、“働くか休むか”よりも、“どうすれば自分をすり減らさずにいられるか”が大切でした。頑張り続けるよりも、ときには休む勇気を持つ方が、子どもにとっても支えになると思います。

4. 働くことを「悪い」と思わないでください

  • 子どもが不登校になってから、「働いていていいのだろうか」と罪悪感を抱くことがありました。でも、仕事があることで私の気持ちは保たれていました。働く時間は“自分を取り戻す時間”でもあります。外で人と関わることで、家に戻ったときの余裕が生まれました。子どもも「お母さんが元気だと嬉しい」と言ってくれます。働くことは、子どもを放っておくことではなく、親自身の回復の一歩です。自分が笑顔でいられる働き方を、恐れずに選んでほしいです。

5. 仕事を「逃げ場」にしてもいい

  • 不登校の渦中では、家にいるのがつらい日もあります。私は仕事に出ることで、ようやく呼吸ができました。最初は「仕事に逃げている」と自分を責めましたが、今はそう思いません。仕事をしている間に気持ちが整い、家に帰って子どもと向き合う余裕が生まれたからです。逃げ場を持つことは、決して悪いことではありません。むしろ自分を守るための大切な方法です。働くことで自分を保てるなら、それは立派な選択だと思います。

6. 職場に打ち明けると、世界が少し優しくなりました

  • 職場の人に「子どもが不登校で」と言うのは本当に勇気がいりました。でも、黙って限界まで抱えた結果、心が壊れかけたんです。思いきって上司に話すと、「家庭を優先していい」と言ってもらえました。そして、受け入れてもらえたことに涙が出ました。勇気を出して話してみると、思った以上に理解してくれる人はいます。職場に“味方”ができるだけで、どれだけ救われるか。今の私なら、あのときの自分に「もっと早く話して大丈夫」と伝えたいです。

7. 一人で頑張らなくていい、助けを借りてもいい

  • 「親だから、自分が頑張らないと」と思っていました。でも、支援センターや親の会で同じ立場の人に初めて出会って、涙が出ました。自分だけじゃないと知ることが、どれだけ救いになるか。助けを求めることは甘えではありません。むしろ、次に進むための力になります。誰かに話すことで、視界が広がり、選択肢が見えるようになります。孤立しないでください。あなたが少し休むことで、子どもも安心して息をつけるんです。

8. 働き方は「他人と比べない」で決めていい

  • 正社員で続ける人もいれば、在宅に切り替える人もいます。私はパートタイムになって、仕事を減らして、心の余裕を取り戻しました。周りの働き方と比べて「自分はダメだ」と思わなくていいと思います。どんな形でも、家族が安心して過ごせるなら、それがその人にとっての“正解”です。社会がどう見るかより、自分と子どもの心が穏やかでいられるかどうか。その軸を大切にしてほしいです。

9. 子どもと一緒に、ゆっくり立て直せばいい

  • 子どもが学校に行けなくなったとき、私も一緒に落ち込みました。でも、焦って何かを変えようとしてもうまくいきませんでした。やがて「焦らなくていい、ゆっくりでいい」と思えるようになってから、子どもの表情も少しずつ変わりました。親が落ち着いていれば、子どもも安心します。仕事も、家庭も、一歩ずつ整えていけば大丈夫。時間はかかっても、必ず回復していく——そのことを、今だからこそ伝えたいです。

2.編集部の分析・コメント

子どもの不登校は、親の働き方や生き方を根底から揺さぶります。アンケートでは「辞めてよかった」「続けてよかった」どちらの声も多く、正解は一つではありませんでした。

重要なのは、“どんな状況でも自分を責めすぎないこと”です。立ち止まることを選んだ人は、「あの時間があったから親子で落ち着けた」と語り、働き続けた人は「外の世界とのつながりが心の支えになった」と言います。

どちらも、自分と家族を守るための勇気ある選択でした。また、「仕事を罪悪感から“逃げ場”と感じていたが、それでよかった」との声も多くありました。仕事は自分を保つ場所にもなりうるのです。

一方で、無理を重ねて体調を崩したり、子どもを責めてしまったりした後悔も多く、「親が元気でいることこそ、子どもの安心につながる」と実感する人が目立ちました。

職場や支援団体に相談したことで救われたという体験も多く、「もっと早く助けを求めればよかった」と振り返る声も少なくありません。

比較や理想に縛られず、「わが家に合うペース」で整えていくことが、不登校と仕事を両立させる第一歩です。焦らなくていい。立ち止まっても、休んでも、また動き出せる日が必ず来ます。

3.キズキ共育塾不登校相談員・伊藤真依のコメント

今、不登校相談員として活動している私自身も、実は高校時代に不登校の経験があります。

親の顔色や、不登校サポートに取り組んでくれている様子を見て、

「私が親を振り回しているんだな」
「申し訳ないな」

と当時は思っていました。

このエピソードは、「だから退職が悪い」とか「気を遣わせないようにしてほしい」などと言う意味ではなく、
「とにかく親が幸せそうにしているときに安心した」ということを伝えたくご紹介しました。

不登校のお子さんは、人の気持ちを考えるのが得意な場合が多いです。
だからこそ、心が疲れやすくなっていることもあります。

逆に、保護者さまが幸せそうにしたり、毎日を楽しそうに生きていたら
それを人一倍自分のエネルギーに変換できる力も持っていると思います。

保護者さまの働き方を決めるときの軸に、「保護者さま自身の気持ちや幸せ」の要素を入れていませんでしたら、
ぜひ追加していただけたらと思います。

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4.「不登校と、親の仕事」のリアル〜関連記事一覧〜

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