【PTA特集】その想い、不登校家庭だけじゃないかも! 保護者アンケートに見るホンネ④
「不登校オンライン」では、子どもの不登校・行き渋りを経験している保護者を対象に、PTAに関するアンケート調査を実施しました。
1か月にわたってお伝えしてきた回答者の声、最終回は、「不登校・行き渋りに関連に限定せず、PTAについて思うこと」をご紹介します。
PTAに批判的な声が多かったのですが、好意的な声もありました(好意的な声については、 「⑥PTAへの偏見はヤメテ!」の章をご覧ください)。
前回までの記事はこちら↓
【PTA特集】不登校中も6割が参加 「不登校とPTA」についてのアンケート調査結果
【PTA特集】理解されない、もう頑張れない……保護者アンケートに見るホンネ①
【PTA特集】 どうせなら使い倒して脱・孤独! 保護者アンケートに見るホンネ②
【PTA特集】ほかの子を見るのがつらい 保護者アンケートに見るホンネ③
目次
①PTA、いらなくない?
※以下、各コメント末尾の( )内は回答者のペンネーム・お子さんの現在・回答者お立場。
行事のお手伝い係だけなら、時代的にPTAは不要の方向でいいです。学校がきちんと運営されてるいかの監視機能、サポート機能をもてるのなら、存在意義があるかもしれません。(しろねこさん・通信制卒業後、大学進学・母親)
PTAは入りたい人だけの選択制か、なしにして保護者会でいいのでは。教員の負担もあり、教員は希望してない人が多い。(もりさんさん・社会人・父親)
PTAは任意団体なのに、多くの学校では学校の下働きのような仕事を保護者全員に強制するだけの組織になっています。どんな家庭の事情があってもやらなければズルいと言われ、子どもを人質に「活動しろ」と脅すなど、学校や保護者同士の交流どころか対立を煽る仕組みになってしまっています。こんな団体ならなくなったほうがいいと思います。(みかんさん・中学生・母親)
共働き家庭やひとり親家庭、または仕事をしていなくても介護をしている人などが増えていて、PTAを負担に思う家庭が多いと思うので、廃止してほしい。(いぶきさん・小学生・母親)
②家庭や子どもへのしわ寄せは困ります!
子どもが不登校になる前に執行部をしていました。やる前は「子どものため」と思っていたけど、やってみたら誰のためなのか疑問でした。忙しい時期は家事もできず、子どもを預けて朝から夕方まで学校で作業しなければなりませんでした。家庭や子どもへの負担が多くそこまでしてやる意味があるのか疑問でした。(クローバーさん・小学生・母親)
シングルマザーなので、夜の時間帯に子どもたちだけで留守番させる必要があります。寄り添う気持ちもない学校と優しさも気遣いもないほかの保護者と、中身があるようでない(この内容ならプリントやLINEでよくない?といった)会議に出るぐらいなら、子どもたちに寄り添いたい。(マリアザミさん・中学生・母親)
③保護者のコミュニティはほしいよね
本当は、せっかくだから、PTAの中に行き渋りに困っている親、不登校で不安な親同士のコミュニティ(はけ口)を作ってもよいのでは、と常々感じています。
が、それをしようとすると自分の負担も大きく、家族の反対が目に見えているので、やる勇気はありません。
でも、私自身、はけ口になってくれる人がいて救われたので、そんなコミュニティを作れればいいな、と考えています。(ラムネさん・小学生・母親)
現行のPTAは解散し、別途、子への教育、子育てを学校や地域と共に担う場を作ってはどうか。保護者や不登校の親が悩みを打ち明けたり、情報共有したりするような、別の集える場は必要だと思う。(さとママさん・通信制高校生・母親)
③今どき、なんでそのやり方?
活動が昔ながらの平日、リアルのみということが多い。オンラインで土日しか活動できないケースを勘案して活動を見直して欲しい。(さぶきちさん・全日制高校生・母親)
共働き世帯が多数派になってきている現在において、専業主婦が多かった時代と同じことを同じやり方でやるのは健全ではないと感じています。親ではなく、企業に外注する形での運営がよいのではないかと考えます。
前例踏襲の学校が多いと思いますが、例えば国から教育委員会に対してPTA活動の積極的な見直し/好事例の共有を通達してもらうことで、保護者と学校での議論が大きく進む可能性が出てくると思っています。(たーこさん・小学生・母親)
④本当に「子どものため」の活動ならいいけれど……
やりたくない人、できない人がいる中で、強制的にやらないといけないという空気感。言葉は乱暴ですが、子どもが人質に取られているような「子どものために」という大義名分。
そうではなくて、やりたい人、できる人が自発的に「子どものために」やってあげたいと集えて、実行できる組織形態になってほしい。そういうものであればやってみたい。
子どもだけではなく、大人だって、やらされるより「やりたい」で動いたほうが楽しくできるし、結果として、たとえ時間を子どもに割けなくても、いい影響が伝わる気がするので。(だるたまさん・小学生・母親)
子どものためのPTAであってほしいと切に願います。子どもたちのことより、地域との連携が優先されたり、学校の物品購入、先生方の都合のいいお手伝い役みたいな感じだと、何のためのPTAなんだろうと思います。(くんちゃんさん・中学生・母親)
こんな意見も……
先生と共に子どもたちの学校生活を支えるという意識があれば、「やらされる」という感じにはならないと思います。強制的に役員を頼むようなやり方でなくなれば、協力的な保護者は必ずいるので、気持ちよく活動できると思います。(ごくらくさん・小学生・母親)
⑤そのあり方では苦しいよ
クラスに必ず複数人の不登校の子がいるけれど、わが子が不登校でない場合は、自分ごととしてとらえられる機会はほとんどない。けれども、不登校の子どもたちは、学校に対して「そのあり方では苦しいよ」と発信できている子どもたちだと、私は思っています。
そして、無関係だと思っている家庭のお子さんたちほど、大人になってから、先送りしていた課題を解決するかのように、大学を辞めたり、引きこもったり、仕事につけなかったりする姿を見てきました。
そう考えると、不登校の子がいるという現状を、教員もほかの保護者もひとごとにしないで、学校や教育のあり方を考え合うきっかけにしたり、子育ての悩みについて考え合う機会にしたりできたらいいのになぁ…と思います。
「不登校にならないために」ということではなく、「学校ってなんだろう」とか「子どもの悩み・親の悩み」とか、話し合えるテーマはいろいろあるはず…。
ですが、PTAが楽しくないとか、余計な仕事が増えるだけ、と感じるのは、学校行事の下請け機関になっているからではないでしょうか。
本来のPTAの目的を見直すことも必要かと考えます。(ぺこさん・高校卒業済み・母親)
⑥PTAへの偏見はヤメテ!
不要と思っていたが、実際子どもが不登校になると、支えてくれるのはPTAの人だけでした。(さわざわさん・小学生・母親)
教育自体を学校任せにしないための大切な場、当事者意識を持ち続けるための大切な場。(ちょうちゃんさん・小学生・母親)
PTAが今まで担ってきた役割は大きいのに、悪の組織のような見方をされてしまう。
ただめんどくさいだけの組織のように言われるとショック。(いっちゃんさん・中学生・母親)
役員をいろいろしたが、異学年の親とも知りあえて沢山の情報交換させていただいた。(コニべぇさん・通信制高校生・母親)
役員活動はとても効率的に、円滑にできていたのに、コロナ禍と、その間のマスコミの「PTA不要」を煽る不必要な記事のオンパレードで、偏見が蔓延し、よかったものまで衰退させられていると感じます。(まぁねぇさん・通信制高校生・母親)
入会が任意なので、会員は非常に少ないですが、みなさん協力的です。不登校になったことで、参加できないことは快く免除していただくだけでなく、「実はうちもなの」とお話しくださる方が多く、地域の不登校の親同士のつながりができました。
PTAはいろいろ言われますが、マスコミで出てくる情報は、非常に極端な例だなと思っています。(milmilさん・小学生・母親)
⑦子どもにも、思うところはあるみたい
私自身はもともとPTA活動は好きでやっていたが、子どもの不登校が終わったあとも、「学校のお手伝いには来てほしくない」と子どもに言われている。これは不登校が原因なのか思春期特有の気持ちなのか分からないが、やっと復帰した自分のテリトリー(学校)に、親には足を踏み入れてほしくないということなのかな、自立したいのかなと思った。(やっちさん・中学生・母親)
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PTAに違和感を持つにせよ、やりがいを見出すにせよ、そこには無数の理由があります。不登校の子どもの保護者だけでなく、すべての保護者に共通する課題も。
新年度に向けて、「子どもが不登校じゃない保護者」とも共有できる視点を見つけておくと、PTA活動に意外な突破口が開けるかもしれません。
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