【連載第1回】「学校行きたくない」=「不登校」ではない!
「3分で読める不登校の基本情報」をお届けする本連載。不登校の子どもと関わるすべての「多忙な大人たち」のために、不登校の基本の「き」をご紹介します。
第1回は「不登校の定義」。
さっそく結論です。
文部科学省の「不登校の定義」
文部科学省では、年度間30日以上の欠席を「長期欠席」としています。欠席が連続30日でなくてもあてはまります。
「不登校」は長期欠席の理由の1つで、以下のような子どもが該当します。
何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者 (ただし,「病気」や「経済的理由」,「新型コロナウイルスの感染回避」による者を除く。)
出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説」
「病気」には「心の故障」も含まれている
「不登校」には含まれない「病気」による長期欠席。しかし、注意点があります。「心の病気」の取り扱いです。
本人の心身の故障等(けがを含む。)により,入院,通院,自宅療養等のため,長期欠席した者
出典:同上
①精神疾患の診断を受けて自宅療養中の子どもは、定義上は「不登校」にあてはまらない。
②心の不調を訴えていても、医師の診断がなければ病気とは見なされない。この場合の長期欠席は、定義上の「不登校」。
③診断があっても、さまざまな理由で学校が病気と認識せず、「不登校」としているケースもあり得る。
以上のことから、「不登校」と「病気による長期欠席」には、類似の様態の子どもが含まれていると推察されます。
多くの不登校支援団体では、「不登校」を文部科学省の定義よりも広くとらえて支援を行っています。
「90日」も不登校支援の指標の1つ
近年話題の「週休3日」。仮に、このペースで週1日学校を欠席すると、年度間35日程度に相当します。この場合、学習への影響は比較的小さいでしょう。
しかし、現実にはこうしたケースは稀です。そして、定義上は同じ「不登校」でも、学習への影響は千差万別です。
文部科学省が指標としているもう1つの数字が「90日」です。不登校児童生徒のうち、小学生44.6%、中学生61.2%が、年度間に90日以上欠席しています(令和4年度。近日中に最新情報が公開されます)。
文部科学省でも、とくに「90日以上の不登校」かつ「学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていない小・中学生」に注目。
フリースクールなどの民間団体も含めた、不登校の子どもが学習にアクセスできる場の整備に取り組み始めています。
〈参考〉
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説」
令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」
〈関連ワード〉
登校拒否:「行きたくても行けない」状態を考慮し、平成10年に用語、定義とも「不登校」に変更。現在でも意図的に使用する人もいる。
行き渋り/登校渋り:公的な定義はない。「嫌がるが行く」「保健室・別室登校」などを指す。未就学児(幼・保・こども園)には「行き渋り」「登園渋り」を用いる。
五月雨(さみだれ)登校:公的な定義はない。行ったり行かなかったりをくり返す状態。
次回は「不登校の子どもの数」に注目します!
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