【連載第5回】不登校の子ども専用の学校があるって知ってた?

#不登校#行き渋り#COCOLOプラン#不登校特例校#学びの多様化学校

「3分で読める不登校の基本情報」をお届けする本連載。

不登校の子どもと関わるすべての「多忙な大人たち」のために、不登校の基本の「き」をご紹介します。

編集

不登校オンライン編集部

第5回は「学びの多様化学校(不登校特例校)」です。


国も不登校の子どもの「学び」を憂慮しているけれど……

文部科学省の「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)。この施策の最初に、「不登校特例校の設置を促進」と掲げられています(「不登校特例校」は令和5年8月に「学びの多様化学校」へ名称変更)。

しかし、子どもが「学校へ行きたくない」と言い出した時点で「学びの多様化学校」「不登校特例校」をすでに知っていた保護者は、どれだけいるでしょうか

民間企業が行った調査で、学びの多様化学校を「学校以外で検討した新たな居場所」として挙げたのは3.6%。実際に現在通っているのは2.7%でした。(フリースクールは「検討」が20.7%、「通っている」が13.6%)。
出典:サイボウズそでらぼ「不登校・行き渋りの子どもがいる親1,000名へのアンケート調査結果」

学びの多様化学校が、保護者にとって身近な存在ではないことがわかります。

学びの多様化学校は、今までの学校と何が違う?

学びの多様化学校(不登校特例校)は、不登校の子どものための学校です。法令に基づき、文部科学大臣によって指定されます。フリースクールとは異なり、学びの多様化学校そのものが、子どもの正式な在籍校になります

COCOLOプランの用語解説(不登校特例校)にはこうあります。

学校に行きづらい児童生徒のために、通常の学校より授業時間数が少ないなど、柔軟に学ぶことができる学校(小・中・高等学校等)のことです。

実際、多くの学びの多様化学校で、「遅めの登校時刻」「ソーシャルスキルの授業」「休憩スペース」など、不登校の子どもが抱きがちな困りごとに対する工夫がなされています

また、設置促進のため、学校の形態もさまざまなものが認められています。

  • 学校型:独立した学校として設置。
  • 分校型:既存の学校から分離して、分校として設置。
  • 分教室型:既存の学校の一部の学級のみを、学びの多様化学校として指定。校外施設を教室として利用する学校もある。
  • コース指定型:高等学校等において、一部のコースを学びの多様化学校として指定。

令和6年度はわずか35校。でも、着々と新規開校予定

COCOLOプラン(令和5年)では、「早期に全ての都道府県・政令指定都市に、将来的には希望する児童生徒が居住地によらず通えるよう、分教室型も含め全国300校を目指します」としています。

目標達成までの道のりは遠いものの、学びの多様化学校は少しずつ増えています。

COCOLOプラン発表後の設置状況を見てみましょう。

いつでも入れるわけではない。早めに情報収集を

学びの多様化学校は、不登校の子どもにとって、従来型の学校よりも学びやすい環境です。しかし、いつでも自由に入れるわけではありません

学びの多様化学校へ通うためには、面接などを経て、入学・入室の許可を得る必要があります。

多くの学校が、原則年度初めの受け入れ、前年度の秋に募集を行っています。

定員に余裕がある場合など、年度途中の受け入れが可能な学校もありますが、不登校の子どもの数に学校数が追いついていないため、まだまだ「狭き門」と言えます。

不登校初期の子どもは、学びよりも心身の回復を優先しなければならないことも少なくありません。その期間を使って、保護者が自治体などから情報収集しておくと、子どもが動き出したときに慌てずに対応できます。

また、長期計画で学習機会を検討する家庭もあるでしょう。
設置準備中の学校もあります。
ほかの居場所を利用しつつ、学びの多様化学校を候補として温存しておくのもよいのではないでしょうか。

〈参考〉
誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について(COCOLOプラン)
文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」
文部科学省「学びの多様化学校の設置に向けて【手引き】」
サイボウズそでらぼ「不登校・行き渋りの子どもがいる親1,000名へのアンケート調査結果」

次回は「フリースクール」に注目します!

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