いっそ、ぜんぶ手離してしまおうか……不登校の俺と犬のハナ③

#不登校#行き渋り#犬#犬の散歩#高校生

不登校だった高校2年生の冬、古川寛太さんは悶々とした日々を過ごしていました。
そんなある日、いつものように柴犬ハナのリードを握る古川さんに、不穏な思いが去来します。雪の中で葛藤を続ける古川さんが、ハナとともにたどり着いた先は……
連載「前略、トンネルの底から」第24回・写真は古川寛太さん)

著者

古川寛太

当然、行きたくないのだが

リビングに降りると、母親から犬の散歩を頼まれた。

土曜の18時前。

このあと夕食を控えた時間帯である。

高校2年生の冬。
外は一面、雪景色。現在進行でしんしんと降り積もっている。

当然行きたくないのだが反論はできないので、仕方なく犬にリードをつけ、傘を持って外に出る。

ビビりな性格がゆえか、彼女は「傘」を異様に怖がる。
確かに、自分を覆うような黒い物体は、彼女の目には不気味に映るかもしれない。

対して、雪は好きなようだ。
家の中と同じく裸足で雪面を駆け回っている。冷たくはないのだろうか。

だいたいお決まりのコースを歩き、寒いしお腹もすいたし、もう帰ろうかと考えていると、土手についた。「こっちに行きたい」と彼女が俺を引っ張るので、渋々、土手をのぼって大きな橋のほうへついて行く。

俺はいつまでこうなんだ

思いのままに歩く犬を見ながら、俺はいつものように漠然とした不安に駆られていた。

引き延ばして引き延ばして高校2年の冬まで来たが、進級へは相変わらず崖っぷちのところにいる。

【連載】前略、トンネルの底から
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