正論で武装する父親に大学受験の件を報告(2)
#不登校#行き渋り
もともと父親の威厳や正論に対して自分の意見をぶつけられず、なにも発信できない状況だった古川さんに、「隣県の私立大学へ行きたい」という意思を伝える機会が訪れます。それは、父親が珍しくお酒を飲んできたある夜のことでした。
(連載「前略、トンネルの底から」第37回・写真は古川寛太さん)
父親は意思表示できないほど、人として高みにいるように見えた
父との関係が特に良くない。東京の有名大学を卒業し、以降地元に帰って30年近く教師を続けている父は、俺ではもち上げられない正論で思春期の息子を制圧した。「学校に行け。行きたくないなら諦めて次の進路を見つけろ」。そう言い続ける彼に、真っ当だとは思いつつ「それで解消される心情ではないのだ」とぶつけたかった。それでもうまく言葉にならない。話がかみ合っていないのは分かっていた。しかし発信できないのは、もう自分から意思表示できないほど父が人として高みにいるように見えたからである。
【連載】前略、トンネルの底から
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