
【通信制高校の選び方、間違えてない?】「続けられる学校」の見極めポイント【連載:不登校の進路相談室】
お子さんが不登校の回復期を迎えられ、通信制高校への進学を検討されている保護者の方、ご心境いかがでしょうか。
「新しい環境でうまくやっていけるだろうか」「また学校に行けなくなったらどうしよう」など、期待と不安が入り混じっているかもしれません。
通信制高校は、お子さんのペースで学習を進められる柔軟な学び方が魅力です。一方で、選び方を間違えると「やっぱり合わなかった」ということにもなりかねません。
そこで今回は、お子さんが「続けられる学校」を選ぶためのポイントを、具体的なノウハウと共にお伝えします。
【サポート団体を利用しましょう】
不登校のお子さんのことを、保護者だけで対応する必要はありません。不登校のサポート団体を適切に利用することで、お子さんも保護者さまも、「次の一歩」に進みやすくなります。サポート団体の探し方は、こちらの記事をご覧ください。
目次
1.お子さんの「やってみたい」を大切に
通信制高校選びで最も大切なのは、お子さんの「やってみたい」または「無理なく過ごせそう」という気持ちです。
「興味のあること、好きなことを学べる学校」または「興味のないこと、好きじゃないことを強制されない学校」を選ぶことで、学習意欲が湧き、自信にもつながります。
① 興味のある分野を明確にする
- お子さんとじっくり話し合い、興味のある分野(ない分野)を具体的に洗い出してみましょう。
- 学校のパンフレットやウェブサイトだけでなく、体験入学や個別相談会などを活用し、実際の雰囲気を感じてみましょう。
② お子さんに合うコースがあるか
- 通信制高校には、大学進学、専門学校進学、就職など、様々な進路に対応したコースがあります。
- お子さんの将来の希望に合わせて、必要なコースが用意されているか確認しましょう。
2.サポート体制の充実度を確認
不登校の経験があるお子さんにとって、学習面だけでなく、精神面のサポートも重要です。
① 個別相談やカウンセリングの有無
- 学習や進路、友人関係など、困ったときに相談できる体制があるか確認しましょう。
- カウンセラーやスクールカウンセラーがいるかどうかも確認できると良いでしょう。
② 学習サポートの内容
- 学習に遅れがある場合、取り戻せるよう、個別指導やオンライン教材など、様々な学習サポートがあるか確認しましょう。
- 質問しやすい環境であるかどうかや、ICT教材が充実しているかなども確認しておきましょう。
③ 卒業後の進路支援
- 大学・専門学校への進学や就職など、卒業後の進路について相談できる体制があるか確認しましょう。
- 進路指導の実績なども確認できると安心材料となるでしょう。
3.学校の雰囲気と通いやすさ
学校の雰囲気や通いやすさも、お子さんが安心して学校生活を送る上で大切な要素です。
① 学校説明会や体験入学に参加する
- 実際に学校を訪れ、先生や在校生の雰囲気を感じてみましょう。
- 学校のウェブサイトやパンフレットだけでは分からない、実際の雰囲気を感じることが大切です。
- 可能であれば、個別相談で学校の先生に直接質問してみましょう。
② 通学頻度と場所
- 登校日数やスクーリングの場所など、無理なく通える学校を選びましょう。
- オンライン授業の有無や、自宅からの距離、交通手段なども考慮しましょう。
③ 学費や奨学金制度
- 学費だけでなく、教材費やスクーリング費用など、諸費用も確認しましょう。
- 奨学金制度や学費サポート制度についても確認しておくと安心です。
4.在校生や卒業生の声を聞く
実際に通っている在校生や卒業生の声は、学校選びの貴重な情報源となります。
① 学校のウェブサイトやSNSで情報を集める
- 在校生や卒業生のインタビュー記事や動画などを参考にしましょう。
- 通信制高校の口コミサイトなども参考にしてみましょう。
② 学校説明会や個別相談会で質問する
- 在校生や卒業生に直接話を聞ける機会があれば、積極的に質問してみましょう。
- 不登校からの進学で不安だったことや、入学して良かったことなどを聞いてみましょう。
5.焦らず、じっくりと時間をかける
通信制高校選びは、お子さんの将来を左右する重要な選択です。焦らず、じっくりと時間をかけて、お子さんに合った学校を見つけましょう。
① 複数の学校を比較検討する
- 資料請求や学校説明会への参加などを通して、複数の学校を比較検討しましょう。
- それぞれの学校の特色や強みを比較し、お子さんに合った学校を選びましょう。
② お子さんの気持ちを尊重する
- 最終的な決定は、お子さんの気持ちを尊重し、親子で納得できる学校を選びましょう。
- 保護者の方が一方的に決めるのではなく、お子さんの意見をしっかりと聞き、話し合いを重ねることが大切です。
6.通信制高校の選択がうまくいかなかった事例
不登校オンライン(キズキ)が見聞きした、通信制高校の選択がうまくいかなかった事例(ストーリー・エピソード)を紹介します。
※個人の特定に紐づかないよう、複数の事例を統合・編集・再構成しています。
※これまでに同じような対応をしている親御さんを不安にさせるつもりはありません。その上で、「お子さんへの対応」は親だけ・家庭だけで対応しようとせず、不登校のサポート団体を利用することをお勧めします。
エピソード1.「オンライン中心の学校を選んだけれど……」
田中翔太さん(仮名)は中学2年生の頃から不登校になり、卒業後は通信制高校に進学することを決めました。
自宅学習がメインのオンライン授業がある学校を選び、「無理なく続けられるはず」と期待していました。
入学当初は、自分のペースで学べる環境に満足していました。
しかし、数か月が経つと、自宅での勉強が思うように進まなくなりました。学校側は「オンライン教材を活用して自主的に学ぶこと」を前提にしていたため、レポートの提出が滞るようになり、学習の遅れが積み重なってしまいました。
また、当初は「人間関係のストレスがないから安心」と思っていたものの、実際には「学校に所属している」という実感が持てず、孤独感が強まっていきました。
結果として、モチベーションが下がり、最終的には転校を考えることになりました。
「もう少し対面のサポートがある学校を選べばよかった」と、翔太さんはちょっと後悔しました。
その後は、サポートの手厚い通信制高校で楽しく過ごして無事に卒業。現在は大学に通っています。
メモ:オンライン中心の学校は「登校の負担が少ない」というメリットがある一方で、自己管理が苦手な場合は学習が滞るリスクがあります。また、学習面だけでなく「学校の一員である」という実感を持てる環境かどうかも大切です。
エピソード2.「毎日通える学校を選んだけれど……」