毒親とは?特徴、子どもへの影響、脱出方法などを解説
不登校に関連して、「毒親」という言葉を見聞きすることがあります。あなたも、次のようなことをお悩みなのではないでしょうか。
- 毒親という言葉を知ったけど、どういう意味なんだろう
- 自分の親が毒親かもしれない
- 毒親の特徴を知りたい
お子さんが不登校だと、「自分が毒親だからかも…」と自分を責める方もいらっしゃいます。
そこでこのコラムでは、毒親の概要、タイプ、特徴、毒親による子どもへの影響、毒親から脱出する方法、毒親になる原因、毒親をやめる方法について解説します。
親が読んでも、子どもが読んでも役に立つ内容だと思います。子育てや親子関係についてお悩みの方のお役に立てればとても嬉しいです。
※このコラムは、読者さま(の親)を「毒親だ」と決めつけるもの、「毒親かもしれない」と不安にさせるためのもの、親子の不和をあおるためのものでもありません。子育て、親子関係、不登校などの不安や悩みは、サポート団体や専門機関に相談してみてください。相談先の候補は、「お悩みのあるあなたのために、相談先一覧をまとめて紹介します」をご覧ください。(不登校オンラインと同じく株式会社キズキが運営する個別指導塾・キズキ共育塾のサイトが開きます)
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目次
1.毒親の定義
「毒親」という言葉は、南カリフォルニアを中心に医療系コンサルタントやセラピストとして活躍していたスーザン・フォワード氏による造語です。
学術的な言葉ではなく、明確な定義もありません。
フォワード氏は、著書『毒になる親 一生苦しむ子供 家族問題による職業生活への影響(Toxic Parents: Overcoming Their Hurtful Legacy and Reclaiming Your Life)』(講談社、2001年)で、「毒親」という言葉を次のように紹介しました。
(毒親とは、)子どもに対してネガティブな言動を継続的に行うことで、子どもの成長後の人生に悪影響を及ぼす親(のことである)
2.毒親の5つのタイプ
毒親は、子どもに対する言動などによって、いくつかのタイプに分けることができるとされています。この章では、日本子どもの虐待防止学会名誉会員の齋藤学氏の論文などに基づき、毒親のタイプを解説します。(参考:斉藤学「親子関係の解剖学ーその闇に迫る」(日立財団Webマガジン 「みらい」VOL.2))
タイプ①過干渉・過保護
子どもの行動をすべて把握したいために、過干渉・過保護になるタイプがあります。
例えば子どもが小さい場合、ケガをさせたくない、痛い思いをさせたくないなどの親心から、一つひとつの行動を注意深く観察し、なにかと口を出すことがあります。
「危ないからやめて」「ケガをしちゃうからやめようね」と言った、あるいは言われた経験があることと思います。
この程度であれば、過干渉とも過保護とも言えないでしょう。
過干渉・過保護タイプとは、次のように、子どもに過度に口を出したり、干渉したりする親のことです(例であり、全てではありません)。
- 子どもの人間関係を勝手に決める
- 子どもの友人関係を細部にわたって聞き出す
- 子どもの好きなものを否定する
- 子どもがしたいことや欲求をすべて満たす
- 成人になった後も「どこで誰と何をして、何時に帰ってくるのか」を、毎回親に言うよう強制する
タイプ②無視・放置
無視・放置タイプは、子どもをまるで存在していないかのように扱う親です。
子どもに目を向けなかったり、日常的な身の回りの世話を放棄したりします。
近年では、虐待・ネグレクトとして取り扱われます。
タイプ③支配的・管理
支配的・管理タイプは、子どもを自分のそばにいるよう強制し、行動を支配するタイプです。
「大切に育ててきたから」などの気持ちからか、自分でも気付かないうちに、子どものやりたいこと、やるべきことを支配します。
タイプ④虐待
虐待タイプは、子どもを暴力で支配します。
例えば、殴ったり残酷な言葉で傷つけたり、ベランダなどの屋外に追い出したりなどです。
子どもに何らかの指示をしたり行動を促したりする際に、諭すような言葉ではなく暴力や暴言を用いる親は、このタイプに該当するでしょう。
血のつながりの有無にかかわらず、親という立場で子どもに性的行為を繰り返す親も、このタイプの毒親と言えるかもしれません。斉藤学氏の論文では「ケダモノ」と強い言葉で表現されています。
タイプ⑤罪悪感
食事の用意などの子どもに不可欠なことを行ったり、ものを買い与えたりしたときなどに、「してやってる」「買ってやってる」などの言葉で、罪悪感を植えつけるタイプです。
不要な罪悪感を植えつけることで、子どもを支配し、管理しようとします。
3.毒親の11個の特徴
毒親にはいくつかの特徴があります。この章では、毒親にみられる特徴について解説します(前章と重複する部分や、同じようなことを違う表現で伝えている部分もあります)。
特徴①精神的に不安定・自立できていない
精神的に不安定であったり自立できていなかったりすることは、毒親の特徴の一つとされています。
精神的に成熟した親であれば、「子どもは、ある程度の年齢になれば自立する」ということを理解しています。それを望み、支えることもあるでしょう。
しかし「精神的に不安定な親」「自立できていない親」は、子どもが自立することを理解していなかったり、認められなかったりなどの心情が働くそうです。
その結果、子どもを自分の支配下に置き、束縛すると言われています。
特徴②自らの親が毒親だった
自らの親(子どもから見た祖父母)も毒親だったというケースも、毒親の特徴として挙げられるようです。
この場合、親が幼い頃に食事を与えられないことが日常的だった、暴力・暴言で支配されていたなどの経験が、自身が親になったときの育児に影響していると考えられています。
特徴③相談できる人がいない
自分のこと(育児に関する悩みや夫婦間の悩みなど)を相談できる人が周りにいないことも、毒親の特徴とされています。
相談できる人がいないために、自分の考えが歪んでいることに気づけず、自身の「毒になる言動や子どもへの接し方」を普通と考えるようです。
また、「友だちがおらず、有り余った時間を子どものために使うしかない」といった環境も、毒親に至りやすいそうです。
特徴④子どもの意見を聞かない
子どもの意見に耳を傾けないという特徴も、毒親に該当するようです。
一般論として、子どもの意見に耳を傾けることは大切です。
仮にそれが「よくない内容」だったとしても、まずはきちんと受け止め、なぜよくないのかを伝えたり話し合ったりすることが大切でしょう。
しかし、毒親は、子どもの意見がどのような内容であれ、「いいから私の言うとおりにしなさい」など、自分の思い通りに子どもを動かそうとするのです。
特徴⑤子どもに暴力を振るう
暴力も、毒親の特徴の一つです。
「子どもが何かしたことを理由に暴力を振るう」ということもあるでしょうが、それだけとも限りません。
「子どもとはまったく関係ないことの八つ当たり」もあるでしょう。
特徴⑥食事を与えない・作らない
食事を与えない・作らないといった行動も、毒親に見られる特徴です。
全く作らないわけではなくても、満足とはほど遠い少量の食事を与える、子どもに言われて仕方なく作るという場合も同様です。
特徴⑦子どもを病院に連れて行かない
具合が悪かったり怪我をしていたりする子どもを病院に連れて行こうとしないことも、毒親の特徴とされています。
単に無視・放置している場合や、日常的な虐待によるあざやケガが医療機関などに発覚することを恐れる場合などがあるようです。
特徴⑧不衛生な状況を気にしない
不衛生な状況を気にしないことも、毒親の特徴とされています。
例えば、子どもの衣類(乳幼児の場合はおむつなど)が汚れていても、取り替えたり着替えさせたりしないなどです。
この特徴のある親は、無視・放置タイプや虐待タイプに含まれると考えられます。
特徴⑨子どもに暴言を吐く
子どもを暴言で傷つけることも、毒親の特徴とされています。
言わなくてもいい言葉であえて子どもを傷つけ、恐怖心で子どもを押さえつけます。
この特徴のある親は、虐待タイプや罪悪感タイプに含まれると考えられます。
特徴⑩子どもに精神的なつながりを求める・強いる
子どもに精神的なつながりを求める・強いることも、毒親の特徴とされています。
子どもの存在が親にとって(歪んだ形の)生きがいとなっていることが影響していると考えられています。
この特徴のある親は、過保護・過干渉タイプや支配的・管理タイプに含まれると考えられます。
特徴⑪アルコール依存症である
アルコール依存症も、毒親の特徴と考えられています。
スーザン・フォワード氏は、アルコール依存症の親について、以下のような例えを用いています。
アルコール中毒者のいる家庭では、「事実の否定」(一章を参照)が家族全員の心の巨大な部分を占めている。家にアルコール中毒の人間がいるというのは、比喩的に言うならば、リビングルームに恐竜が居座っているようなものだ。
出典:スーザン・フォワード『毒になる親 完全版』(毎日新聞出版社、2021年)
お酒を飲んでいないときには「普通」である親が、お酒を口にすると態度が急変し、誰も手に負えない、まるで恐竜のような存在がリビングにいるようなものだとしています。
4.毒親の言動が及ぼす子どもへの6つの影響
この章では、毒親の言動が及ぼす子どもへの影響について解説します。毒親は、さまざまな行動で子どもを支配します。子どもへの影響も、またさまざまです。
影響①生きづらさを感じる
幼少期の毒親との関係性のために、生きづらさを感じる人がいます。(参考:金森歴枝・蛭田秀一「家族問題による職業生活への影響―俗にいう「毒になる親」と生き辛さ」(名古屋大学『総合保健体育科学』45号、2022年)―)
この理由については、名古屋大学の金森歴枝氏と蛭田秀一氏は、次のように述べています。
「幼少期という愛着形成を取るべき時期に親に不適切な育て方をされた」と思う人ほど、親に対する絶望は大きく、当時の記憶が固定観念として残り続け、無意識のうちに幸せを感じにくくなっている。
毒親という言葉・概念を知ったことで、「生きづらさを感じているのは、自分の親が毒親だったからだ」と気づく人も多いそうです。
影響②自己肯定感を持てない・自己肯定感が低い
毒親の言動による影響で、自己肯定感を持てない・自己肯定感が低い子どもになることもあります。
親による「子どもを褒める」「行動を肯定する」などの機会が不十分だと、成長期に必要とされる愛着形成が難しいためです。
スーザン・フォワード氏は、以下のように指摘しています。
(中略)人から言われた「お前は○○だ」という言葉が、自分の内部で「私は○○だ」という自分の言葉に変換されるのである。これは子供においては特に顕著で、親のけなしやののしりの言葉は心の奥に埋め込まれ、それが自分の言葉となって、低い自己評価や人間としての自信のなさのもとを形作ってしまう。
出典:スーザン・フォワード『毒になる親 完全版l』
影響③社会(職場)での人間関係に悩む
子どもが大人になって社会に出る(就職する)年齢になっても、毒親の影響が現れることがあります。
金森歴枝氏と蛭田秀一氏が実施したアンケートによると、毒母、毒家族、毒母かつ毒家族のいずれかで悩み生きていた人は、いずれにも該当しない人に比べ、仕事全般及び自己に関することで生きづらさを感じていたり、一般的な社会常識が不足していると感じていたりするそうです。(参考:金森歴枝・蛭田秀一「家族問題による職業生活への影響―俗にいう「毒になる親」と生き辛さ―」)
影響④精神疾患につながる可能性がある
毒親の影響で、精神疾患を発症する可能性があります。
幼少期からの親との不適切な関わりがトラウマとなり、パニック障害や不安障害などを発症したりすることがあるのです。
影響⑤自身の子育てでも、類似した環境を招く
毒親の影響は、毒親に育てられた子どもが自身の子どもを産み育てるときに出ることもあるようです。
スーザン・フォワード氏は、以下のように指摘しています。
私たちは親が自分を育てたやり方を見て気づかない間に学び、自分に子供ができた時には無意識のうちにその多くを模倣してしまう。
(中略)「毒になる親」に育てられた子供は、大人になってからどのような問題を抱えることになるだろうか? 子供の時に体罰を加えられていたにせよ、いつも気持ちを踏みにじられ、干渉され、コントロールされてばかりいたにせよ、粗末に扱われていつもひとりぼっちにされていたにせよ、性的な行為をされていたにせよ、残酷な言葉で傷つけられていたにせよ、過保護にされていたにせよ、後ろめたい気持ちにさせられてばかりいたにせよ、いずれもほとんどの場合、その子供は成長してから驚くほど似たような症状を示す。
出典:スーザン・フォワード『毒になる親 完全版l』
「自分の親」が無意識に子育ての手本となって、親の育て方を模倣するとしています。
影響⑥人間関係に不信感が生まれる
毒親から強烈な言葉・暴力で支配されたり、きちんと食事を与えられなかったりするなどの経験をした人は、人間関係に不信感が生まれることもあるようです。
愛着形成が不十分であったために、コミュニケーションの取り方がわからず、人間関係をうまく築けなかったり、人を信用することに難しさを感じたりするようです。
⑦その他の影響
他にも、「生きることに罪悪感を抱くことがある」「何かに依存する」などの影響がある場合もあります。
5.子どもが毒親から脱出するための7つの方法
この章では、子どもに向けて、毒親から脱出する方法について解説します。(参考:守帰朋子『毒親対応「罪悪感」を減らす5つの習慣:ほどよい距離でシンプルライフ』(2022年))
方法①専門家・第三者に相談する
毒親との関係を、自分一人でなんとかする必要はありません。
ぜひ、専門的な知識のある人たちに相談してみてください。
Webページ「お悩みのあるあなたのために、相談先一覧をまとめて紹介します」にて、相談先の例を掲載しています(リンク先は、不登校オンラインと同じく、株式会社キズキが運営する個別指導塾・キズキ共育塾のウェブサイトです)。
上記ページに紹介している以外の相談先もたくさんあります。
この後に紹介する方法も、専門家の力を借りることで、より具体的・効果的になっていきます。
方法②心理的距離と物理的距離を取る
毒親と、心理的距離と物理的距離を取るよう心がけてみましょう。
例えば、遠くに住む、なにか頼み事をされてもできるだけ断るなどです。
方法③「NO」を言える人になる
「NO」を言える人になることも、毒親から脱出するひとつの方法です。
「NO」と言えないのは、心優しい人、波風立てたくない人、頼まれたら断れない人。「人に迷惑かけるのは悪いこと」と思い、「自分ですること」を選ぶ。上手に甘える人を見ると「要領がいい、許せない」と思ってしまうこともある。いつも、「YES」では、「NO」と言いたいときに言いにくいもの。「NO」と言えたとしても、無視されたり、怒られたりすることもありますが、言うべき時に「NO」と言えないと「都合のいい娘」になってしまいます。
出典:守帰朋子『毒親対応「罪悪感」を減らす5つの習慣: ほどよい距離でシンプルライフ』
毒親からの接触を、強い気持ちで断ることが必要です。
方法④新しい自分を構築する
「毒親の影響下で生きる自分」ではなく、「新しい自分」を構築し、自分らしい人生をスタートさせましょう。
多くの相談で共通するのは、「やりすぎ」。 母の「やりすぎ」は「過干渉」「過保護」「依存しすぎ」「感情的すぎ」「支配しすぎ」。
娘の「やりすぎ」は、「優しすぎ」「サービスしすぎ」「責任感が強すぎ」「罪悪感を持ちすぎ」。
自分では気づきにくいものですが、あなたには「やりすぎ」傾向があります。
(中略)だから「やらずに後悔するよりも、やって後悔したほうがいい」はNG。どんどん自分を追い込むことになり、キケン。
(中略)新しい自分になるためには、「やりすぎをやめる」「罪悪感を減らす」がポイント。出典:守帰朋子『毒親対応「罪悪感」を減らす5つの習慣: ほどよい距離でシンプルライフ』
距離を取ったり連絡をしないことに罪悪感があるのであれば、罪悪感を減らすための方法を(専門家・第三者にも相談しつつ)考えましょう。
方法⑤「やらないことリスト」を設定する
これまで毒親の支配下にいたとしても、あなたの人生はあなたのものです。人生は、自分の意思で進むことができます。
毒親から脱出するために、自分の中に、毒親に対する「やらないことリスト」を作成し、少しずつ行動してみましょう。
方法⑥親以外との関係性を強化する
毒親の一部は、過保護または過干渉です。
そうした関係が幼少期から続けば、その状況を自分も「当たり前のもの」として認識し、毒親と共依存の関係にある可能性があります。
親以外との関係性を強化することで、互いの依存を断ち切る努力を始めてみましょう。
方法⑦法的措置をとる
親子の縁を切りたい。
親から大きな損害を受けている。
親による危険な行動が懸念される。
そんなときは、法的措置を取る方法もあります。
具体例の一つに、親に対しての接近禁止仮処分命令という処分があります。
接近禁止仮処分命令を得るには、損害や危険が自分に差し迫っていることを証明できる証拠が必要かつ、裁判所に保護命令を申し立てる必要があります。(参考:裁判所「保護命令の種類」、裁判所「保護命令の申し立てを希望される方へ」)
カウンセリングを受けたり、警察へ相談したりするといった行動は、いずれも証拠になります。
接近禁止仮処分命令以外にも、法的な対応については、弁護士などの専門家に相談しましょう。
毒親になる原因
人が毒親になる原因は、何か一つに断言できるものではありません。成育環境や人生経験など、あらゆる要因が関係するようです。
原因の一つに、「自分自身も、毒親に育てられた」があります。
スーザン・フォワード氏は、子育ての方法は自分の親を真似ると言います。(参考:スーザン・フォワード『毒になる親 完全版』)
つまり、親が幼い頃に受けていた「親の親」の言動・暴力などが、今度は自分の子育てに深く関与してくるのです。
8.毒親をやめる7つの方法
この章では、「自分は毒親かもしれない」と思う方、または「子どもや周囲から毒親と言われた」という方に向けて、毒親をやめる方法について解説します。
方法①専門家に相談する
実際にあなたが毒親なのかどうかとは別に、親子関係のことを、自分だけ、親子だけで抱え込む必要はありません。
まずは自分の子育ての方法や価値観などについて、専門家に相談してみましょう。
ただ、毒親という言葉には明確な定義がないので、「自分が毒親かどうか知りたい」と相談しても、「毒親である/ない」という断言は得られないかもしれません。
しかし、「子どもとの関わり方」「子育てについての考え方」などについて相談することで、自分のするべきことが見えてくるはずです。
相談先の例は、「お悩みのあるあなたのために、相談先一覧をまとめて紹介します」をご覧ください。(不登校オンラインと同じく株式会社キズキが運営する個別指導塾・キズキ共育塾のサイトが開きます)
子育てや「毒親」に詳しいカウンセラー(臨床心理士・公認心理師など)と定期的に話をするのもいいでしょう。
この後で紹介する方法についても、専門家に相談することで、「実際のあなたのための、具体的な方法」がわかっていくと思います。
方法②毒親に関する知識を深める
毒親に関する知識を深めましょう。
本コラムでも紹介した書籍をはじめ、Web上でも多くの記事が公開されていますので、時間があるときに、目を通してみましょう。
- スーザン・フォワード『毒になる親 完全版』(毎日新聞出版社、2021年)
- 守帰朋子『毒親対応「罪悪感」を減らす5つの習慣:ほどよい距離でシンプルライフ』(2022年)
- 中野信子『毒親: 毒親育ちのあなたと毒親になりたくないあなたへ』(ポプラ社、2020年)
方法③自分の親を振り返り、「そうはならない」と決意する
ここから先は、実際にあなたが毒親である場合の対応です。
自分の幼少期や親の育て方を振り返ってみましょう。
毒親の一部は、自身も毒親に育てられたことによって、当時経験した物事を育児の見本として記憶し、無意識のうちに同じように行動にしている場合があるようです。
自身の親が「毒になる言動」をしていて、あなたも似たような子育てをしていたのであれば、「もう、同じようなことはしない」「そうはならない」と決意し、行動を改めましょう。
方法④子どもに心を開く
毒親は、子どもに自分の心を開いていない可能性があります。
親も子どもも、お互いの立場はありつつ、お互いに一人の人間です。
一人の人間として、子どもに心を開いてみましょう。
そうすることで、子どももまた一人の人間として心を開き、これまでとは違った人間関係を構築できるかもしれません。
方法⑤子どもに謝れる人間になるよう努める
子どもに対してきちんと謝罪できる人間になりましょう。
子どもはあなたの子どもである前に、一人の人間です。
そして、これまであなたに悩みを伝えることなく、一人であなたとの関係性に悩み、傷付いてきました。
この点について、きちんと子どもに謝れる人間になるよう努めましょう。
方法⑥自分について振り返る・冷静に考える時間を設ける
あなたはわが子を育てる中で、かわいい、愛おしい、大切に育てていきたいなど、あらゆる感情を抱いていたはずです。
わが子が誕生した瞬間や新生児だったころ、反抗期で言い合いをしたことなどを振り返り、どこで自分が「今のように考え、行動するようになったのか」を思い出しましょう。
そのきっかけや時期などが分かれば、これからあなたがもう一度変わるために役立つかもしれません。
方法⑦自分の親や周囲の人に相談する
周囲の人に、子どもとの関わり方や考え方について相談してみましょう。
自分と子どもを知る人だと相談しにくい、といった思いもあるかと思います。
しかし、自分の悪い部分を受け止めるためには、自分たちをよく知っている人に相談し、現状を受け止めることも必要です。
ただし、「何でもかんでも周りの人に相談するべき」とも言いません。あなたの周囲に適切な相談相手がいない可能性もあります。
「誰に何を相談するべきか」については、最初に紹介した「専門家」に聞いてみるのがいいかもしれません。
9.自分の親は?自分は?毒親チェックリスト
この章では、自分の親、あるいは自分が毒親であるかがチェックできるよう、資料に基づきチェックリストを用意しました。
あなたの親が、あるいはあなた自身が、親または子どもと今までとは違う、よりよい関係性が築けるきっかけになれば幸いです。
- 自分あるいは子どものやることに強い意見を出す
- 強い意見とともに自分あるいは親が我を押しつける
- 自分あるいは子どもの行動が気になって仕方ない、あるいはまったく気にならない
- 自分あるいは子どもの言動が思い通りにいかないと暴言や暴力が出る
- 自分あるいは子どもに興味が湧かない
- 自分あるいは子どもをほったらかしにしている
- 自分あるいは子どもを性的対象としてみている
- 自分あるいは子どもに対し性的行動が出たことがある
- 悪魔払いなどと称して痛いことや性的行動に出たことがある
- 経済的、精神的に辛いことがあると自分あるいは子どもに当たる
(参考:毎日新聞「昭和世代は要注意? まじめな人が陥る毒親・毒親後遺症の罠」、斉藤学『毒親とこどもたち』(日立財団Webマガジン「みらい」VOL.2))
なお、これらの項目は一般論に過ぎないため、あくまで参考としてお考えください。
該当する項目があってもなくても、「自分は(自分の親は)毒親かも」と思うときは、専門家に相談するようにしましょう。
10.まとめに変えて~専門機関へ相談しましょう~
「毒親」に関する諸々は、自分だけ、親子だけで解決することは非常に難しい問題です。
不登校(学校に行かないこと・行けないこと)についても、親子関係・家族関係のことについても、不安やお悩みは、迷わず専門機関へ相談することをオススメします。
このコラムが、あなたの悩みを解決する糸口の一つになれれば幸いです。