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不登校になったわが子に「なぜ?」と聞くのは厳禁 まず親がすべきことは【全文公開】

#不登校#行き渋り

 子どもが不登校をしたとき、まわりの大人がついやってしまう「不登校の原因探し」。じつはこれ、不登校の子どもたちをよりしんどい気持ちにさせてしまう場合があることをご存じでしょうか。「不登校の原因探し」をする前にすべきことは何か、不登校経験者と専門家の語りから考えます。

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 長期休み明けの今、新たに不登校になる子どもがいます。そんなとき、まわりにいる大人がついやってしまうことがあります。「不登校の原因探し」です。親からすれば、わが子が何に困っているのかを知りたいでしょうし、それが解消できるものならば払拭したいと考えることも当然です。ただし、ここに1つの「落し穴」があります。不登校の原因は複数重なっている場合もあれば、これといった原因が不登校中にわからない(または後々にわかる)場合もあります。また、原因を探す行為自体、「今のままではダメだ」という負のメッセージを子どもに送ることになってしまう場合もあります。何より、原因を取りのぞけば、再び学校へ行けるようになるともかぎりません。したがって、親や先生がよかれと思って「不登校の原因探し」をすること自体、子どもを傷つける可能性があることに注意が必要です。では、「不登校の原因探し」ではなく、何をすればよいのか。不登校経験者と専門家の語りから考えます。

つらさの共感
救いになった

 中学1年生で不登校になったAさん。きっかけは、いじめでした。ある日、自分の机にチョークの粉がまかれていたことを機に、学校へ行かなくなりました。当時の周囲の対応についてAさんは「担任が頻繁にいじめについて聞いてくることがつらかった。それって結局、原因探しですから」と言います。

 では、Aさんが望む対応はどのようなものだったのか。じつは、Aさんの隣の席の生徒が取った行動がそれでした。その生徒はAさんの机を見て「誰だ、こんなことをしたのは」と、すごい剣幕で怒ったのです。その瞬間、「私の気持ちに共感してくれる人がいる」と感じ、気持ちが楽になったと言います。つまり、Aさんにとっては「何があったのかという原因探し」ではなく、「今つらいんだという気持ちに共感してくれたこと」が救いになったということです。
原因の究明を望んでいない

 東京都三鷹市で25年間、不登校の子どもを支援している「フリースペースコスモ」のスタッフ・佐藤真一郎さんは「子どもは親に不登校の原因を究明してほしいと思っているわけではない。自分が一番安心できる存在である親に『自分の思いを聞いてほしい、受けとめてほしい』と思っていることが多い」と言います。そして、親の対応として第一に考えるべきは「子どもの気持ちを聞いて、その気持ちに寄り添うこと」と指摘します。具体的には「楽しい、苦しい、悲しい、気持ち悪い。いろいろな気持ちがあるけれど、今どういう気持ちだろう?」というように聞くことで、親が自分の気持ちを受けとめようとしていることが子どもに伝わり、安堵すると言います。

 「学校へ行きたくない」という子どもの訴えを、そのまま受けとめるのは、親にとっては非常に難しいことです。しかし、佐藤さんが指摘するように、自身の気持ちを一番理解してほしい親だからこそ、子どもは本音を伝えているとも言えます。その際に必要なことは「不登校の原因探し」ではなく、ましてや不登校の善悪をジャッジしたり、先々を見越したアドバイスなどでもなく、時に言葉にならないかもしれない子どもの今の気持ちを受けとめること。これこそが、子どもの未来にとって、大事なスタート地点になります。(編集局・小熊広宣)

(初出:不登校新聞585号(2022年9月1日発行)。掲載内容は初出当時のものであり、法律・制度・データなどは最新ではない場合があります)

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