
【不登校回復期】「ちょっと外に出たい」気持ちを親がつぶさないために【不登校の知恵袋】
「不登校で、外出もほぼしていなかったお子さん」が「ちょっとコンビニに行ってこようかな」とつぶやいた。あるいは、「散歩してくる」と自分から玄関に向かって行った―。
それは、不登校からの回復過程にある子どもが見せる、とても大切な兆しです。
しかしその瞬間、親として心がざわついたことはありませんか?
「このまま登校再開に向かってくれるのでは?」
「失敗して、また家にこもるようになったらどうしよう」
など、希望と不安が入り混じるかもしれません。
この記事では、不登校回復期のお子さんの「外に出たい」という気持ちを尊重し、温かく見守るための具体的なノウハウをお伝えします。
親御さんの不安に寄り添いながら、お子さんのペースに合わせたサポートのあり方を一緒に考えていきましょう。
登校再開を急がせることなく、お子さんの「自主性」や「心のエネルギー」を大切に育てていくためのヒントをまとめています。
【不登校回復期とは】
不登校は、前兆期→進行期→混乱期→回復期という経過を辿ることがよくあります。回復期とは、「不登校状態ではあるものの、心理的状態が改善され、心的エネルギーが溜まりだし、一人での外出が自由になってくる期間」のことです。この記事は、主にこの時期のお子さんがいる保護者さんのための内容です。もちろん、それ以外の時期の方にもお役立ていただけます。不登校回復期の記事一覧はこちら
【サポート団体を利用しましょう】
不登校のお子さんのことを、保護者だけで対応する必要はありません。不登校のサポート団体を適切に利用することで、お子さんも保護者さまも、「次の一歩」に進みやすくなります。サポート団体の探し方は、こちらの記事をご覧ください。
目次
1.「外に出たい」は心が動き始めたサイン
不登校回復期における「ちょっと外に出たい」という気持ちは、心のエネルギーが満ちてきている証拠です。
長い間、家の中で過ごしていたお子さんにとって、外に出ることは簡単なことではありません。刺激が強く、恐怖心や不安も伴います。
親ができることは、まずはその一歩を、心から喜び、受け入れること。
たとえその行動がたった数分、家の前に立つだけであったとしても、否定せず、価値のあることとして受け止めましょう。
「ちょっと外に出たい」と思うお子さんは、直接的にそう口に出す以外にも、以下のような行動や変化が見られることがあります。
- 具体的な外出の提案:
「近くのコンビニまで行ってみようかな」「〇〇公園に行きたい」など、具体的な場所や目的を伴った外出を口にする。 - 外出への関心:
以前は無関心だった地域の情報誌やイベントのチラシなどを手に取る、外出している人を見て何かを言う。 - 身だしなみを気にする:
以前は気にしなかった服装や髪型を整え始める。 - 持ち物の準備:
財布やスマートフォンなど、外出に必要なものを意識して準備する。 - 家の中での活動の変化:
以前はほとんど動かなかったお子さんが、家のすぐ周りを散歩したり、庭に出たりするようになる。 - 表情の変化:
以前に比べて明るさが見られる、笑顔が増えるなど、全体的にポジティブな感情表現が増える。
2.「外に出たい」気持ちを尊重するために親ができること
この章では、「外に出たい」と思うお子さんの気持ちをくじくことなく、親としてどのように応じていくのが望ましいのか、具体的な支援のあり方を探ります。
(1) 焦らず、見守る姿勢
一番大切なことは、親御さんが焦らないことです。
「せっかく外に出るなら、いろんなところに…」
「これを機に、学校にも…」
そのような期待や焦りは、お子さんにプレッシャーを与えます。
たとえば、無意識に「じゃあ明日は学校のことも少し考えてみようか」などと声をかけると、子どもは、次のように思うことがあります。
「親に期待されてしまった」
「もっと期待に応えなきゃ」
「これから先も頑張らないと」
「また頑張らなきゃいけないんだ」
お子さんのペースを尊重し、「そうなんだね」「行ってみようか」くらいで、その気持ちを受け止めることが大切です。
「今の気持ちに共感してくれている」と感じることが、次の一歩への安心感に繋がります。
結果を急ぐのではなく、お子さんが自分のペースで外の世界と再び繋がっていく過程を、温かく見守りましょう。
(2) 行き先や時間、目的を尊重する