中学不登校で内申点が低くても進学できる公立高校!愛知県の「フレキシブルハイスクール」を徹底解説
2025年、愛知県が新たに設置した「フレキシブルハイスクール」は、生徒たちの多様な学びのニーズに応えることを目的とした新しい公立高校の枠組みです。
現在、愛知県内に4校を構えるフレキシブルハイスクールは、不登校や中途退学の経験者が安心して学べる場として注目されています。
この記事では、フレキシブルハイスクールの詳細をお伝えします。
子どもたちの多様なニーズに寄り添うために
愛知県の教育アップデートプラン
2023年1月、愛知県教育委員会は、不登校や中途退学の経験者、外国にルーツをもつ生徒など、多様な学習ニーズのある生徒に寄り添うための学校教育のあり方を示した「愛知県定時制・通信制教育アップデートプラン」(※)を発表しました。
このアップデートプランに基づき導入された制度のひとつが、フレキシブルハイスクールです。
フレキシブルハイスクールは、1つの学校の中に 全日制・通信制・定時制の3課程が併設された公立高校です。
フレキシブルハイスクールの入試は既存の公立高校の制度を基盤としています。その上で、学力試験の有無、面接や作文の評価比重、内申点の評価方法などが、学校や課程によって異なります。
学力試験や内申点の評価割合を調整して、中学の内申点や出席日数に不安を感じている生徒も入試に挑戦しやすい仕組みを整えているフレキシブルハイスクールもあります。
(※)愛知県定時制・通信制教育アップデートプラン
https://www.pref.aichi.jp/press-release/update-sakutei.html
転校・転籍の柔軟さも特徴
フレキシブルスクールでは、在籍中に同じ学校の他の課程へ移ったり、別のフレキシブルハイスクールに転校したりすることも可能です。
転籍時の条件は各校によって異なりますが、相談は随時受け付けています。

“学びたい意欲”に応える、柔軟な履修システム
元は一般的な「学年制」の全日制高校だった学校を再編し、全課程「単位制」に移行したフレキシブルハイスクールは、自分のペースで学び、74単位を取得すれば卒業可能です。
フレキシブルスクール立ち上げに携わった愛知県まなび推進課の担当者は、「体調や生活状況などが異なる多様な生徒が集うことを想定し、各自が柔軟に学びを設計できるようにするための制度改革」と語ります。
また、課程をまたいで授業を選択することもできます。
たとえば、定時制に在学している生徒が通信制の授業を受けるなど、「学びたい意欲」に合わせた柔軟な履修ができるのです。
通信課程のスクーリングは「平日」対応
従来の愛知県内の公立通信制高校では、スクーリング(対面授業)は主に日曜日に実施されてきました。
一方、フレキシブルハイスクールでは「平日」に設定されています。
担当者によると、これは通信制に在籍する生徒が、平日に行われる全日制や昼間定時制の授業も組み合わせて選びやすくするための工夫だといいます。
どんな人に、どの課程が合っている?
◆ 全日制
✓学力をきちんと身につけたい
✓学校生活を楽しんで送りたい
✓ 進路の選択肢をできるだけ広げたい
大学進学に対応した補習もあり、進路の幅を最も広げやすい課程であるといえます。また、学校行事や部活動などの取り組みも楽しみたい人にオススメの課程です。
◆ 定時制
✓ 毎日登校することは可能だが、朝から通うのは難しいと感じている
✓自分のペースでゆっくり勉強したい
✓行事やクラスメイトとの交流なども楽しみにしている
全日制の3限目から登校し、1日4時間授業を受けるのが昼間定時制のリズムです。
全日制の生徒と一緒に活動する機会もあり、無理のない生活リズムと学校生活を楽しみたいという希望をバランスよく叶えられる課程です。
◆ 通信制
✓不登校経験があり、学校生活に不安がある
✓スポーツや芸術など課外活動に打ち込みながら高校に通いたい
✓学校での学びより、自主学習や自宅での勉強の方が集中できる
基本はレポート課題と隔週のスクーリングによって単位を取得するのが通信制の課程です。自分のペースを大切に学習を進めたいお子さんに合った課程といえます。
フレキシブルハイスクール設置校一覧(2025年11月現在)
愛知県立佐屋高等学校
愛知県立武豊高等学校
愛知県立豊野高等学校
愛知県立御津あおば高等学校
学びたい気持ちを、環境要因であきらめない時代に

「学びたい」という気持ちが子どもたちにあっても、それを叶えられる環境がなければその力を伸ばすことができません。
不登校や言葉の壁、体調の問題など、子どもたちが抱える困難はさまざまです。
担当者は、「だからこそ、画一的なやり方にこだわらず、生徒それぞれの特性やニーズに対応した多様性のある学校を目指した。」と話します。
多様な背景を持つ生徒一人ひとりが自分に合った学びの場を見つけられるように――
そんな思いを込めて立ち上げられたのが、「フレキシブル(柔軟な)」という名を冠したフレキシブルハイスクールです。



