作家・燃え殻さんインタビュー|生きづらさと向き合う②嫌なことをガン見すると、生きやすさが見えてくる

#不登校#行き渋り#燃え殻

日常に現れる生きづらさや孤独、不安、そしてその中に差し込む小さな「光」。

そうした揺れを描き続ける作家・エッセイストの燃え殻さん。

不登校オンラインでは、燃え殻さんに「生きづらさ」をテーマにインタビューしました。全6回の連載でお届けします。

第2回のテーマは「嫌なことへの向き合い方」。 「嫌なことをガン見していると、自分なりの生きやすさが分かる」と語る燃え殻さんに、ご自身の体験や、不安との付き合い方を伺いました。

 

燃え殻

円形脱毛症を見ると、すぐに「あの頃」に戻れる

― 燃え殻さんには、子どものときから大人になった現在でも変わらない「生きづらさ」はありますでしょうか。

燃え殻(敬称略。以下同様):僕は、人と会話するのが苦手です。このインタビューは「仕事だ」と思って話しています(笑)。

後は、人の視線がちょっと怖いですね。これは、幼稚園の終わりくらいに円形脱毛症になっていじめられたことが関係します。【編注:そのご経験については、第3回でご紹介します】。

襟足の髪は抜けたままで、今でも生えてきません。皮膚科の先生からも「多分もうこれ、毛根が死んじゃってて生えないね」と言われています。

なので今でも「髪の毛抜けてて、バレたらやべえな」「写真撮られたらイヤだな」と思うんです。

でも、これも悪いことばかりではありません。著作がベストセラーと言われるようになって、書いた小説がネットフリックスで映画(※)になって、ちょっとチヤホヤされたりしても、円形脱毛症を見ることで「自分は『いじめられていたあの頃』と何も変わっていない」といつでも思うことができます。

「あの頃」は全くいい思い出ではありません。でも、「あの頃」を常に思い出すことによって、自分の水商売みたいな仕事や生活に杭を打ち、戒めを残し、あまり流されないようにしようと思っています。

不登校の人でも、心身の傷があると思います。そのカサブタをどうするか…僕は薄らげるというよりも抱き抱えて生きようと思います。「その方が、今の自分の仕事にとってよかったと思えるはずだと『考えるようにした』」からです。

※『ボクたちはみんな大人になれなかった』。2021年に映画化。出演は森山未來さん、伊藤沙莉さん、東出昌大さんなど

嫌なことは蓋をせずにガン見する必要がある

― 子どものときと比べて大人になるにつれて変化してきた、「生きづらさ」への向き合い方や対処法はありますか?

燃え殻: 僕は、嫌なことはとにかくやらないようにしてきました。「今、自分ができること」をしてきました。ただ、そんな生き方をしていても、嫌なことはあります。

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