「生きていてくれるだけで十分!」親がそう思えるようになるには?
新潟県三条市で6年前から「フリースクールヒュッゲ」を運営している関口健志さん。ご自身の兄弟が不登校やひきこもりを経験したことから、当事者家族としての思いを胸に活動を始めたといいます。2年前のインタビュー「どうしたら家が居場所になるか 居場所代表が提案する2つのポイント」に引き続き、今回は、「ヒュッゲ」で大切にしていることをうかがうと同時に、不登校のお子さんのいる親御さんのお悩みについてのアドバイスもいただきました。(聞き手/編集・棚澤明子)
25年以上家庭教師、個別指導塾の講師をしながら、「ひきこもり支援相談士」の資格を取得。
2019年1月にフリースクールヒュッゲを開校し、不登校などで学校、家庭以外の居場所を必要としている人たちへの居場所提供、相談支援を行うほか、イベントや講演会などで不登校、フリースクールなどの認知活動を進めています。
――現在、「フリースクールヒュッゲ」では、小学生から高校生までの10人ほどが思い思いの時間をすごしているとうかがいました。運営する上で、関口さんが大切にされていることを教えてください。
「フリースクールヒュッゲ」では、あえてカリキュラムを設けていません。子どもって、大人が「こうしよう」と思っても、予定通りにいかないものでしょう? 無理強いされるのもイヤでしょうし、カリキュラムに子どもを合わせることに意味なんてありませんよね。しかも、子どものペースでやっていくほうが物事がうまく進む、というのもよくあることです。
学校は、あれもこれも「ダメ、ダメ」となりがちです。そんな世界から解放されて、「自由にしていいよ」と言われたら、子どもたちはうれしいと思うんです。私自身がそうありたいと思うタイプなので、カリキュラムを設けるつもりは最初からありませんでした。
私が大切にしているのは、「自由である」ということ。それから、「楽しかった! また来たいな」と思ってもらうこと。そこから、自分らしさを出せるようになったり、人とのつながりが生まれたりするといいですよね。逆に、「この子はこんなふうに成長してほしい」なんていうことはまったく考えていません。
「ヒュッゲ」には自殺未遂をくり返している子など、いろいろな事情を抱えた子どもたちも来ています。本人にとっても親御さんにとっても「何かあったら、いつ行ってもいい」という居場所にはなっているのではないでしょうか。しばらく来なかった子が戻ってくることもよくあります。
自分で言うのも変ですが、私には話しやすい雰囲気があるだけでなく、なぜか、犬とか猫にもなつかれるんですよ(笑)。
子どもの不登校やひきこもりに悩む親御さんに必要なのは
――ここからは、実際に親御さんから寄せられた3つのお悩みについて、関口さんからアドバイスをいただきたいと思います。
1:一日中ゲームばかり……このまま見守るか、ゲームを取り上げるか悩みます
不登校経験を経て通信制高校に入ったばかりの息子が、ほぼひきこもって一日中ゲームばかりしています。そのせいで背骨が曲がり、脊柱側湾症と診断されました。よく「親は黙って見守るべき」と言われますが、このまま何年も見守っているだけでいいのか、無理にでもゲームを取り上げるほうがいいのか、悩んでいます。シングルマザーなので、ひとりぼっちで行き詰まり気味です。