世界初「アニメ療法」を提唱した精神科医パントー・フランチェスコ先生が語る「不登校の親にとって、アニメ・漫画・ゲームは、心強い味方!」
不登校の子どもがアニメ・漫画・ゲーム(以下「アニメ等」)を楽しんでいる、夢中になっている――。そんな姿に、親の心には複雑な思いが生じることがよくあります。
「好きなことがあるのはいいけど、このままでいいの?」
「勉強もしないで、好きなことばかり」
「その元気があるなら、学校に行けばいいのに」
「これって、依存状態じゃないの?」
そこで不登校オンラインでは、精神科医・医学博士のパントー・フランチェスコ先生に「不登校とアニメ等」についてのインタビューを実施しました。
イタリア・日本両方の医師免許を持つ精神科医・医学博士であり、オタクカルチャーをメンタルケアに生かす「アニメ療法」の提唱者であるパントー先生。子どものころにはイタリアで「セーラームーン」を大好きになり、現在もアニメ等を楽しんでいます。
そんなパントー先生は、「アニメ等は、不登校の子どもの役に立ち、親の味方にもなる」と語ります。
パントー先生からのお知らせ
- 18~29歳の成人を対象に、アニメ療法の実証実験参加者を募集しています。詳細及びご応募は、こちらのページをご覧ください(外部ウェブサイト「Minds1020Lab」が開きます)。
目次
- 不登校の子どもに、アニメ等はこう役立つ〜低リスクでメリット確保〜
- アニメ等は、薬か毒か〜錬金術師・パラケルススはこう語る〜
- 不登校の子どもにおすすめのジャンル・作品はコレ!〜「○○の○○○○○」など〜
- ガチャ課金の危険性〜精神科医の私でさえ、コントロールが危うくなったことも〜
- アニメ等は、親の心強い味方になる!〜日本だからこそやりやすいこととは〜
- 親は、好奇心を持ってアニメ等の価値を認めてほしい〜やめるべき考え方は「○○○と○」〜
- アニメ等を、現実との架け橋にする方法〜ここにも、日本のよさが!〜
- 「セーラームーン」が好きだった子ども時代〜おもちゃ屋で、母と一緒にコンプレックスを乗り越えた瞬間〜
- イタリアの不登校が長期化しづらい理由は、「いい意味での○○」!
- 終わりに、編集部から
不登校の子どもに、アニメ等はこう役立つ〜低リスクでメリット確保〜
――アニメ等は、不登校の子どもの役に立つのでしょうか。
パントー・フランチェスコ(敬称略、以下「パントー」):
ナラティブ(物語)のあるコンテンツは、まず、コーピング(ストレス対処の行動や思考)に役立ちます。
「アニメ等の、ある程度予測可能な、安全な世界観」に感情移入し、没入することで、周りへの――つまり、学校や不登校についての――ストレス・不安・緊張が和らぎます。
お悩みを抱えている人にありがちな反芻思考(はんすう・しこう。同じことを何回もグルグルと考えること)と一時的に距離を取ることもできます。
また、モデリング(観察学習、同一化)にも役立ちます。
日本のアニメ等は、「挫折、孤独、喪失体験を抱えているキャラクターが、困難を乗り越える」ことが多いです。
そうしたキャラクターは、(不登校などで悩みを抱えている)自分のアイデンティティと重なりやすいです。自分とキャラクターは違う存在なんですけど、類似点があります。
そのキャラクターが困難を乗り越えた姿を見たりすることで、「このような考え方や生き方があるのか」というシミュレーションができるんです。さらに「(不登校という)外れ者」であっても、心を強く持てるようになったりします。
これを、パラソーシャル関係(疑似社会関係)と言います。
実際に自分が出来事を経験していなくても、架空の物語やキャラクターの経験を見ることで、脳が活性化するんです。安全な場所にいながら、社会的な体験ができます。
アニメ等では、このようなメリットを、低リスクで確保できます。
アニメ等は、薬か毒か〜錬金術師・パラケルススはこう語る〜
――親としては、不登校の子どもがアニメ等を健全に楽しんでいるのか、それとも依存状態にあるのか、不安を抱くこともあります。
パントー:
アニメ療法のことを知った親御さんからよく聞くお声に、「物語作品にいい効果があると言っても、のめり込んで現実が見えなくなったら心配」というものがあります。
コーピングやモデリングは、具体的には、次のようなよい効果として現れます。
- 明らかに子どもの不安や緊張が和らいだ
- 睡眠や食事が安定した
- 話題を提供したら、会話ができるようになった
- 小さくても、現実的な行動が増えた
- 作品の中で学んだことを、実際の会話や活動に活かす・繋げることができた
また、健全に没入している場合には、視聴やプレイを中断してもパニックになりません。
一方で、16世紀の医師・化学者・錬金術師であるパラケルススの言葉に、「毒か薬かを決めるのは物質の性質以上に『量』による」というものがあります。
これはアニメ等についても同じことが言えるでしょう。ナラティブ(物語)の使い方が過剰な場合には、WHOの定義するゲーム障害につながることは、考えられます。
悪化のサイン・境界線としては、次のようなものがあります。
- それ以外のことができなくなる
- やめたいけどやめられない
- 時間を守れない
- 食事も睡眠もできない
ただし、使い方次第です。いい役割はありますので、アニメ等を最初から禁止したり、ダメというラベリングをしたりするのは違うかなと思います。
――親から見て、不登校の子どものアニメ等との付き合い方が心配な状態だと、病院に連れて行くべきなのでしょうか。
パントー:
日常生活に明らかに支障が出ている状態が数か月続いていれば、専門家による対応が必要かもしれません。
ただ、お子さんに、「あなたは病気かもしれないから病院に行きます」と直接的に言うと、素直には従わず、逆効果になるかもしれません。
日本の場合は、大きな大学病院などは、家族相談を受け付けています。まずは親だけで、「子どもの状況と、必要な対応」や、「子どもをどうやって病院に連れて行くか」を相談してはいかがでしょうか。
そういう順番になるのは、日本のメンタルヘルスの体制が整っていないことによる課題ですね。
アメリカやイタリアでは、ちゃんとした資格を持ったカウンセラーでも、カウンセリングの場所は病院とは限りません。自分の書斎など、子どもに警戒心を抱かれづらい、ハードルが低い環境で行ったりします。
不登校の子どもにおすすめのジャンル・作品はコレ!〜「○○の○○○○○」など〜
――不登校からのメンタルの回復に役立ちやすい作品のタイプがあれば教えてください。
パントー:
カウンセリングのときにもいつも言っているのですが、まず、「本人が好きなのであれば、一風変わったものでも否定しない」ということが大切です。子ども本人が好きなら、救いのないストーリーでもいいんです。
その上で、ジャンルとしておすすめできるのは、



