だけど不安に負けないで 女優・高山みなみさんに聞く

日本声優界を第一線でひっぱってきた女優・高山みなみさんのインタビューです。インタビュアーは、不登校当事者である「子ども・若者編集部」のメンバーです。
 
――高山さんが役者の道を目指されたきっかけはなんだったのでしょうか?

一般家庭よりも芸能界に近かったのと、母が私の芸能界入りを考えていたこともあり、小さいころからバレエ、日本舞踊、声楽などの習い事をしていました。ただ、私がなりたかったのは「警察官」。卒業文集の将来の夢を書く欄には、いつも「警察官になりたい」と書いていました。
 
――『名探偵コナン』のコナン役をしていますから、半分はその夢は果たされているかもしれないですね。
 
まあ半分はね。でも逮捕はできないですから(笑)。
 
――たしかに(笑)
 
芸能界に足を踏み入れたのは、中学生の時です。母から「警察官になるなら芝居心も必要なのでは」と、いま考えると「あれ?」と思うことを言われて(笑)。それが児童劇団に入るきっかけだったんです。
 
最初はそんな始まり方でしたが、好きだったんでしょう。劇団に入る頃には本気で演技を勉強したいと思っていました。でも今度は環境が壁になってきたんです。
 
高校生のときには勉強と劇団の両立が難しくて辞め、演劇の専門学校に入ったときは「本気でプロになりたい」という思いが強く空回りしてしまい半年間ぐらいで辞めました。
 
これはさすがに、お金を出してくれた親に申し訳なくて「芝居の道はあきらめます」と、ふつうのOLになったんです。
 
でも、やっぱりあきらめられなかったですね、やりたいと思っちゃったことは。OLを始めてから一年半ぐらいでOLを辞め声優の養成所に通い、ご縁もあっていまの事務所に所属しました。遠回りはしたけど、結局やりたい仕事に就けたんだと思っています。
 

体温を伝える声の仕事

 
――声優の仕事をするうえでこだわっていることはなんですか?

アニメや映画は基本的に平面の世界です。いま3Dも出てきていますけど、ほとんどは2次元ですよね。声の仕事はその平面の世界に、奥行きや空気間を感じさせる仕事なんです。体温を感じてもらいたい、と言い換えてもいいかもしれません。
 
ですから、キャラクターどうしの物理的な距離感やどんな状況で話し合っているのか、そういう当たり前の自然なことをいつも考えています。
 
――役作りをするうえで気にされていることはありますか?

事前の役作りはしないんです。役を新しく与えられたときに、そのキャラクターと対面して、顔や動きを見て、第一声で出た声が、その子の声になるんです。だから、あらかじめ考えたり、なにか特別なことをしてはいません。わりと右脳感覚でやっているというか、ね。もちろん、役者さんそれぞれに役作の方法は違います。どれが正しい方法というのはありませんね。
 
――「声」を整えるために、気を遣われていることはありますか?

何もしてないです(笑)。体のメンテナンスには、よく食べて、よく寝て、よく遊ぶ。それが一番自分に合ってますね。
 
――悪役を演じるときはどんな気分なんでしょうか?
 
こんなことを言ったらきらわれるかもしれないけど、私、悪役だ~い好きです。すんごく楽しいですよ(笑)。だって、現実には絶対にできないことですから。
 
それにストーリー上は「悪役」かもしれないけど、悪役の側から見れば、自分たちの「正義」があるわけです。自分がまちがっているなんて思っていたら、人は行動できません。
 
だから、悪役が思う「正義」をしっかりと心に刻み込んでおくよう、気をつけています。だって中途半端に悪を演じたら、キャラクターがかわいそう。やるなら、とことんやらなきゃ(笑)
 
――「魔女の宅急便」や「名探偵コナン」では、一人二役を演じられてますが、自分と対話をするというのはどんな気分なのでしょうか?

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