「なんだか生きづらい」を解決可能な課題へ HSP当事者の挑戦

中津井楓真さん(18歳)は、説明のできない「モヤモヤする思い」があり、学校を休むことが多かった。しかし中学3年生のとき、自身がHSPだとわかったことで、自分自身の課題と向き合い、悩みを整理することができたという。HSPは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、「人一倍感受性が強く、敏感な気質の人」を意味する言葉だ。今では「HsP’eers(エイチエスピアーズ)」という団体を立ち上げ、HSPへの理解を広めるための活動をしている中津井さん。自身の経験や思いについて聞いた。(写真は中津井楓真さん/撮影・矢部朱希子)

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――最初にご自身がHSPだとわかったとき、どう思いましたか?

言葉は悪いのですが、初めは「最強の言いわけができた」と思いました(笑)。HSPのことを知ったのは、中学3年生のときです。それまでは、「自分はなんて弱い人間なんだろう」と悩んでいました。同級生は宿題や部活動を楽勝でこなしているのに、僕は毎日ヘトヘトになりながらすごしていて、思うようにできないことばかりでした。学校を休むことも多かったんです。でもそんなときに、「HSPだからしかたない」という逃げ道ができた。そう思うことで、学校に行かない罪悪感や、同級生に対する劣等感を消そうとしていたのです。

母に対しても言いわけに使っていましたから、初めはイラつかせたと思います。ですが、僕が学校を休むことを責めずに見守っていてくれていたので、そこはありがたかったですね。

もともと、HSPについて教えてくれたのも母なんです。HSPを提唱した心理学者・アーロン博士が作成したチェックリストを渡してくれました。チェック項目は、「生活に変化があると混乱する」、「騒音に悩まされやすい」といった内容です。全部で27個あり、その内の14個以上にあてはまると、「HSPの可能性が高い」というセルフテストでした。僕はそれに、23個もあてはまっていたのです。「このリストには、僕のことが書かれている!」と驚きました。

当事は、自分の状況をうまく言葉にできなくて、ずっとモヤモヤする思いを抱えていました。言語化できないから、誰に何を相談したらいいかもわかりません。それがHSPのチェック項目のおかげで、自分のことをぴたりと説明できる言葉がわかるようになったのです。リストに1つずつチェックを入れていくたびに、

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