「ダメな母親と思われるのが怖かった」小1で不登校した息子と私の7年間

「母親失格じゃないかと怖かった」。そう語るのは、現在中学2年生の息子さんを持つ母親・ハチミツさん。ハチミツさんの息子さんは小学1年生から不登校になりました。周囲の視線や夫との対立に揺れ動いた7年間。ハチミツさんが抱いてきた感情や今の心境についてお話しいただきました。(聞き手・編集=本間友美)

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子どもを学校へ行かせないのは親としてダメなのか?

――お子さんの不登校の経緯からお聞かせください。

息子は小学1年生の夏休み明けに「今日から学校行かない」と宣言して不登校になりました。幼稚園のころにも3カ月ほど不登園したことがあったので、私はあまり動揺しませんでした。むしろ、ほっとしました。

息子は小学校に入ってからなんだかテンションが高くて不自然だったんです。「行かない」と言われたときは、「行きたくないなら無理しなくていいんじゃないか」と素直に思いました。私自身、高校時代に摂食障害ですこし不登校したことがあり、自分がつらかったことを思うと、子どもに同じ思いをさせたくないという気持ちがあったんです。
 
しかし夫は「学校へは行くものだ」という考えで、息子の不登校を受け入れようとしませんでした。実はわが家は、上の娘も一時期不登校だったことがあります。そのときも夫は娘を休ませようとせず、結局娘は行ったり行かなかったりのさみだれ登校を3年間続けたのち、再び学校へ通うようになりました。

夫はこの経験から、「親がうまく子どもにペースをつかませてやれば不登校は解消するんだ」と思ったようです。つまり、娘の再登校が夫にとっての「成功体験」になっていたんです。だから息子が不登校になったときも、「親がしっかりしていれば大丈夫だ」という姿勢でした。
 
私はそんな夫の圧に負けていました。もともと育った環境の違いから私は夫にコンプレックスを抱いており、自分に自信がなく、夫に強く意見を言えなかったんです。娘のときもそうでしたが、「行きたくないのに無理に行かせるのはよくないだろう」と思いながら、そうした自分の感覚は間違っているのかもしれないと揺れていました。夫が言うように、子どもを学校へ行かせるのが親として正しく、それができない自分は親としてダメなのかと悩んでいました。ただ、息子は意志が固く、「行かない」と宣言してからは本当に全然学校へ行かなくなりました。

人目を気にしながらの外出

――息子さんの不登校中はどんな気持ちでしたか?

息子の不登校生活が始まっても私は揺れていました。「学校行って」とは言いたくないけれど、「もう行かなくていいんだよ」と言うこともできませんでした。ただ、子育てはきちんとしたいと、息子には早寝早起きや図書館通いを強いていました。でもふと「まわりのお母さんたちは子どもを学校へ行かせているんだ」と思うと、「私は間違った子育てをしているんじゃないか」「世間から見れば母親失格なんじゃないか」と、不安が募っていました。

迷いがあるとそれが行動に出るもので、私は息子にびくびくした姿を見せてしまっていました。息子と外出するときは、道に人がいるかどうかを窓から確認し、「今、誰も通っていないからチャンスだよ」と言って、人目を気にしながら家を出ていたんです。
 
買い物ついでにショッピングモールのゲームコーナーに連れて行ったときも、私は周囲の目におびえていました。毎日のように遊びに来ていて、店員さんに「この親は子どもを学校へ行かせないで何をやっているんだろう」と思われていないかと心配になっていました。そんな私の影響なのか、今では息子も人目を気にしており、外出時は帽子とマスクで顔を隠すようになってしまいました。

学校へ行かないと人生終わり!?

一方、揺れている私に夫は苛立ち、私たちはよくぶつかりました。たとえば息子が勉強しないことについて、「学びたいときに学べばいいんだ」と息子にも夫にも言っておきながら、私が息子のゲームの時間が長いことを気にしていると、夫が「だから学校行かせればいいだろ!」と怒り、言い合いになっていたんです。

夫と一番揉めたのは、

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