子どもの不登校、夫婦で話し合えない理由【不登校と夫婦関係のアンケートから（3-2）】【調査報道】
ウェブメディア「不登校オンライン」は、2025年3月12日〜25日に、お子さんが不登校・行き渋りである（であった）保護者さまを対象に、「不登校の保護者の夫婦関係」についてのアンケートを実施しました。
「夫婦の間で、不登校の対応について話し合う機会はありますか？」という設問への回答は62名で、内訳は次の通りでした。
- たまにある：21名（33.87%）
- よくある：18名（29.03%）
- ほとんどない：17名（27.42%）
- まったくない：6名（9.68%）
本記事では、その設問に関連した「お子さんの不登校について、夫婦で話し合えない理由はありますか？」という設問にお寄せいただいたエピソードと、キズキ不登校相談員・伊藤真依からのコメントを紹介します。
※紹介内容は、回答原文をもとに、不登校オンライン編集部が類型化・再構築・編集を行ったものです。
※回答者：全て「妻（不登校の子どもにとっての母親）」、敬称略、順不同で、poreru、なお、ぺんま、153、さくらママ、きなこ、うさぎmama、まんぼう、あくう、あじたま、やまぐち、あげは、ごくらく、yoshino、よーちん、きんたろう、まー、コ、うつぼ、natsumi、らい、りん、み、すい、かお、すいーとぽてと、ま、みえころ、F母、Hideko、まさき、もも、しーちゃん
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目次
類型①：価値観・考え方のズレ―「わかり合えない、その距離感」
子どもが不登校になってから、夫とは何度か話し合いの場を持とうとしました。でも、根本的な価値観の違いが大きく、会話はいつもすれ違ってしまいます。
夫は「学校に行けない子は甘えている」「行かせるのが親の役目」といった考え方で、私とは真逆です。
話しても「なんでそんな風に考えるの？」と否定から入られ、こちらの話には耳を貸してくれません。
子どもの心の状態や情緒面よりも、「世間体」や「ルール」を優先する夫に、何を話しても絶望するばかりです。話し合うたびに傷つくので、自然と口を閉ざすようになりました。
類型②：話し合いが成立しない・苦手―「言葉が通じない、沈黙の壁」
夫はもともと、話し合うことがあまり得意ではありません。考えを言語化するのが苦手で、私が話すと「分かりづらい」「面倒くさい」とイライラしてしまいます。その様子を見ていると、相談するのが怖くなります。
だから私は、子どもと一緒に決めたことを「報告」という形で伝えています。
でもそれに反対されれば、また最初から考え直すという繰り返しです。建設的な「対話」はできないので、もはや最初からあきらめている部分もあります。
類型③：夫の理解・関心の欠如―「無関心のつらさ、孤独の中で」
夫は子どもの不登校について、「関わりたくない」という姿勢をはっきり出してきます。
「わからないなら、わからないなりに話してくれればいいのに」と思いますが、話そうともしません。話しかけても無言、またはうわの空で聞き流されてしまいます。
「話すだけ無駄なんだ」と思うようになってからは、最小限のことだけLINEで伝えるようになりました。
夫が「もう話したくない」と言ったときから、子どものことは私一人で決めるしかなくなりました。孤独で重い決断の連続ですが、誰にも頼れません。
類型④：精神的・身体的理由による困難―「話したくても、話せない事情」
夫はうつ症状があるため、日によって体調に波があります。体調が悪い日は、深い話をするのは難しく、こちらも無理に相談するわけにはいきません。
心の病と向き合う夫にさらに負担をかけることはしたくない、という思いがあります。
子どもの話題は、時に感情を大きく揺さぶるものです。だからこそ、夫の体調を見ながら、ごく簡単な内容だけを共有しています。本当はもっと支え合いたいけれど、それが難しい現実があります。
類型⑤：衝突・対立による断絶―「話すたびに、ぶつかるから」
不登校が始まったころ、私たちはよく衝突していました。
夫は子どもに厳しく、私は受け入れて見守りたい。その違いが大きく、話すたびにケンカになりました。怒鳴り合いになることもあり、精神的に限界を感じたこともあります。
あるときから、話し合おうとすること自体が怖くなり、避けるようになりました。「何を言っても怒る」「機嫌を損ねるだけ」と思うようになり、今では必要最低限のことだけを淡々と伝えています。
相談ではなく「連絡」です。夫婦としての信頼関係も、かなり薄れてしまいました。
不登校相談員・伊藤真依（株式会社キズキ）のコメント
不登校への対応をめぐって夫婦の話し合いができない理由には、さまざまな背景があります。価値観や性格の違いが理由であることもあれば、衝突を避けたいという思いから対話自体を避けてしまうなどの事情が背景にある場合もあります。
夫婦であっても、人と人の関係であることに変わりはありません。
必ずしも夫婦で足並みがそろうとは限らないのです。
不登校の問題を夫婦だけで抱え込まずに、専門家や不登校の支援機関などを活用してみるのも大切です。
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