【調査報道】「不登校と、親の仕事」のリアル(1)〜子どもも自分も守るために、働き方をこう変えた〜【438名アンケート】
2025年10月29日に文部科学省が公表した資料(※1)によると、2024年度に不登校だった小中学生は35万3,970人と、過去最多を記録しました。
子どもの不登校は、親の仕事や働き方にも大きな揺らぎをもたらします。
ウェブメディア「不登校オンライン」は、不登校の子どもがいる親438名にアンケートを実施。結果、約6割が退職・転職・就業、または働き方の変更を経験していました。最も多かったのは「仕事は続けつつ、働き方を柔軟に調整する」選択でした。
本記事では、データと自由回答から、親が直面する現実と必要な支援を読み解きます。
※1:令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
※2:本稿の割合は、人ベース(回答人数)と複数回答の件数ベースが混在します。各設問の「回答◯名」「◯件」を併記します。
※3:アンケート募集時の記事はこちらです。
目次
- 1.総論:アンケート結果のまとめ
- 2.基本情報
- 3.不登校に関連して、退職または転職をしたり、働き方を変えたりしましたか?
- 4-1.「退職・転職しておらず、働き方も変えていない156名」への質問
- 4-2.うち、「1.現在も、仕事や働き方を変えるつもりはない:89名」への質問
- 4-3.うち、「転職したいが、希望に合う転職先が見つからない:8名」への質問
- 4-4.うち、「5.現職内で働き方を変えるために職場に相談したが、希望が叶わない:7名」への質問
- 5.「退職・転職していないが、働き方を変えた:144名」への質問
- 6.「転職した:20名」への質問
- 7.「専業主婦・主夫だったが、就業した:20名」への質問
- 8.「退職した:78名」への質問
- 9.編集部からのまとめ〜子ども本人だけではなく、親の支援も重要〜
- 10.キズキ共育塾不登校相談員・伊藤真依のコメント
- 11.「不登校と、親の仕事」のリアル〜関連記事一覧〜
- 12.アンケート実施方法など
- 13.アンケート協力者さまのご紹介
1.総論:アンケート結果のまとめ
今回の調査で、子どもの不登校が親の仕事に与える影響は明確になりました。
約6割の親が退職・転職・就業、または働き方の変更を経験し、最多は「仕事を続けながら柔軟に調整する」でした。
遅刻・早退や時短、在宅勤務は家庭の安定や子どもへの良い影響につながる一方、収入減やキャリア停滞という負担も伴います。共通して見えるのは「家庭を立て直す」という目的です。
退職は家族の安全を守る一時停止、 転職は両立のための再設計、 働き方の変更は家庭の安定を保つためのしなやかな調整、 就業は社会とのつながりの再獲得として機能していました。
すなわち、変化は後退ではなく、家族が安定を取り戻すための再調整です。学校・職場・地域が連携し、親が安心して働き方を選べる仕組みづくりが求められます。
2.基本情報
回答
- 438名
内訳
- 母親:413名(94.29%)
- 父親:24名(5.71%)
- その他:1名(0.23%)
お子さんの不登校が始まった当時の、ご自身の雇用形態について教えてください(回答438名)
- 正規雇用:193名(44.06%)
- パート・アルバイト:139名(31.74%)
- 専業主婦・主夫:49名(11.19%)
- フリーランス・自営業・個人事業主:33名(7.53%)
- 契約社員:14名(3.20%)
- 派遣社員:10名(2.28%)
お子さんの不登校が始まった当時の職場・職種について教えてください(回答438名)
- 民間企業(従業員10以上〜99人以下):88名(20.09%)
- 民間企業(従業員1,000人以上):72名(16.44%)
- 民間企業(従業員100人以上〜999人以下):67名(15.30%)
- 地方公務員(外郭団体含む):47名(10.73%)
- 専業主婦・主夫:47名(10.73%)
- その他団体職員:34名(7.76%)
- フリーランス・自営業・個人事業主:34名(7.76%)
- 民間企業(従業員9人以下):27名(6.16%)
- 国家公務員(外郭団体含む):13名(2.97%)
- 民間企業(従業員数不明):9名(2.05%)
民間企業の「従業員数」には、正規雇用以外も含みます。公務員・民間企業の場合、雇用形態は問いません。
編集部の分析・コメント
お子さんが不登校になったときの親御さんの雇用形態と職場・職種は、実に様々です。今回のアンケート結果に加えて、不登校オンライン(キズキ)が見聞きする話も踏まえて、「親の仕事・働き方と、子どもの不登校」には、基本的には因果関係はないと言っていいでしょう。
3.不登校に関連して、退職または転職をしたり、働き方を変えたりしましたか?
不登校に関連して、退職または転職をしたり、働き方を変えたりしましたか?(回答438名)
- 退職・転職しておらず、働き方(※1)も変えていない:156名(35.62%)
- 退職・転職していないが、働き方(※1)を変えた:144名(32.88%)
- 退職した:78名(17.81%)
- 転職した:20名(4.57%)
- 専業主婦・主夫だったが、就業した(※2):20名(4.57%)
- 退職・転職、働き方の変更、専業主婦・主夫からの就業をしたが、子どもの不登校は主たる原因ではない:20名(4.57%)
転職・退職・就業や働き方の変更を複数回行っている方は、「最初に行ったこと」をご選択ください。
例:転職後に退職した方は、「転職した」/退職後に就業した方は、「退職した」/働き方を変えた後に転職した方は、「退職・転職していないが、働き方(※1)を変えた」
※1:時短・異動・リモートワーク・休職など
※2:正規雇用、非正規雇用、フリーランスなど
編集部の分析・コメント
項目別に見ると、最多は「退職・転職もせず、働き方も変えていない」の約36%でした。
これを逆に見ると、「働き方を変えた」「退職した」「転職した」「就業した」の合計が約60%となります。不登校が親の仕事に直接影響を及ぼすケースの方が多いことが明らかになりました。
4-1.「退職・転職しておらず、働き方も変えていない156名」への質問
現在の状況について教えてください(回答156名)
- 現在も、仕事や働き方を変えるつもりはない:89名(57.05%)
- 仕事や働き方を変えたいが、そのための時間・気力・体力などがない:21名(13.46%)
- 現職内で働き方を変えたいが、職場に相談しづらい:14名(8.97%)
- 転職したいが、希望に合う転職先が見つからない:8名(5.13%)
- 現職内で働き方を変えるために職場に相談したが、希望が叶わない:7名(4.49%)
- その他:17名(10.90%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・夫の仕事の形態が変わるため外に出てパートで働きたいが、子どもが今後登校するか分からないので動けない。
・妻が当件もあり、退職。経済的な面から本職の休みの日にアルバイトを検討している。(会社からは承認済)しかし、妻からは反対されている。
・仕事を増やしたいと考えていたが、子どもが嫌がり自分も余裕がなくなり諦めました。
・平日のシフトを減らすつもりでいる。職場にも理解は得ている。
・働いてみたい気持ちもあるが3人不登校のサポートをしていると仕事できる気がしない。
不登校に関連して、転職・退職してないこと、働き方を変えていないことは、総合的にはよかったですか?(回答156名)
- よい、よかった:78名(50.00%)
- わからない、どちらとも言えない:71名(45.51%)
- よくない、よくなかった:7名(4.49%)
4-2.うち、「1.現在も、仕事や働き方を変えるつもりはない:89名」への質問
「現在も、仕事や働き方を変えるつもりはない」場合、その理由を教えてください(回答39名・169件) 複数選択可
- 現在及び将来の収入・支出を考えると、仕事や働き方を変えることはできない:52件(30.77%)
- 仕事や働き方を変えないことが、子どもによい影響がある:36件(21.30%)
- 仕事や働き方を変えても、子どもに影響がなさそう:32件(18.93%)
- 仕事や働き方を変えなくても、子どものケアができている:25件(14.79%)
- 今後のキャリアを考えると、仕事や働き方を変えることはできない:13件(7.69%)
- 子どものことは配偶者(や他の家族)に任せている:2件(1.18%)
- その他:9件(5.33%)
「その他」の内容(一部。原文ママ)
・好きな仕事内容かつ働きやすく時給も高い、ひとり親で両親他界していることと、田舎なので仕事の選択肢も低い中、前述の条件でさらに狭まるので転職先を探しのが困難であるため
・祖母と同居のため、ある程度はお願いしている
・やりたい仕事なので、自分のメンタルを保つためにも可能な限り続けたいと思っています。自分の収入がなくなるのも怖い。
・働くことが自身のモチベーションになっている
・子供にかかりきりになり時間がない
・今の働き方でやる事を増やす可能性はあるが、仕事や働き方には満足しているから
・有休が取りやすいので、有休を活用している。有休は、不登校になる前よりも多く使うようになった
4-3.うち、「転職したいが、希望に合う転職先が見つからない:8名」への質問
「転職したいが、希望に合う転職先が見つからない」場合、希望の内容を教えてください(回答8名・136件)
- 家から近い職場であること:19件(13.97%)
- 時短勤務が可能(1日8時間未満)であること:12件(8.82%)
- シフトに柔軟性があること:12件(8.82%)
- 昼間の仕事であること:11件(8.09%)
- 残業がない(少ない)こと:10件(7.35%)
- 非正規雇用(アルバイト・パート・派遣社員・契約社員)であること:9件(6.62%)
- 転職前と同様の給与水準であること:9件(6.62%)
- 子どもの不登校について相談しやすそうであること:9件(6.62%)
- 正規雇用であること:8件(5.88%)
- フレックス勤務が可能であること:8件(5.88%)
- 未経験でもOKなこと:7件(5.15%)
- リモート勤務が可能であること:6件(4.41%)
- 転職前よりも高い給与水準であること:6件(4.41%)
- 自身のキャリアを継続できること:4件(2.94%)
- 扶養の範囲を超えない収入であること:2件(1.47%)
- 不登校に関連した仕事であること:2件(1.47%)
- 個人事業主・フリーランスであること:1件(0.74%)
- これまでとは違う職種であること:1件(0.74%)
- フルタイム勤務(1日8時間)であること:0件(0.00%)
- 夜間の仕事であること:0件(0.00%)
4-4.うち、「5.現職内で働き方を変えるために職場に相談したが、希望が叶わない:7名」への質問
「現職内で働き方を変えるために職場に相談したが、希望が叶わない」場合、叶わない希望について教えてください(回答7名・42件) 複数選択可
- リモート勤務:6件(14.29%)
- 時短勤務:5件(11.90%)
- フレックス勤務:5件(11.90%)
- 介護休暇の利用:5件(11.90%)
- 有給休暇の使用増:4件(9.52%)
- 残業なし:4件(9.52%)
- 柔軟な遅刻・早退:4件(9.52%)
- 休職:4件(9.52%)
- 部署異動:2件(4.76%)
- 出張なし:1件(2.38%)
- シフト変更:1件(2.38%)
- その他:1件(2.38%)
「その他」の内容(原文ママ)
・相談はしていないが言われたのが「社会保険の適用(週30時間)を(できるだけ)維持してほしい」ということ
編集部の分析・コメント
子どもの不登校に直面しても、退職や転職をせず現職を続ける人が全体の約3分の1を占めました。
多くは「収入の維持」や「子どもの安定」を理由に挙げ、現状を保つことが家庭を守る選択になっています。
一方で、「変えたいけれど体力や時間がない」「相談しても希望が通らない」という声も目立ちます。仕事を手放す余裕も、働き方を変える支援もなく、はざまで踏ん張る親の姿が浮かびます。
「働くことが自分の支え」という声も多く、現職を続けることが親自身の安定にもつながっています。ただし、家庭と両立できる柔軟な職場環境はまだ少なく、「変えられない苦しさ」も残っています。
不登校家庭への支援は、「働き方を変える人」だけでなく、変えずに続ける人をどう支えるかにも広げていく必要があります。
5.「退職・転職していないが、働き方を変えた:144名」への質問
働き方をどのように変更しましたか?(回答144名・312件) 複数選択可
- 柔軟な遅刻・早退:58件(18.59%)
- 時短勤務:46件(14.74%)
- シフト変更:44件(14.10%)
- 有給休暇の使用増:32件(10.26%)
- リモート勤務:28件(8.97%)
- 残業なし:23件(7.37%)
- 休職:22件(7.05%)
- フレックス勤務:15件(4.81%)
- 介護休暇の利用:15件(4.81%)
- 出張なし:10件(3.21%)
- 部署異動:3件(0.96%)
- その他:16件(5.13%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・リモートとオフィス勤務をミックス
・本来子供が学校に行けていれば、朝から夕方までは農作業にあて、出荷できるだけの収穫や袋詰め、手入れもきちんとできるはずでしたが、午後以降は学校との連絡や夕方登校、フリースクールへの送迎で全く仕事ができない状態になっています。
・役職を降りたのち、時間に余裕のある部署へ異動 ・正規職員から短時間パートに変えた。
・仕事の受注量を減らした
・仕事を夜間に回した
・下の子の育休再取得 ・アルバイトに出るようになりました
・主人の休みの日に週1日出勤
・フリーランスはそのままで、パート栄養士(シフト制)を辞めた
・在宅勤務 週2〜3
・起業した
・フリーランスのため仕事を減らし、断り、ゼロになった。
・通院や、子どもの困りごとなどが発生した際は中抜けという形で仕事から抜けた
働き方の変更について、職場への相談はしやすかったですか?(回答144名)
- 相談しやすかった:103名(71.53%)
- 相談しづらかった:41名(28.47%)
働き方の変更の希望は、通りやすかったですか?(回答144名)
- 希望は全面的に叶った:90名(62.50%)
- 希望は部分的に叶った:54名(37.50%)
働き方の変更の希望につき、叶わなかったものを教えてください(回答86名・132件) 複数選択可
- 休職:20件(15.15%)
- リモート勤務:17件(12.88%)
- 介護休暇の利用:16件(12.12%)
- 柔軟な遅刻・早退:15件(11.36%)
- 有給休暇の使用増:13件(9.85%)
- 時短勤務:12件(9.09%)
- フレックス勤務:8件(6.06%)
- 残業なし:6件(4.55%)
- シフト変更:6件(4.55%)
- 部署異動:4件(3.03%)
- 出張なし:2件(1.52%)
- その他:13件(9.85%)
- 上記とは別に、「全て叶った」が58名
その他の回答(一部。原文ママ)
・店の混み具合で決まった時間には帰れない
・業績の評価
・望まない異動は会社の都合で避けられなかった
・時短はかなったが、仕事のボリューム、仕事内容やプレッシャーなどが変わらなかったため、心理的負担は増えました
・毎日の定時出勤 ・勤務場所を異動する以外の希望を出していない
・減給は仕方ないとはいえきつかった
・夜勤の免除
・フリーランスのため、仕事を減らした(またはゼロ)
・有給休暇の使用増
働き方の変更のうち、特に役立ったものを教えてください(回答144名・279件) 複数選択可
- 残業なし:19件(6.81%)
- 出張なし:4件(1.43%)
- 時短勤務:39件(13.98%)
- リモート勤務:31件(11.11%)
- フレックス勤務:16件(5.73%)
- 部署異動:3件(1.08%)
- シフト変更:40件(14.34%)
- 有給休暇の使用増:22件(7.89%)
- 柔軟な遅刻・早退:64件(22.94%)
- 休職:16件(5.73%)
- 介護休暇の利用:16件(5.73%)
- その他:9件(3.23%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・個人事業主のため、子供の送迎や夕方登校に合わせて、時間調整はなんとかなっています。
・パート勤務への変更 ・フリーランスなので仕事量は自分で決められる
・下の子の育休
・週1日勤務
・夫が専業主夫になったこと
・同伴出社
・時間があるため、子供と一緒に子供の好きなテレビ番組やYouTubeを一緒に見て一緒に笑ったり、子供の散歩に付き添ったりすることができた。
働き方を変えて、よかったことを教えてください(回答144名・303件) 複数選択可
- 前の働き方よりも、子どもに関連して柔軟な対応がある:68件(22.44%)
- 不登校の子どもに「よい影響」があった:63件(20.79%)
- 前の働き方よりも、仕事以外の時間が増えた:40件(13.20%)
- 結果として、よいことは特にない:29件(9.57%)
- 前の働き方から、キャリアを継続できている:28件(9.24%)
- 前の働き方よりも、子どものことを相談しやすい:23件(7.59%)
- 前の働き方よりも、職場が「自分の居場所」になっている:22件(7.26%)
- 前の働き方よりも、充実している:14件(4.62%)
- 新たなキャリアを構築できている:8件(2.64%)
- 前の働き方よりも、収入が増えた:2件(0.66%)
- その他:6件(1.98%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・介護休暇の5日がもらえた
・前の働き方より自分の気持ちに余裕ができた
・気負いなく仕事に行ける
働き方を変えて、よくなかったことを教えてください(回答144名・284件) 複数選択可
- 前の働き方よりも、収入が減った:97件(34.15%)
- 新たなキャリアを構築できていない:39件(13.73%)
- 前の働き方から、キャリアが断絶した:35件(12.32%)
- 前の働き方よりも、職場は「自分の居場所」ではない:29件(10.21%)
- 前の働き方よりも、充実していない:25件(8.80%)
- 結果として、よくないことは特にない:17件(5.99%)
- 前の働き方よりも、仕事以外の時間が減った:16件(5.63%)
- 不登校の子どもに「よい影響」はなかった:10件(3.52%)
- 前の働き方よりも、子どものことを相談しづらい:4件(1.41%)
- 前の働き方よりも、子どもに関連して柔軟な対応がない:1件(0.35%)
- その他:11件(3.87%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・リモート勤務の際の残業が増えた
・早く帰れない
・休職が始まった直後であり不明
・子供のことを考えて不安になる時間が増えて、辛い思いをする時間も増えてしまった
・仕事に集中できなくなった
・職場に迷惑をかけた
・夫との時間の調整
・家の中が殺伐とした
・社会保険の負担が大きいし、国民年金なので将来の年金額が心配。
・在宅ワークをするための準備が日々必要になったこと、会社でなければできない仕事が溜まったこと
・意識が子供に向き過ぎた
不登校に関連して、働き方を変えたことは、総合的にはよかったですか?(回答144名・149件)
- よい、よかった:79件(53.02%)
- わからない、どちらとも言えない:63件(42.28%)
- よくない、よくなかった:7件(4.70%)
編集部の分析・コメント
この章では、退職や転職まではせずに、働き方を柔軟に変えた親の実態が見えてきました。
多くの親が、遅刻・早退や時短勤務、シフト変更などを駆使し、子どものケアと仕事の両立を図っています。
こうした「柔軟な働き方」は、子どもの安心や家庭の安定につながる一方で、収入減やキャリア停滞といった代償も伴っています。
一方で、職場に相談しやすくなったという声も増えており、少しずつ「不登校を理由に働き方を調整する」ことが受け入れられ始めています。 とはいえ、制度や理解が十分でない職場では、親自身がその柔軟さを自力でつくり出しているのが現状です。
いま求められるのは「辞めるか続けるか」ではなく、どう続けられるかを当たり前に設計できる職場文化です。
6.「転職した:20名」への質問
不登校に関連した転職につき、状況を教えてください(回答20名)
- 転職を1回した。その後、その仕事を続けている:12名(60.00%)
- 転職・退職を複数回行っている。現在は就業している:8名(40.00%)
- 転職・退職を複数回行っている。現在は就業していない:0名(0.00%)
転職後の職場・職種について教えてください(回答20名)
- 民間企業(従業員10以上〜99人以下):7名(35.00%)
- 民間企業(従業員100人以上〜999人以下):4名(20.00%)
- 民間企業(従業員9人以下):3名(15.00%)
- 民間企業(従業員1,000人以上):2名(10.00%)
- その他団体職員:2名(10.00%)
- 地方公務員(外郭団体含む):1名(5.00%)
- フリーランス・自営業・個人事業主:1名(5.00%)
- 国家公務員(外郭団体含む):0名(0.00%)
- 民間企業(従業員数不明):0名(0.00%)
民間企業の「従業員」には、非正規雇用も含みます。
複数回の転職をしている場合、最初の転職先について教えてください。
転職後の職場・職種(前項の区分)は、望んだ形でしたか?(回答20名) 複数回の転職をしている場合、最初の転職先について教えてください
- はい:12名(60.00%)
- いいえ:4名(20.00%)
- 前項の区分に、こだわりはなかった:4名(20.00%)
転職後の雇用形態・働き方について教えてください(回答20名)
- 正規雇用:4名(20.00%)
- パート・アルバイト:13名(65.00%)
- 契約社員:0名(0.00%)
- 派遣社員:2名(10.00%)
- フリーランス・自営業・個人事業主:1名(5.00%)
複数回の転職をしている場合、最初の転職先について教えてください。
転職後の雇用形態・働き方(前項の区分)は、望んだ形でしたか?(回答20名)
- はい:15名(75.00%)
- いいえ:3名(15.00%)
- 前項の区分に、こだわりはなかった:2名(10.00%)
複数回の転職をしている場合、最初の転職先について教えてください。
どのような理由で、転職を決めましたか?(回答20名・50件) 複数選択可
- 仕事と子育ての両立の負担が大きかった:17件(34.00%)
- 子どものケアに注力したかった:11件(22.00%)
- 子どもに関連した遅刻・早退・欠勤が多く、職場で気まずくなった:6件(12.00%)
- 子どものケアに関連して、収入を増やしたかった:4件(8.00%)
- 働き方の変更(時短・異動・リモートワークなど)の打診が叶わなかった:3件(6.00%)
- 職場の人たちに、心情的に不登校への理解がなかった:3件(6.00%)
- 子どもが希望した:3件(6.00%)
- 配偶者や、子ども以外の家族が希望した:1件(2.00%)
- その他:2件(4.00%)
転職を複数回している方は、最初のときについて教えてください。
その他の内訳(原文ママ)
・子供の不登校が決め手となり夫と不仲になり、少しでも収入を上げて別居費用を稼ぎたかった
・前の職場の人に迷惑かけるのはプライド的にしたくなかった
転職の前に、働き方の変更などを職場に相談しましたか?(回答20名)
- 相談して、希望は全面的に叶ったが、結果として転職した:2名(10.00%)
- 相談して、希望は部分的に叶ったが、結果として転職した:5名(25.00%)
- 相談したが、希望は全く叶わなかった:3名(15.00%)
- 相談しなかった:10名(50.00%)
転職を複数回している方は、最初のときについて教えてください。
働き方の変更について、職場への相談はしやすかったですか?(回答14名)
- 相談しやすかった:5名(35.71%)
- 相談しづらかった:9名(64.29%)
前項の働き方の変更の希望につき、叶ったものを教えてください(回答9名・12件) 複数選択可
- 時短勤務:3件(25.00%)
- 残業なし:2件(16.67%)
- 柔軟な遅刻・早退:2件(16.67%)
- シフト変更:1件(8.33%)
- 有給休暇の使用増:1件(8.33%)
- 介護休暇の利用:1件(8.33%)
- 出張なし:0件
- リモート勤務:0件
- フレックス勤務:0件
- 部署異動:0件
- 休職:0件
- その他:2件(16.67%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・週休を増やした
・職場に子どもを同伴する
前々項の働き方の変更の希望につき、叶わなかったものを教えてください(回答7名・12件) 複数選択可
- 柔軟な遅刻・早退:3件(25.00%)
- リモート勤務:2件(16.67%)
- 残業なし:1件(8.33%)
- フレックス勤務:1件(8.33%)
- シフト変更:1件(8.33%)
- 有給休暇の使用増:1件(8.33%)
- 休職:1件(8.33%)
- 出張なし:0件(0.00%)
- 時短勤務:0件(0.00%)
- 部署異動:0件(0.00%)
- 介護休暇の利用:0件(0.00%)
- その他:2件(16.67%)
- 上記とは別に、「全て叶った」が2名
その他の回答(一部。原文ママ)
・依頼会社への正社員登用
・年間休日数、収入の維持
転職先は、どんな働き方・仕事を重視して選びましたか?(回答8名・88件)複数選択可
- 家から近い職場であること:10件(11.36%)
- 昼間の仕事であること:9件(10.23%)
- シフトに柔軟性があること:8件(9.09%)
- 非正規雇用(アルバイト・パート・派遣社員・契約社員)であること:7件(7.95%)
- 時短勤務が可能(1日8時間未満)であること:7件(7.95%)
- 残業がない(少ない)こと:7件(7.95%)
- 子どもの不登校について相談しやすそうであること:5件(5.68%)
- リモート勤務が可能であること:4件(4.55%)
- 転職前と同様の給与水準であること:4件(4.55%)
- 扶養の範囲を超えない収入であること:4件(4.55%)
- 自身のキャリアを継続できること:4件(4.55%)
- これまでとは違う職種であること:4件(4.55%)
- 正規雇用であること:3件(3.41%)
- 転職前よりも高い給与水準であること:3件(3.41%)
- 未経験でもOKなこと:3件(3.41%)
- フレックス勤務が可能であること:2件(2.27%)
- 個人事業主・フリーランスであること:1件(1.14%)
- フルタイム勤務(1日8時間)であること:1件(1.14%)
- 夜間の仕事であること:1件(1.14%)
- 不登校に関連した仕事であること:1件(1.14%)
転職を複数回している方は、最初の転職について教えてください。
転職して、よかったことがあれば教えてください(回答8名・47件) 複数選択可
- 不登校の子どもに「よい影響」があった:8件(17.02%)
- 前の働き方よりも、仕事以外の時間が増えた:6件(12.77%)
- 前の働き方よりも、職場が「自分の居場所」になっている:6件(12.77%)
- 新たなキャリアを構築できている:5件(10.64%)
- 前の働き方よりも、充実している:4件(8.51%)
- 前の働き方よりも、収入が増えた:4件(8.51%)
- 前の働き方よりも、子どもに関連して柔軟な対応がある:4件(8.51%)
- 前の働き方から、キャリアを継続できている:4件(8.51%)
- 前の働き方よりも、子どものことを相談しやすい:3件(6.38%)
- 結果として、よいことは特にない:3件(6.38%)
転職して、よくなかったことがあれば教えてください(回答8名・36件) 複数選択可
- 不登校の子どもに「よい影響」はなかった:2件(5.56%)
- 前の働き方よりも、充実していない:2件(5.56%)
- 前の働き方よりも、収入が減った:10件(27.78%)
- 前の働き方よりも、仕事以外の時間が減った:2件(5.56%)
- 前の働き方よりも、子どものことを相談しづらい:2件(5.56%)
- 前の働き方よりも、子どもに関連して柔軟な対応がない:1件(2.78%)
- 前の働き方よりも、職場は「自分の居場所」ではない:2件(5.56%)
- 前の働き方から、キャリアが断絶した:5件(13.89%)
- 新たなキャリアを構築できていない:3件(8.33%)
- 結果として、よくないことは特にない:5件(13.89%)
- その他2件(5.56%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・子供と日中接する時間が減った
・フルリモートなので他の方に作業をお願いしづらい
不登校に関連して、転職は、総合的にはよかったですか?(回答20名)
- よい、よかった:9名(45.00%)
- よくない、よくなかった:1名(5.00%)
- わからない、どちらとも言えない:10名(50.00%)
編集部の分析・コメント
不登校をきっかけに転職した親の多くは、家庭の状況に合わせて現実的な再設計を行ったことがわかりました。
働き方を見直すことで、子どもと過ごす時間や家庭の落ち着きを取り戻した人も多く見られます。
一方で、「収入が減った」「キャリアが途切れた」といった経済的・職業的な影響も大きく、生活の安定と将来の不安のあいだで揺れる姿も浮かびます。
それでも、転職を「よくない」と断言する人は少なく、多くが「迷いながらも前向きに受けとめている」様子でした。
転職はキャリアの断絶ではなく、家庭と自分を立て直すための再構築といえます。 親たちのこうした“しなやかな働き直し”を支える社会的な仕組みづくりが、今後いっそう求められます。
7.「専業主婦・主夫だったが、就業した:20名」への質問
就業した主な理由を教えてください(回答19名・52件) 複数選択可
- 自分の居場所を増やしたかった(つくりたかった):12件(23.08%)
- 子どもと離れる時間を設けたかった:11件(21.15%)
- 子どもが「家に一人でいても大丈夫な年齢・状態」になった:10件(19.23%)
- 子どものケアに関連して、収入を増やしたかった:7件(13.46%)
- 子どもに「働く大人」の姿を見せたかった:7件(13.46%)
- 周囲の人から働くことを勧められた:1件(1.92%)
- 配偶者や他の家族が子どものケアに専念することになった:1件(1.92%)
- その他:3件(5.77%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・子どもも親と離れた方が良いと思った
・高校にあがったのをきっかけに行き始めたから
・離婚をした為、収入が必要になり
就業先を選ぶ際に、重視したことを教えてください(回答19名・103件) 複数選択可
- 非正規雇用(アルバイト・パート・派遣社員・契約社員)であること:16件(15.53%)
- シフトに柔軟性があること:11件(10.68%)
- 昼間の仕事であること:11件(10.68%)
- 家から近い職場であること:10件(9.71%)
- 時短勤務が可能(1日8時間未満)であること:9件(8.74%)
- 扶養の範囲を超えない収入であること:9件(8.74%)
- 子どもの不登校について相談しやすそうであること:7件(6.80%)
- 以前のキャリアを継続できること:5件(4.85%)
- 残業がない(少ない)こと:4件(3.88%)
- 未経験でもOKなこと:4件(3.88%)
- 新たなキャリアを構築できること:3件(2.91%)
- 不登校に関連した仕事であること:3件(2.91%)
- 個人事業主・フリーランスであること:2件(1.94%)
- リモート勤務が可能であること:2件(1.94%)
- 希望する収入が見込めること:2件(1.94%)
- フレックス勤務が可能であること:1件(0.97%)
- 正規雇用であること:0件(0.00%)
- フルタイム勤務(1日8時間)であること:0件(0.00%)
- 夜間の仕事であること:0件(0.00%)
- その他:4件(3.88%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・資格を活かせること
・子連れ出勤が可能だったから
・楽しく仕事ができること
・希望する収入が見込めること
子どもの不登校に関連して、就業して「よかったこと」を教えてください(回答19名・70件)
- 収入が増えた:14件(20.00%)
- 子どもと離れる時間ができた:12件(17.14%)
- 不登校の子どもに「よい影響」があった:9件(12.86%)
- 職場が「自分の居場所」になっている:9件(12.86%)
- 仕事が充実している:8件(11.43%)
- 職場で子どもに関連して柔軟な対応がある:7件(10.00%)
- 仕事のキャリアを構築できている:7件(10.00%)
- 職場で子どものことを相談しやすい:4件(5.71%)
- 結果として、よいことは特にない:0件(0.00%)
子どもの不登校に関連して、就業して「よくなかったこと」を教えてください(回答19名・24件)
- 結果として、よくないことは特にない:11件(45.83%)
- 仕事以外の時間が減った:4件(16.67%)
- 収入があまり増えない:3件(12.50%)
- 職場は「自分の居場所」ではない:2件(8.33%)
- 仕事が充実していない:1件(4.17%)
- 職場で子どもに関連して柔軟な対応がない:1件(4.17%)
- 不登校の子どもに「よい影響」はなかった:0件(0.00%)
- 職場で子どものことを相談しづらい:0件(0.00%)
- 仕事のキャリアを構築できていない:0件(0.00%)
- その他:2件(8.33%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・子どもの負担になったこともあったように思う
・下の子を預かりを入れることになった(預かりは行きたがらない)
不登校に関連して、就業は、総合的にはよかったですか?(回答20名)
- よい、よかった:13名(65.00%)
- わからない、どちらとも言えない:7名(35.00%)
- よくない、よくなかった:0名
編集部の分析・コメント
不登校をきっかけに、専業しゅふから就業へ踏み出した親たちは、経済的な理由だけでなく、自分自身を立て直すための一歩として働き始めています。親の就業支援は不登校支援の一部として位置づけるべきです。
「自分の居場所をつくりたい」「子どもと少し距離をとりたい」との声が多く、仕事が家庭の安定や心の再生につながっている様子が見えます。
働き方は「無理をしない」が前提で、非正規・近距離・柔軟なシフトといった現実的な条件を重視。
「理解のある職場で働けた」「気持ちが落ち着いた」という声も多く、親が社会とつながり直すことが、子どもの安心にもつながる傾向がうかがえます。
マイナス面は限定的で、全体の65%が「就業してよかった」と回答。親の「働き直し」は、家庭が再び動き出すための力となっています。
8.「退職した:78名」への質問
不登校に関連した退職につき、状況を教えてください(回答78名)
- 退職を1回した。その後、就業して同じ仕事を続けている:8名(10.26%)
- 退職・転職を複数回行っている。現在は就業している:13名(16.67%)
- 退職を1回した。その後、就業して同じ仕事を続けている:8名(10.26%)
- 退職・転職を複数回行っている。現在は就業していない:6名(7.69%)
どのような理由で、退職を決めましたか?(回答77名・174件)
- 仕事と子育ての両立の負担が大きかった:53件(30.46%)
- 子どものケアに注力したかった:52件(29.89%)
- 子どもに関連した遅刻・早退・欠勤が多く、職場で気まずくなった:29件(16.67%)
- 働き方の変更(時短・異動・リモートワークなど)の打診が叶わなかった:11件(6.32%)
- 子どもが希望した:9件(5.17%)
- 職場の人たちに、心情的に不登校への理解がなかった:7件(4.02%)
- 配偶者や、子ども以外の家族が希望した:6件(3.45%)
- その他:7件(4.02%)
退職を複数回している方は、最初のときについて教えてください。
その他の回答(一部。原文ママ)
・私が不在の時に子どもを預かってもらっていた不登校生徒用のフリースクールの代表者に、「あなたが仕事をして子どもを放っておいてるから、発達障害になるんだ」と怒鳴られた。そこに子どもを預かってもらったのは、年に数回程度
・子供本人が、不登校に強く罪悪感を抱いており、ご飯を食べれない、夜驚で何度も起きる等不安定になって1人で留守番させることが困難となった。(衝動的に自殺するのでは?と母が不安に思った)
・学校への連絡や通信制高校の見学をするため平日昼間に時間が必要だった
・自身のメンタル不調
・休職が長引いた為退職を進められた
・同居している方の目が気になったから
・下の子の出産
退職の前に、働き方の変更などを職場に相談しましたか?(回答79名)
- 相談しなかった:26名(32.91%)
- 相談して、希望は部分的に叶ったが、結果として退職した:22名(27.85%)
- 相談して、希望は全面的に叶ったが、結果として退職した:17名(21.52%)
- 相談したが、希望は全く叶わなかった:14名(17.72%)
退職を複数回している方は、最初のときについて教えてください。
働き方の変更について、職場への相談はしやすかったですか?(回答72名)
- 相談しづらかった:39名(54.17%)
- 相談しやすかった:33名(45.83%)
働き方の変更について、叶ったものを教えてください(回答:44名・88件)
- 時短勤務:22件(25.00%)
- 柔軟な遅刻・早退:19件(21.59%)
- 休職:15件(17.05%)
- シフト変更:9件(10.23%)
- リモート勤務:6件(6.82%)
- 残業なし:4件(4.55%)
- フレックス勤務:3件(3.41%)
- 有給休暇の使用増:3件(3.41%)
- 介護休暇の利用:3件(3.41%)
- 出張なし:1件(1.14%)
- 部署異動:1件(1.14%)
- その他:2件(2.27%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・パートになりました
・勤務形態の変更
働き方の変更について、叶わなかったものを教えてください(回答31名・92件)
- リモート勤務:12件(13.04%)
- 柔軟な遅刻・早退:12件(13.04%)
- 休職:12件(13.04%)
- フレックス勤務:11件(11.96%)
- 介護休暇の利用:10件(10.87%)
- 時短勤務:9件(9.78%)
- 部署異動:7件(7.61%)
- 有給休暇の使用増:7件(7.61%)
- 残業なし:6件(6.52%)
- シフト変更:4件(4.35%)
- 出張なし:1件(1.09%)
- その他:1件(1.09%)
- 上記とは別に、「特になし」が14名
働き方の調整のうち、特に役立ったものを教えてください(回答33名・60件)
- 時短勤務:14件(23.33%)
- 柔軟な遅刻・早退:13件(21.67%)
- シフト変更:7件(11.67%)
- 休職:7件(11.67%)
- リモート勤務:5件(8.33%)
- 残業なし:4件(6.67%)
- 有給休暇の使用増:4件(6.67%)
- 介護休暇の利用:3件(5.00%)
- フレックス勤務:2件(3.33%)
- 出張なし:1件(1.67%)
- 部署異動:0件(0.00%)
退職して、よかったことを教えてください(回答78名・149件)
- 子どものケアに使える時間が増えた:60件(40.27%)
- 不登校の子どもに「よい影響」があった:36件(24.16%)
- 自分自身の時間が増えた:27件(18.12%)
- 仕事をしていたときよりも充実している:14件(9.40%)
- 結果として、よいことは特にない:9件(6.04%)
- その他:3件(2.01%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・体力 ・下の子を、発達障害診断書があれば引き続き保育園に預けられると確認できたので、心のゆとりができた。
退職して、よくなかったことを教えてください(回答78名・143件)
- 収入が減った:73件(51.05%)
- キャリアが断絶した:38件(26.57%)
- 仕事をしていたときよりも充実していない:20件(13.99%)
- 不登校の子どもに「よい影響」はなかった:7件(4.90%)
- 結果として、よくないことは特にない:3件(2.10%)
- その他:2件(1.40%)
その他の回答(一部。原文ママ)
・過干渉になった
・ずっと一緒にいるので色々見えてしまい。注意したくなる。抑えるようにはしている。
不登校に関連して、退職したことは、総合的にはよかったですか?(回答78名)
- よい、よかった:43名(53.75%)
- わからない、どちらとも言えない:33名(41.25%)
- よくない、よくなかった:4名(5.00%)
編集部の分析・コメント
不登校をきっかけに退職し、その後も就業していない親が6割を超えました。
背景には「両立の限界」や「子どものケアのため」という切実な事情があり、退職はキャリアの断絶ではなく、家庭を守るための現実的な判断だったことがわかります。
退職によって「時間の自由」や「心理的な落ち着き」を得たという声が多く、過半数が「結果的によかった」と回答しました。
一方で、収入減やキャリア中断などの負担も大きく、親自身の再出発を支える社会的な仕組みの不足が浮かび上がります。
親の退職は「終わり」ではなく、家庭を立て直すための一時停止です。 この静かな決断を支える環境整備こそが、不登校支援を次の段階へ進める鍵になるでしょう。
9.編集部からのまとめ〜子ども本人だけではなく、親の支援も重要〜
今回の調査から見えてきたのは、子どもの不登校が親の働き方や生き方に、深く影響を及ぼしているという現実でした。
多くの親が「家庭を守るため」「子どもを支えるため」に働き方を変え、退職・転職・就業など、それぞれの形で新しいバランスを模索しています。
柔軟な働き方やリモート勤務が可能になった一方で、まだ多くの職場では、子どもの不登校への理解や支援が十分とはいえません。
制度が整っていても、「相談しづらい」「同僚に迷惑をかけてしまう」と感じる親は少なくありませんでした。
しかし、親たちはそうした環境の中でも、子どもと自分の生活を守るために現実的な選択を重ねています。その姿勢は、働く親としてだけでなく、一人の生活者としての強さでもあります。
不登校の支援は、子どもだけを対象にするものではありません。親が安心して働き方を選び、支援を受けられる社会的な土台があってこそ、家庭全体の安定と回復が実現します。 このデータが、そのための議論と行動のきっかけになることを願っています。
10.キズキ共育塾不登校相談員・伊藤真依のコメント
「不登校の子を支えるために、仕事は辞めたほうがいいですよね…」というご相談は私たちのところにもよく届きます。
お子さんとの健全な距離感はケースバイケースなので画一的なお答えはできませんが、ただひとつ言えることは「焦りや大きな悩みの渦中にいるときは、すぐに大きな決断をしないほうが良い場合が多い」ということです。
もし、”続ける”と”辞める”の間に
・制度などを使ってペースを調整しながら続ける
・雇用形態など形を変えながら様子をみる
などの選択肢があるならば、そういったステップを踏んでみるのも手です。
そうしたステップを踏んだり、今回の調査のような経験者の声などから情報を集めたりしながら慎重に方向性を決めていくことが大切です。
もちろん、保護者様がお子さんと過ごす時間を増やすのは悪いことではありません。
一方で、日中に付きっきりにならない方が健全な関係性を保てる親子も多いのは事実です。
その家庭ごとにちょうどいい塩梅があるはずですので、
個別の状況やご不安について、キズキのような専門家に気軽にご相談いただけたらと思います。
11.「不登校と、親の仕事」のリアル〜関連記事一覧〜
今回のアンケートの関連記事は、下記でご覧いただけます(文中で紹介しているリンクと同じです)。
関連記事
12.アンケート実施方法など
- 調査対象:不登校の子どもがいる親
- 方法:Webアンケート
- 期間:2025年2月17日〜3月22日
- 有効回答:438名
- 自由回答あり・複数回答設問あり
13.アンケート協力者さまのご紹介
今回のアンケートでは、下記の方々に周知のご協力をいただきました。この場をお借りして、御礼申し上げます。

























































