「無理やり行かせたほうが恨むよ 」小1で不登校した息子と母の思い

 2021年5月8日、「フリースクールトレーラー」(福島県郡山市)開設1周年を記念して開かれたオンラインシンポジウム「不登校について話す~今だから言えるこどもの立場、今だから聞ける親の立場」(主催・NPO法人寺子屋方丈舎)の講演抄録を掲載する。登壇した4名のシンポジストのうち、不登校の子を持つ母親の佐山さん(仮名)と島田さん(仮名)のお話を掲載する。司会は主催団体代表の江川和弥さん(以下、江川)。

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江川 まずはお子さんの不登校について、お話いただけたらと思います。

佐山 私には中学3年生の娘がいます。娘は中学1年生の1学期に体調を崩したものの「友だちに会いたい」という一心で保健室登校を続けていました。でも、2年生に上がると「学校を休みたい」と言ってきました。娘と話し合って「じゃあ休もうか」となったのですが、それで万事解決とはなりませんでした。友だちと会えないことだけでなく、学校を休んでしまっている自分が許せないと娘は葛藤するようになりました。話しかけてもそっけない態度で、うまくコミュニケーションが取れない時期が続きました。

 そのとき、私は2つのことを心がけていました。家で楽しめることを試行錯誤して実践すること、そして娘が外出できそうな場所にいっしょに出かけることです。そうしたなか、娘が自分で自分を責めることはしだいに減っていきました。

 ただ、最近びっくりしたことがあって。4月から娘がいきなり学校へ行き始めたんです。学校には今も通っていて「ちょっと今日はつらい」という日は学校を休んで家ですごすなど、娘は自分の心と体と相談しながら調整しているという感じです。

島田 私は小学5年生と1年生の息子の母親です。長男が小学1年生の夏休み直前に不登校になりました。行きしぶりから始まり、下痢・嘔吐・じんましんなどの症状があったので「がんばっていた疲れが出たのかな」と、最初は考えていました。ところが、体調がよくなり、いざ学校へとなったとたん「学校を休みたい」と長男が言い出したんです。

 そんなことは絶対ダメだと思っていた私は、長男を無理やり学校へ連れて行きました。泣いている息子の脇を担任といっしょに抱えて校舎に入ったこともあります。というのも、担任から「休ませるとどんどん来られなくなってしまうので、とにかく連れてきてください」と言われていたので、当時の私は「とにかく学校へ連れて行かなければ」と必死になっていました。保健室登校も試しましたし、乗り物好きの長男を市内の周遊バスに乗せてから学校へ連れて行ったこともあります。でも、長男は教室にも入れなくなってしまいました。

なぜ行かせるの

 ある日、長男がこう言ったんです。「なんで行きたくないと言っているのに、僕を行かせようとするの?」って。

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