学びの多様化学校で迷う保護者たち「うちの子に合う? 合わない?」

#不登校#行き渋り#不登校特例校#学びの多様化学校

「不登校オンライン」では、子どもの不登校・行き渋りを経験している保護者を対象に、学びの多様化学校に関するアンケート調査を実施しました。

この記事では、在籍未経験者の保護者からの声をご紹介します。

前回記事
9割が「通わせたい」と回答  「学びの多様化学校」アンケート結果

編集

不登校オンライン編集部

1. 学びの多様化学校へ「通わせたくない理由」

今回はあえて、ネガティブな意見から。

まず。学びの多様化学校へ「通わせたくない」と回答した保護者の方から寄せられた、「通わせたくない理由」を見てみます。
少数意見ではありますが、「不登校」を取り巻く状況を一括りには捉えられないことが、あらためてよくわかります。

※以下、各コメント末尾の( )内は回答者のペンネーム・お子さんの現在。

公立学校の内容、対応や進み具合など、どれだけ本人のペースに合わせることが可能か、まだ分からない。場所が遠すぎて通えない。(kokoro25さん・小学校5年生)

子どもに合うなら通わせたい。合わないなら通わせない。学びの多様化学校が“学校”そのままの雰囲気だと上の子は通えないと思う。リラックスできる子どもに合った場所であるかが居場所選びでは重要。(ふむふむさん・小学校4年生、中学校2年生)

今、地元の民間団体が運営するフリースペースに通所しています。そこで子どもの成長が確認できているため変える予定はありません。
またわが家の場合、不登校になった経緯がいじめなどの対人トラブルではないため、通っていた学校の友だちに親しみがあります。在籍校を変えてまで、となると子どももまだ切り替えができないと思います。
多様化校とあるだけ、普通の学校の授業風景とは異なるかとは思いますが、公立学校の本質的な部分(先生の指示で皆が一斉に同じ行動をとる、授業の細かな部分にも規定があり弱点をフォローする工夫がとれない)が子どもには耐えがたかったこともあり、今のフリースペースが安定して通える場所になっています。(大根おろしさん・小学校2年生)

本人たちが希望しない、今通っているフリースクールに満足している。(そらとうみさん・小学校4年生、中学校1年生)

実施内容がよくわからない。(OTOMEさん・中学校2年生)

居住地の学校では、転校が必要だったから。友だちはそれなりにいて、教室には入れなくても、一部の学校行事は一緒に参加できていたから。(るりいろさん・中学校3年生)

できるだけ、ほかの子と一緒に普通校に通わせたい。本人が望んでいて、どうしてもの時は考えると思う。(だっちさん・中学校2年生)

後々、実社会に出てからは、定時の出勤や定常的な勤務を求められる可能性が高いことを考えると、通常級の学校に通えるようであればその方がよいのではないかと思う。
一方で、本人が学校に行きたくない状況が長引く場合や、出欠状況などで進路として通常級に行けない場合の選択肢として、体験などを通じて本人の足が向くのであれば、人との交流を持ち、多少でも社会性を身につける場として、ぜひ通わせたい。(リリさん・中学校2年生)

 

2. 学びの多様化学校へ「通わせたい理由」

次は、ポジティブな意見です。
さまざまな観点から、学びの多様化学校へ期待が寄せられています。学齢期を終えた子どもの保護者からの声も、示唆に富んでいます。

■特性や障害、疾患への対応

発達障害があり、興味関心によって参加意欲の差が大きい。カリキュラムに縛られず子どものペースで学べる場所ならば通わせたい。(ブロッコリさん・中学校3年生)

子どもに添った学習指導や特性を認知し、配慮してもらえる。また、必要に応じたコミュニケーションなどの教育訓練が受けられること。(10m8ruさん・小学校6年生)

起立性調節障害を患い、通常の学生生活が送れなくなった。(すずさん・中学校2年生)

聴覚過敏、対人不安、学習の遅れなど、大人数クラスでは馴染めないため、細やかな支援がほしい。このまま、公立校に戻るのが厳しいため。(ややさん・小学校5年生)

 

■子どもに合った対応

多様で個々に応じた学びができると思うから。不登校に限らずオルタナティブ教育の一つとして発展してほしい。(ヒエさん・高校2年生)

子どもが傷つかなそうだから。休みながら進むことを許されそうだから。(はるたんさん・小学校4年生)

小学1年生からずっと不登校な子どもの状況に合わせた対応をしてもらえそうだから(学力や集団生活、学校生活が身についていないこと、登校ペース、学校にいる時間、メンタル的な問題など)。(SKさん・小学校5年生)

市内にできた学校の概要から、制服がないことと時間割にゆとりがあること、少人数で構成されていることからストレスを感じにくく登校しやすいように感じるから。また、探究の時間があることから、自分の好きなことを学びに取り入れることができること。(naさん・小学校5年生)

 

■在籍校との関係

現在の学校が苦手であり、本人が安心して通える学校に通うことができたら幸せだと思うため。(なおさん・小学校3年生、中学校2年生)

教育支援センター(適応指導教室)に通っているが、所属校に通うことが前提になっていて、所属校担任とのやりとりに不安を感じる子どもの負荷が大きい。所属校担任も、支援が片手間になりがちであると感じる。(マサコムさん・中学校1年生)

公立の中学校でいじめにあって登校できなくて、行き場所がなくなって困ったから。(YG@_@さん・中学校3年生)

在籍中の学校の教員の理不尽な指導や特定の生徒からの嫌がらせが原因で登校できない状況で、友だちに会いたい、友だちと遊びたいという思いはある。本人は今いる友だちと離れたくないという気持ちが強いが、親としては新しい環境も視野に入れたい。(シマエナガさん・小学校5年生)

 

■同じ境遇の子どもとの交流

同じ境遇の子が集まっていれば、行きやすいと思うから。(しまうまさん・中学校2年生)

今の娘と同じ不登校の子が多くいると思うので、娘の孤独感のようなものが軽減される気がするから。(ふーさん・小学校6年生)

 

■集団が苦手

入学前から、学校生活が子どもに合わないことはわかっていた。行動を強制されるような集団生活がとても苦手で、学校だけでなく塾や習い事なども縛りが強いほど受け付けない。現在は五月雨登校で、心を病まないように気をつけている状況。そのため、学びの多様化学校がもっと通いやすい状況(立地や費用面など)にあれば、積極的にそちらを選びたいが、今の自治体にはないため現実的な選択肢にならないのが残念。(サイさん・小学校2年生)

みんなで同じことに取り組むということがどうしてもできない、大変困難な子どもは一定数います。既存の学校もありがたいのですが、既存の学校に合わない子の学び、体験の場の必要性を強く感じています。(しろさん・中学校3年生)

集団で同じようにスケジュールをこなすことが苦手なようです。学習障害があるようで、自分のペースで学べたらいいです。学校に行って友だちと過ごすのは楽しいみたいなので、学習に対して自信がつけば行き渋りがなくなると思います。(さめさん・小学校3年生)

通常学級に在籍しているが、大人数で一斉に何かをしたり大声で会話したりということが苦手で、そこから学校に行くことを考えると寝込んでしまっています。不登校の子でもストレスを抱えることのない、様々な対策を親身になって考えてくれる仲間がほしいです。(肉球をこよなく愛すママさん・小学校5年生)

 

■居場所がほしい

学校に通えず、ただ家にいるだけで心配。好きなことを見つけられ、子どもが安心して過ごせるのであれば通わせたい。(はるさん・小学校5年生)

家以外の居場所を作ってあげたいから。他者との関わりを経験させてあげたいから。(じゃむさん・小学校3年生)

今の学校に行けないのであれば、別の居場所を見つけたいから。少しでも社会とのつながりを持たせたい。(ネコさん・中学校1年生)

 

■家族以外とのコミュニケーション

集団生活を経験し、人と助け合うこと、協力し合うこと、人の気持ちなと様々なことを学んでほしい。また、大人は悪い人、意地悪な人ではなく、頼れる人、相談できる人、と思える環境だと願って通わせたい。(さとこさん・中学校3年生)

学校に行かない、いけない、で、集団生活で学ぶ若い時期の機会を奪ってしまいたくない。(ここさん・小学校6年生)

双子姉妹が不登校で、家庭に居る時間が長く、お互いストレス(暴言、暴力、家を飛び出す等)が強くなっているため、安全な場所で、少しでも他者と関わりを持ってほしい。(eさん・小学校6年生)

地元の学校には、通えない状況。ネットの中学(N中等部)も1年は利用したが、続かなかった。親とは違う大人や、同世代との関わりが全くできないので、何かいい方法はないか模索中のため。(はなさん・中学校2年生)

 

■外出させたい

家に引きこもってるから 外に出したい。(コさん・中学校3年生)

今現在、不登校になってから約一年経ちますが何もできず、ただ家で過ごしている状況のため、何か動きだし将来のためにもきっかけを見つけてほしいと思っているからです。(赤丸さん・中学校2年生)

 

■学習の機会

今の環境に合わないから学校に行けず、学びたい意思はあるのにきっかけがない状態があるため。(はやママさん・小学校6年生、中学校2年生、3年生)

学業を遅らせたくないため。(しのんさん・小学校4年生)

通常の成績がもらえる。(エミリアさん・小学校1年生)

子どもから学びの場を奪いたくない。(nodacciさん・中学校2年生)

 

■フリースクールの負担

現在フリースクールに通っていますが、費用が高い。公立の学びの多様化学校が通学可能圏内にできたら、そちらに通わせたい。(あゆさん・小学校6年生)

フリースクールに通わせているが、さまざまな負担が重い。(まめさん・小学校6年生)

 

■不登校への理解

通常の学校では不登校の子どものための支援が全くされていないので教員たち一人一人の不登校の理解がとにかく大事だと思う。理解ある仲間と教員で安心安全の学びの場所だと感じている。(ゆっこさん・小学校5年生)

登校時間が比較的ゆるいから。教育支援の専門スタッフがいるから。(いっぬさん・小学校5年生)

学校側が子どもの状態を理解しようとするのではとの期待がある。(じゃがいもさん・中学校3年生)

 

■選択肢として

中2娘、小6息子、小3息子みんな不登校で向き合い歴は長いです。中2娘は、オンライン中学と旧適応指導教室を併用しているので居場所と思える場所がみつかりましたが、小6小3の息子は、少し距離のあるプレーパークやフリースクール等いろいろ見学に行っても、また行きたい、になかなかならないため、もし近場に学びの多様化学校ができたら、必ず一度は見学させたいです。選択肢が少ないので、ある選択肢は一度は見せて、彼らが選べるようにしたいので。徒歩圏内にあることが希望ですが…… (たぬきさん・小学校6年生)

具体的にどんな学校なのか、どんなことをするのかがイメージできないのですが、子どもの居場所候補があればいいなと願っています。フリースクールはお金もかかります。経済的にもありがたいですし、公的な機関で対応してくれるというのは、社会が見捨てないよ、大丈夫だよというメッセージにもなるように感じています。(こつぶっこさん・中学校1年生)

小学生1年生1学期から、完全不登校となり、ホームスクーリングや民間の学童やフリースクールなど、子どもの居場所を探し求めてきました。現在は、フリースクールに通うために母と子のみ、他県に引越しております。経済的負担は想定以上ですが、子どもの今しかない時間と学びには何にも変えられません。不登校特例校が、通える場所にあったならば、選択肢の1つにしたいです。(ひな母さん・小学校5年生)

 


■本人の希望があれば

本人のニーズに合うところがあれば通わせたいと思っているので、もし多様化学校が本人に合う環境であって本人が望むなら通わせたいと思う。(しらすさん・小学校4年生)

見学に行った時に本人がここなら通いたいと言ったので。(モカさん・小学校6年生)

長く不登校だった子が、不登校特例校には楽しく通えているという知人が複数いるので、本人が楽しく通えるならいいなと思います。(みんみんさん・小学校4年生)

 


■子どもが学齢期を終えた方から

中1・中2は数回だけ登校し、中3は一度も登校しませんでした。田舎で交通も不便だし行ける施設もなく、自宅にこもるしかありませんでした。高校はフリースクールに通い、欠席することも多々ありましたが無事に卒業し、専門学校に進学しました。進学できたのは、休みがちでも登校型のフリースクールに通ったからだと思っています。自宅にこもりきりな状態からいきなり専門学校には行けていなかったと思います。中学生の頃に通える場所があれば、親子共にあの地獄のような生活からもっと早く抜け出せていたのかな……と思うので、学びの多様化学校があったなら通わせたかったです。(SHマムさん・専門学校卒業)

不安が大きく外出が難しかったわが子にも、負担をできるだけ少なくしながら教育を受けさせてやりたかった。義務教育期間中に学校で勉強してきてないことに対して、進路を考える際や今でも劣等感を持っているように思う。子どもの状態を認め、受け入れてくれる場所、人の存在は、その後の子どもの一歩に大きな力を与えてくれるものになると今強く感じている。家庭以外にも子どもが安心して過ごせる場所が必要だと思う。(プータさん・専門学校卒業)

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次回は、在籍経験者の保護者から見た「学びの多様化学校のよかった点・よくなかった点」をご紹介します!

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