【連載第4回】不登校でも「出席扱い」になることもある!?
「3分で読める不登校の基本情報」をお届けする本連載。
不登校の子どもと関わるすべての「多忙な大人たち」のために、不登校の基本の「き」をご紹介します。
第4回は「不登校と学習」です。
不登校でも「出席扱い」ってどういうこと?
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」に、「指導要録上出席扱いとした不登校の児童生徒」の数を示す項目があります。
「指導要録」は、法令で作成が義務づけられている児童生徒の学習の記録です。
学習の記録である指導要録上の「出席扱い」とは、不登校であっても、なんらかの「学習」が認められたということです。
指導要録上出席扱いとされるには、次の3つの方法があります。
①学校内の機関等で専門的な相談・指導等を受ける
②学校外の機関等で専門的な相談・指導等を受ける
③自宅におけるICT等を活用した学習活動
「学習」が認められている子どもは多くない
学校内での指導は養護教諭やスクールカウンセラーなどによるものです。今回はこれを除外し、上記②③の学校以外の場所での「学習」について考えます。
それぞれの指導要録上出席とした児童生徒数について、直近5年間の推移を見てみます(両方の「学習」が認められた子どももは重複して計上されています)。
学校外での指導を受けて出席扱いとなった子どもは、増加傾向にあります。しかし、不登校の全体数も増加しているため、不登校全体に占める割合はほぼ横ばいです。
一方、自宅におけるICT等を活用した学習活動で出席扱いとなった子どもは、新型コロナウイルス感染症流行期に大きく増加しました。とはいえ、不登校全体に占める割合はごくわずか。令和5年度は小学校で2.90%、中学校で3.09%です。
指導要録上出席扱いとなった子どもは、割合としては決して多くはありません。
文部科学省の不登校対策は「学び」重視
文部科学省の「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)では、「不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロに」と述べられています(文部科学大臣メッセージ)。
つまり、文部科学省の考える不登校対策とは、不登校の子どもの「学び」対策なのです。
そして、COCOLOプランの「目指す姿」の筆頭が、「不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整えます」というもの。
そこに掲げられた5つの施策のうち、ここでは「教育支援センターの機能を強化」「多様な学びの場、居場所を確保」に注目します。
教育支援センター
指導要録上の出席扱いに関連する「学校外の機関」の1つです。
令和5年度に教育支援センターで指導を受けた不登校の小中学生は、3万0,365人。このうち、70.5%が指導要録上出席扱いとなりました。
学校外の機関での指導数は「病院、診療所」の4万3,592人が最多で、教育支援センターはそれに次ぐ2番目。本来の役割が異なるので単純な比較はできませんが、病院、診療所での指導で指導要録上出席扱いとなったのは、わずか3.9%です。
多様な学びの場、居場所
指導要録上の出席扱いに関連する「学校外の機関」のうち「民間団体、民間施設」は、ここに含まれます。フリースクールやNPOなどが該当します。
令和5年度に民間団体、民間施設で指導を受けた不登校の小中学生は、1万5,431人。指導要録上出席扱いは46.6%で、割合は教育支援センターに次ぐ高さです。
また、この施策では、自宅におけるICT等活用も想定されています。
出席扱いにこだわらない「学び」も
もちろん、文部科学省の統計には表れない「学習」もあり得ます。
また、とくに不登校初期の子どもは休養が優先されます。無理な学習は、心身の回復にも学習効果にもよい影響はありません。
そして、何かを学ぶ喜びは、教科の学習以外からも得られます。AI、音楽、料理など、子どもの身近な関心からの再スタートが、将来のより広い学びへと通じています。
〈参考〉
令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果
令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果 概要
誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について(COCOLOプラン)
文部科学省中央教育審議会(第114回) 配付資料3-2「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)【案】(10/11)」(平成29年12月22日)
次回は「不登校特例校」に注目します!
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