社会復帰の一歩としてアルバイトへ。その発想が罠になりやすい理由

 私が高校で不登校だったとき、母親から「アルバイトしてみたら?」と言われたことがありました。私としても学校は行けないけど時間はあるし、何かやらなければという思いから、何度か募集元に電話をしましたが、その時点で断られ、面接にすらなりませんでした。

 不登校中、すこしずつ気持ちが外へ向き出したときに、社会復帰へのいわゆる「スモールステップ」のひとつとして考えられているのがアルバイトです。しかしアルバイトへの挑戦というのは、みなさんが思っているほど「スモール」な一歩ではありません。

 私は経験者からいろいろな声を聞いたことがあります。「アルバイト先へ電話をするのが怖い」「履歴書に何を書いたらよいかわからない」「面接で『不登校はよくないと思うよ』と諭されたことがある(結果は落選)」「雇用されても数日で行けなくなってしまったことがあり、次への気持ちが向かない」「辞め方がわからない」などなど。

 アルバイトをするという大きなステップのなかに、バイト先の選択、電話、履歴書の準備、面接などさまざまな小さなステップがあり、ひとつひとつに疲弊してしまうのです。

いっしょに働いて

 私は2018年ごろから、ある事業者と提携し、不登校やひきこもりの経験者たちといっしょにアルバイトをするという事業に取り組んでいます。

【連載】元当事者からの不登校対応マニュアル
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