呑気なものだ。こちらは世界と格闘中なのに! 不登校の俺と犬のハナ②
#不登校#行き渋り#犬#高校生
不登校中のある日、古川寛太さんのもとへ突然やってきた新しい家族・柴犬のハナ。高校1年生の冬、留年の瀬戸際にあった古川さんは、誰もいないリビングでハナと視線を交わし続けます。
現実と闘う古川さんと、我関せずを貫く(?)ハナ。通い合っていないようで、通い合っていたかもしれない。そんなふたりの、日常のエピソードです。
(連載「前略、トンネルの底から」第23回・写真は古川寛太さん)
ケージの中の彼女と目が合う
リビングに降りると、いつも飼い犬がいた。
木曜の午前11時半。
もちろん家族は誰もいない。
一畳ほどのケージにいる彼女と目が合う。
彼女の性格はビビりで、いつもおどおどしていた。「お手」などの芸はできないが、用を足すときだけなぜか逆立ちができる。
そんな柴犬が、昼頃にノロノロと起きてきた俺を迎える。
ジーッとこっちを見て、ごはんをくれないと分かるとそっぽを向いて昼寝を始める。呑気なものだ。
対してこちらは、今日こそは登校すると意を決し、自室を出て、出席日数表を睨みながら世界と格闘している最中だというのに。