「好き」が原動力 電車好きの不登校経験者が学びの場をつくるまで
鉄道会社の「小田急」がオルタナティブスクールを立ち上げる、というニュースを聞いて取材してきました。小田急江ノ島線・善行駅(神奈川県)に誕生した「AOi(あおい)スクール」設立の立役者となったのは、小田急電鉄の運転士、別所尭俊(べっしょたかとし)さん(27)と鷲田侑紀(わしだゆうき)さん(28)。2人ともが不登校の経験者です。「不登校期間中、好きなことに夢中になれたことで救われた」という別所さんに、オープンに先駆けてお話をうかがいました(写真は鷲田さん(左)と別所さん(右))。
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――AOiスクール立ち上げのきっかけと概要について教えてください。
小田急電鉄では2018年に「climbers(クライマーズ)」という社内事業アイデア公募がスタートしました。社会課題を解決するためのアイデアを募るコンテストで、毎回30件~40件のエントリーがあるんです。
今回の企画をいっしょに考えた鷲田運転士とは、以前から「こんなことができたらおもしろいね」といろいろなアイデアを出しあってきた仲。おたがいに不登校経験があるので、「いずれ、不登校に関係する企画を出したいね」という話も前々からしていて、今回のチャレンジにつながりました。自分たちの不登校経験をふり返りながら企画を練り上げていく作業は、すごく楽しかったですね。
スクールのコンセプトは、子どもたちの自主性を重んじること。僕たち自身が不登校期間、自分の好きなことに救われたので、「I’m ok, you are ok.」をモットーに、誰もがおたがいの「好き」を認め合える場所にしようと思っています。ただ、僕たちは学校を否定しているわけではありません。