「学校に通う夢を見た」不登校中のオレが何よりも望んでいたこと

高校入学直後に学校へ行けなくなった古川寛太さんが、眠れない夜をすごすなかで渇望したのは、「学校に通う夢を見る」ことだったといいます。不登校中のリアルな感情を書いていただきました。(連載「前略、トンネルの底から」第14回・写真は古川寛太さん)

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古川寛太

古川寛太(ふるかわ・かんた)

2000年生まれ。高校3年間不登校を経験した。不登校を経由した人間の現在地に興味がありnoteにて「あれこれありましたが、」を主宰している。

夜、部屋の明かりを落とすと、目覚まし時計は分針と時針しか見えない。確認するたびに大きく形を変える2本の発光棒に、俺は恐怖する。みっともない姿で高校生を消費する俺を、奴らは待ってなどくれない。より明瞭に、何らかの終わりへと、どんどん近づいていくような感覚がある。唯一蛍光剤のついていない秒針は、あやしく光る分針と時針の上を、せわしなく横切っていく。60秒は月初めのスマホのネット接続くらい速い。

家族の誰よりも早く自室にこもって布団に入ったのに、気づけば日づけが変わり、すでに2時を回っている。早く寝たいのに眠れない。明日の午前の授業だって、行かなければマズい。課題にはまったく手をつけていないのだが。

考えて考えて考えて、ふと疲労で思考に空白ができる深夜3時ごろ、ようやく俺は意識を失った。

夢のなかだけは「ふつうの高校生」

夢はよい。不登校当時、あらゆるものの中で最も渇望していた対象かもしれない。もちろん、寝る時に見るほうの「夢」である。

理由はシンプルで、

【連載】前略、トンネルの底から
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