不登校にも「引き算」の解決策を 5年間のフリースクール運営でたどり着いた答え
絶えず競争にさらされる「評価社会」で、自信を失っている不登校の子どもたち。フリースクールを運営する土橋優平さんは、学校生活だけでなく、子どもが好きだったはずの遊びにさえも、その影響が出ていると語ります。「評価に縛られているのは誰?」。お母さんにも、お父さんにも気づいてほしい、「本当に引き算したいこと」をお伝えします。(連載「出張版お母さんのほけんしつ」第45回・写真は土橋優平さん)
土橋優平(どばし・ゆうへい)
NPO法人キーデザイン代表理事。不登校支援のほか保護者向けLINE相談「お母さんのほけんしつ」を開設中。
フリースクールを運営して5年が経ちます。そこで100名以上の不登校、行き渋りの状態にある子どもたちと関わってきて、子どもたちには何が必要なのだろうとずっと考えてきました。
たどり着いた一つの答えは、つけ足すのではなく、「引き算」することでした。「評価する」という、教育における当たり前になっている価値観を、です。
ある子は、普段好きでやっているゲームにおいて、新しいルールが導入されたり、ほかの強い子が一緒にやりだしたりすると「やーめた」と突然いなくなります。別のある子は、大人から控えめに新しいアクションを提案してみても、「自分にできるかわかんないし」と断ります。
ゲームをやめたのは、自分がやったことがないルールに変わり、また自分より強い子が入ったことで、自分の負ける可能性が高まったからです。それはつまり、「負けること」から逃げたということでもあります。
大人からの提案を断ったのは、自分に自信がないからでした。もっと言えば、その自信のあるなしは、できなかったときの「周りからの見られ方」が気になっているということでもありました。
ここに共通しているのは、周りからの「評価」が、彼らの行動に歯止めをかけてしまっているということ。
私は最近思います。
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