「10年耐えてきた子は、回復するのに10年かかります」 フリースクール代表が語る、親が不登校の子どもを支える秘訣
「子どもが苦しむのは、不登校だからではありません」。フリースクールを運営する土橋優平さんは、不登校の子どもの回復のためには、長い時間をかけてサポートできる環境づくりが大切だと言います。そのために、親にとって絶対に必要な「ある意外な時間」とは? 子どものために日々がんばり続ける親御さんへ届けたい、渾身のメッセージ。(連載「出張版お母さんのほけんしつ」第46回・写真は土橋優平さん)
土橋優平(どばし・ゆうへい)
NPO法人キーデザイン代表理事。不登校支援のほか保護者向けLINE相談「お母さんのほけんしつ」を開設中。
夏休みが明けました。子どもたちの中には「学校に行きたくない」と言う子もいれば、体調不良、理由がわからない不調を訴える子もいるなど、様々な変化が起きてくる時期かと思います。親としてどのような姿勢でいるとよいのか。今回はそんなことをお伝えします。
初期の段階では、親は焦りや不安に駆られますよね。「今日の仕事どうしよう」「バタバタした朝にまたこんなことに」。そしてそんな朝が続くと、「このまま不登校になってしまうのでは」「甘えているだけでは」「将来大丈夫なのか」といった言葉が頭をよぎります。
仕事を休むことになれば、職場に対して申し訳ない気持ちになるでしょう。夫婦で意見が合わず、「あなたが悪い」と責められることもあります。学校とのやり取りも難しく、「連れて来ない限り何もできない」「親が甘やかすから」といった対応に苦しむこともあるかと思います。
子どもに「どうして行きたくないのか」と聞いても、理由がわからないこともあります。一方で、「友だちが怖い」「勉強が遅れている」と理由を言ったとして、それを解決しても、子どもが学校に戻らないことも多くあります。それは「親を納得させるために理由を話した」ことが背景にあるからです。根本的な問題は解決していないのです。
子どもの「明日は行く」という言葉にも、別の意図が隠れていることがあります。親を悲しませたくなかったり、「ほかの子と同じように学校に行ける自分でありたい」、つまり「普通でありたい」と思っていたりすることがとても多いのです。
大人が知らない間に、子どもはひとりでがんばっている
子どもが苦しむのは、不登校だからではありません。
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