不登校を経験したパティシエが語る 好きなことを仕事につなげるまで
小学生のころ不登校になった黒田千遥さん。不登校のときに始めたお菓子づくりが、パティシエを目指すきっかけになったそうです。不登校から現在に至るまでの経緯、パティシエになるために家でできることについて、執筆していただきました。(撮影/矢部朱希子)※写真は黒田千遥さん
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黒田千遥です。「自由なパティシエ」という肩書で、お菓子づくりをしています。2018年に、店舗を持たず百貨店の催事やネット販売をする「焼菓子屋カトルカール」を開業。東京都国立市内での委託販売などで人気店になりました。また、21年9月に国立市社会福祉協議会の運営するカフェ「喫茶わかば」の店長に就任。現在は焼菓子屋カトルカールを続けながら、しょうがいなど、さまざまな働きづらさを抱えた方とともにお菓子をつくっています。
私がお菓子づくりに興味を持ったのは、小学校低学年のときです。入学当時から集団行動になじめず、学校を休みがちになっていた私は、家にあったレシピ本と道具をきっかけにお菓子づくりを始めました。
小5の秋から完全に不登校となり、フリースクールへ通い始めるのですが、学校とちがってカリキュラムが決まっていないので、好きなことに没頭しても叱られることはありません。そのおかげでお菓子づくりにのめり込むことができ、また、つくったお菓子を、みんなにほめてもらえたことで自信がつきました。こうした経験から、パティシエを目指すようになりました。
好きなことなら楽しく学べる
中学・高校もあまり好きになれず、勉強も苦手だったので休みがちでしたが、製菓専門学校へ行くことが目標にあったので、がんばれたのだと思います。その後、希望していた専門学校に合格。大好きなことだけ勉強できる、今までで一番楽しい学校生活でした。
しかし、就職活動で挫折を味わいます。