「仕事どうしよう?」に新しい視点を。不登校の子どもの保護者のための時間術②

不登校の子どもの保護者にとって、仕事とお子さんのケアの両立は大きな課題。心身の調子が揺らぎやすいお子さんのケアには、仕事の調整が時間管理の要(かなめ)です。
仕事は単なる収入を得るための手段ではなく、その人のアイデンティティ、ひいては人生をかたち作るものであることも少なくありません。これは、性別を問わず言えることです。
もちろん、「一定以上の収入をキープしたい」「離職からの再就職にはリスクがある」など、生活の安定のために現在の仕事を続けたいという方もいるでしょう。
今回は、不登校ケアと仕事の関係から「人生の時間」について考えます。
※現在、「不登校の保護者と仕事」について、みなさまからいただいたアンケートを元にした記事を作成中です。公開まで、もうしばらくお待ちください。
仕事を休む
一時的に仕事から離れることで、不登校の子どもをケアする時間を確保する。これは、不登校ケアの第一歩です。
子どもの不登校が始まった段階では、保護者も不登校ケア初心者です。仕事と不登校ケアを両立できるか見極めるためにも、「一旦休む」は有効な選択です。
①有給休暇
使いきれていない有給休暇があれば、ある程度まとめて取得できないか、職場に相談してみましょう。
短期間でも仕事から離れることで、実際に不登校の子どものケアをしながら、落ち着いて次のアクション(職場の制度利用や子どもの居場所探しなど)を検討することができます。
②介護休暇
不登校のお子さんの心身の状態によっては、介護休暇を利用できる可能性があります。
まずは医師の診断が必要ですが、地域によってはメンタルクリニックや心療内科の予約が取りにくく、数か月先までいっぱいのことも。①の有給休暇との合わせ技で、まずは最短で受診できる枠を確保しましょう。
仕事を続ける
仕事を続けながら不登校の子どもをケアするためには、職場との相談・交渉を避けては通れません。職場に適切な制度があれば積極的に活用しましょう。
現状で利用できる制度がなくても、黙ってあきらめる前に、ダメ元で制度整備を提案してみてください。ときに、「ファースト・ペンギン」になるチャレンジも必要です。
①勤務時間の制度
時短勤務やフレックスタイムの制度を利用し、勤務時間を調整することで、お子さんのケアと仕事を両立しやすくします。
②勤務場所の制度
テレワークや在宅勤務は、お子さんの見守りが必要な場合にぜひ利用したい制度です。
離席や作業内容を、リアルタイムで管理している職場もあります。トラブル回避のため、状況を説明して柔軟な運用に変更してもらうなど、事前の確認・交渉は必須です。
③異動
残業の少ない部署や、勤務時間・場所に関する制度が利用できる部署への異動を願い出ることも検討してみてください。
部署を超えた調整が生じるため、異動の希望が受け入れられるまでには時間がかかることもあります。早めの相談で、あなた自身やお子さんに負担がかかる期間を、少しでも短縮できるようにしましょう。
④雇用形態の変更
パートタイム勤務への変更も選択肢の一つです。
収入をどの程度までなら減らすことができるか、ぜひ妥協せずに検討してくださいまた、元の雇用形態への復帰ができるかどうかの確認も重要です。
仕事を辞める
現在の仕事を辞めるという選択肢もあります。「あなたが希望し、納得している選択」であれば、前向きな道の一つです。
ただし、「仕事を休む」「仕事を続ける」に比べてはるかに難易度が高いのも事実。
とくにひとり親の方で、気持ちに余裕がないなかで決断を迫られている場合には、必ず誰かに相談してください。
不登校支援の専門家や経験保護者がベターですが、まずは親しい友人でも構いません。別の視点からのアドバイスは、それを受け入れるか否かにかかわらず、必ずあなたの助けになります。
①転職
現在の職場の制度では不登校の子どものケアと仕事の両立が難しい場合、転職が打開策になることがあります。
フレックスタイム制度や在宅勤務制度が使える職場を探すにせよ、起業する(個人事業主を含む)にせよ、大きなエネルギーが必要です。
とはいえ、転職サービスに登録しておいたり、起業アイディアを書き留めておいたりといった「種まき」は、しておいて損はないでしょう。
②キャリアブレイク
一般社団法人キャリアブレイク研究所によると、「キャリアブレイク」とは以下のように定義されます。
キャリアブレイクは「離職・休職などを通じて一時的に雇用から離れ、人生と社会を見つめ直す期間」のことを指します。造語ではなく、欧州では一般的な文化で、旅、留学、自主的な挑戦、勉強やトレーニング、休養、療養、出産、子育て、家族のケアなど、過ごし方は様々です。(一般社団法人キャリアブレイク研究所Webサイトより)
もし、あなたがご自身のキャリアを中断して、不登校のお子さんのケアに専念することを肯定的に考えているのなら、キャリアブレイクはすばらしい選択になり得ます。
経済的に十分な準備ができていること、家族の理解が得られていることなど、なかなか条件は厳しいです。しかし、「仕事を辞めることが必ずしもネガティブな選択肢ではない」という理解は、日本にも少しずつ浸透しつつあります。
「続けたほうがいい」「辞めたほうがいい」はケース・バイ・ケース
不登校の子どものケアと仕事の両立は、保護者の人生を左右するテーマです。
仕事を続けるか、辞めるか。
どちらか一方が、「唯一絶対の正解」ということはありません。
「続けるべき」でも「辞めるべき」でもないのです。
一つ言える事実は、お子さんは「学校へ行かない」選択をしたということ。
保護者であるあなたも、あなた自身の人生の選択を。
そして、どんな選択であれ、ご自身の選択に誇りをもってください!
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